新刊 藤澤伸介 著 『言語力』
藤澤伸介 著 『言語力』──認知と意味の心理学
四六判並製296頁・定価 本体2400円+税
ISBN 978-4-7885-1230-6 C1011
の見本が出来ました。配本日は4月8日、本日12日あたりから書店さんに並びはじめると思います。
一般に「言語力」というと、「どれだけ色々な表現を知っているか」とか「正しい言語表現がどれだけできるか」とか「コミュニケーションの力がどれだけあるか」とか「論理的に物事が考えられるか」とか、そういった観点から論じられることが多い。筆者も、これらは「言語力」の重要な側面だと考えている。
しかしながら、本書での「言語力」の取り上げ方は、そのような論点とは少し異なっている。誰かが対立して争っている時、自分が悩みごとを抱えている時、その原因が言語の使い方にあるのではないかと考えると、色々なことが見えてくる。我々はコトバでものを考えているし、お互いの協力もコトバによってなされている。コトバによって幸せになることもあれば、コトバによって騙されたり、打ちのめされたりすることもある。これは、ものの認識の仕方がコトバに影響されているためである。
だから、言語がものの認識の仕方にどう影響するか知っていると、人生が生きやすくなる。必要もないところで誰かと対立する、自分からわざわざ悩みごとを作り出す、思考が堂々めぐりをする、コトバ巧みな説得に騙される……、というようなことが減ってくる一方で、物事が多面的に見られるようになる、偏見を持たずに人と接することができるようになる、快適な人間関係が築けるようになる……、ということが増えてくるからだ。
本書で「言語力」といっているのは、「言語の使い方と認識の仕方の関係を知ることによって、人生を生きやすくできる力」のことである。<br /><br />
このような「言語力」は、万人に必要な素養であるに違いない。にもかかわらず、これまでは教育の場面でもあまり取り上げられてこなかった。一方で、経済戦争で生き残りを目指す各種企業は、このあたりを実によく研究しており、人々に巧みに働きかけることによって利益を生み出している。巧みな宣伝戦略を考え出し決定している企業の担当者と、「賢い消費者」であらんとして頑張っている一般の人々との知恵比べは、大人と赤ん坊との隔たり位の差があり、決してフェアではない。個人が自分の自由選択のつもりで行動していても、知らない間に企業の思うつぼにはまっていることも多いのである。必要もない悩みごとを自己生産したり、人間関係で余計なトラブルを抱えたり、知らない間に余計な出費を決定してしまったりするようなことをできるだけ減らし、快適な人間関係を築いたり、多面的にものを考えたりできるために、言語と認識がどう関わっているかを考えるためのきっかけとして本書を御活用いただければ、筆者にとって幸甚の至りである。
(著者はじめにより)
また著者の本 『ごまかし勉強』は弊社ロングセラーです。
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