書評 馬場公彦 著『戦後日本人の中国像』
馬場公彦 著『戦後日本人の中国像』の書評が2010年11月19日付週刊読書人に掲載されました。
・・・・・・当時の発言を、後の結果から理解するのではなく、当時の事情に則して理解・判断することが求められる所以であろう。
さて以上は本書の「言説分析編」、すなわち前半を紹介したい過ぎない。実は後半には「証言編」として、中国研究者を中心とする関係者15名へのインタビュー記録が掲載されている。すでに本書の扱う時代から四十年以上経過し、人選などに偏りがあることは否めないものの、例えば1958年に一家で北京に移り住んだ西園寺一晃氏の証言をはじめとして、それぞれの証言は興味深く、それ自体が今後史料としての価値を増すものと言えよう。
実はこのような戦後の中国研究者に対する聞き取り調査は、例えば台湾大学が戦後の中国研究の軌跡を明らかにするために、アジア各国・欧米を跨いで実施しているといった例があるものの、従来必ずしも積極的に行われてこなかった。・・・・・
評者は関智英氏。書評くださいました先生、書評紙ご担当者の方に心よりお礼申し上げます。
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