書評 フィリップ・ステッドマン 著 『フェルメールのカメラ』
フィリップ・ステッドマン 著 鈴木光太郎 訳
『フェルメールのカメラ』
A5判280頁・ISBN 978-4-7885-1207-8 定価3360円(税込) の書評が2010年11月28日付日本経済新聞に掲載されました。評者は宮下規久朗氏。
・・・・・・この厄介な制作方法からは、フェルメールの画風だけでなく、その極端な寡作ぶりも説明できるだろう。もし彼が写真の発明以後に生きていたら、写真を撮ってはいても、これほど苦心して絵など描かなかったにちがいない。彼の芸術は、草創期の科学技術と画家の才能とぶつかって生まれたまさに奇跡であったと感得した。
器具を用いて制作していたからといって、フェルメール作品の魅力がいささかも減ずるわけではない。フェルメールのファンにとっては知的刺激に富む一冊である。
書評くださいました先生、書評紙ご担当者の方に心よりお礼申し上げます。
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