小熊英二氏+高原基彰氏対談 「at プラス」(太田出版)リニューアル4号
太田出版発行の 「at プラス」リニューアル4号、2010年5月号 特集「エコノミストはなぜ経済成長の夢を見るか?」にて小熊英二氏+高原基彰氏の対談「サヨクはなぜ経済成長の夢を見るか?」が掲載されました。
小熊 アメリカの場合、共産主義化だとか、社会主義化だといった議論はほとんどなく、モラルある市場主義がある程度コンセンサスになっています。だからかつては、アメリカにおける右左は、そのコンセンサスに則った上での狭い選択に過ぎないと考えられていた。しかし、高原さんは、そのアメリカの方が規範的な議論があり、日本はそれをしてこなかったという見解ですね。
高原 はい、そうです。自由放任主義のフリードマンと社会民主主義志向のリベラリズムのロールズの両巨頭がいて、自由と正義という議論の対立軸があった。でも別にこの対立は、「格差が広がってもいいから全部市場で」とか「弱者が可哀想だから分配しなきゃダメ」という話ではまったくない。分配が良い悪いとか、そういう話を超えたところで、「分配も成長もこの原理に従ってやらなければいけない、その方が合理的であり倫理的にも正当である」という議論ですよね。市場派と分配派みたいな話じゃ全然ない。日本ではこれまで、そうした原理的な議論が驚くほどなかったと思います。新自由主義をどう考えるかという軸がブレがちなのも、こうした欠如が影響しているでしょう。・・・・・・
「規範的議論なき日本」より一部引用
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