« 2010年3月 | トップページ | 2010年5月 »
「文學界」2010年5月号で特別対談「1968から2010へ」
小熊英二氏 高橋源一郎氏の対談が掲載されました。
高橋 すると、最後に残るのは社会的なつながりということでしょうか。
小熊 うーん。だから、その社会的なつながりというのがどういう言葉で表現するのが適切なのかというのは、これから考えていかなきゃならないことなんでしょうね。
高橋 わかります。ここから先はおそらく単純な答えは出てこないだろうと思います。つまり今、社会的なつながりと言いましたが、たとえば「家族」という場面を考えてみます。今は核家族どころか、東浩紀さんの言葉で言えば「量子家族」になって(笑)、さらに細かくなっている。もしかしたら人々の孤独も極まったように見えるかもしれない。けれど、新しいつながりがあるとするなら、そこにあるかもしれないですね。そういう意味では僕らはいままで見たことのない風景を見ているわけですよね。
僕はこの『1968』という本の正しい読み方は、小熊さんの最後の問題提起-新しいパラダイムは何でありうるのかという言い方でしたが-、その提起について考えることではないかと思います。もちろん僕も考えてみました。そのことについてここで言うべきなのかどうかは分かりませんが。ただ、そういう問いを引き出す、そして引き出してくれる本だなあと僕は思いました。
(■新型の現代的いきづらさとは より)
小熊英二著『1968』、の詳細な書評(読書ノート)がネットに公開されておりました。
掲載サイトの塩川伸明先生のご了解を得て、リンクを貼らせていただきます。塩川先生にはこころよりお礼申し上げます。
かなり前になってしまいましたが、朝日新聞 4月4日付 書評欄、「ゼロ年代の50冊」という企画で弊社小熊英二著『1968』が20番目ぐらいでしょうか、選ばれております。
『〈民主〉と〈愛国〉』も選ばれてほしかったですね。
1位はジャレド・ダイアモンド著『銃・病原菌・鉄』(草思社)。ダイアモンドの著作は弊社から『人間はどこまでチンパンジーか』という書籍が、でております。高価格ながらこちらも17年間売り続けているロングセラーです。
松村暢隆・石川裕之・佐野亮子・小倉正義 編
『ワードマップ 認知的個性』──違いが活きる学びと支援
見本出来ました。4月22日配本です。書店さん店頭には2,3日後。
ISBN 978-4-7885-1199-6
10.04.20 324頁・定価 本体2700円+税
・・・・・・才能教育については、本書での解説によって、社会一般の認識が深まることを期待します。日本では戦後の平等主義教育の中で、才能教育をオープンに語ることは長らくタブーでしたが、最近ようやく一般にも教育学でも、論じることができるようになりました。それは、能力を単一基準で序列化してごく一部の子どもを優遇するのではなく、すべての子どもの個性に応じるという理念の下においてです。心理学でも、才能教育は障害児教育とは異なり、公式の実践領域が存在しなかったために研究領域は存在しませんでした。認知的個性をキーコンセプトに、才能教育の心理学的研究が、今後必要で可能なことを、ここで改めて主張します。
才能教育の理解と言えば、時宜を得て、2010年度から、放送大学大学院TV講義『才能と教育』(主任講師:岩永雅也・松村、半期15回)が開講されました。アメリカを中心に、才能教育の理論と実践が紹介され、個性化教育と発達障害の問題も論じられます。本書の執筆者では、右記の加藤、杉山、石川、佐野先生に加えて、竹内淑子先生、小山儀秋先生がゲスト出演され、また野添絹子先生が全回司会を務められます。本書と合わせてご覧になることで、理解が一層深まると期待されます。・・・・・・
「本書あとがき」より
下記2点の新刊 書籍、一部を電子ブック化いたしました。ネット上で立ち読みする雰囲気を味わっていただければ、と存じます。Windows XP以降、MacOSX10.4以降でAdobeFlashPlayer最新版がインストールされているPCでご利用できます。
追々新刊書誌データには立ち読みボタンをつけていきたいとおもっております。
内田伸子・見上まり子 著
『虐待をこえて、生きる』
の見本ができました。配本日は4月16日。
書店さん店頭へは来週19日の週でしょうか。
ISBN 978-4-7885-1198-9 46判260頁・定価 本体1900円+税
現代の子どもは、きわめてストレスの高い状況に置かれています。子どもの自立を阻む過保護の親、偏差値教育の歪みにも気づかずがんじがらめに絡めとられて、子どもを幼児初期から塾に入れたり通信教育を受けさせたりして、文字や数の訓練を開始する親がいます。あるいは、親自身が地域社会から孤立し、閉鎖的な環境の中で強度のストレスを感じていて、家族の中で一番弱い存在である乳幼児にそのはけ口を求め、虐待に走り、ついには子どもを死なせてしまう親がいます。一方は子どもを猫可愛がりにし、他方は子どもを憎んでいます。現象的には逆のようですが、実際は子どもの発達を阻み、子どもを支配するという点では、どちらの親も同じです。
しかしこのような歪んだ環境の中で心身ともに深く傷つきながらも、見事に立ち直り、発達を遂げていく子どもたちがいます。そうした子どもたちは、人間の発達がいかに可塑性に富んでいるかを、最も劇的に示してくれています。そうした子どもたちがなぜ見事に発達できたのかをつぶさに調べてみると、そこには、必ずと言っていいほど、彼らを支える人たちとの出会いがあります。こうした子どもたちは、人と出会い、心の絆を結ぶことを介して、いつでも発達のやり直しはできるということを私たちに知らせてくれるのです。
「第1章 負の連鎖増え続ける虐待、傷つく子どもたち」より
クラウス・ブリンクボイマー 著 渡辺一男 訳
『出口のない夢』
の見本が出来ました。4月16日配本です。書店さん店頭には2,3日後です。
46判328頁 定価 本体3200円+税 978-4-7885-1194-1
本書はジョン・アムパンというひとりのガーナ人男性が、14年前に妻子を故郷に残してヨーロッパを目指し、文字どおり生死の境を生き延びて、幸運にもスペインに到達したその行程をたどったルポルタージュです。
私たちが追おうとするのは、ヨーロッパに行くためにすべてを残したまま故郷を後にする者たちの足跡である。彼らは、地獄と化した故郷を離れて、貧困や戦争から遠ざかれば、パラダイスを、安全と豊かさを見つけられると思っている。私たちは当時のジョンの旅を再構成したいと考えている。また今日の難民がどのような旅をし、彼らがいかに生き延びるのかを知りたいと思う。さらに、彼らが語ることに耳を傾けたい。なぜ故郷を離れたのか、いかなる事情があったのか、どこへ行きたいのか、何を夢見ているのか。彼らの旅がいかなるものかをこの目で確認したい。そして、彼らの体験のいくばくかを感じ取り、経験したい。
「第1章 故郷」 より
中山 元 著『フーコー 思想の考古学』
ISBN 978-4-7885-1192-7 46判372頁・定価 本体3400円+税
見本出来ました。9日配本です。書店さん到着は12日の週になると思います。
二〇〇八年に刊行した『賢者と羊飼い―フーコーとパレーシア』(筑摩書房)は、一九八〇年代以降の晩期のフーコーの自己の解釈学と「真理を語ること」につ いての思索を考察したものだった。また本書とほぼ同時期に河出書房新社から刊行される『フーコー 生権力と統治性』は、本書につづく時期、すなわち一九七 〇年代における中期のフーコーの思想の軌跡を、コレージュ・ド・フランスの講義録『精神医学の権力』『異常者たち』『〈社会を守れ〉』『治安・領土・人 口』『生政治の誕生』などを解読しながら考察するものである。本書『フーコー 思想の考古学』とあわせてお読みいただければ、フーコーの生涯の思想の軌跡 を追跡することができると思う。
〈あとがきより〉
神山 潤 著
『ねむり学入門――よく眠り、よく生きるための16章』
の見本出来ました。
配本は4月9日です。書店さん店頭へは12日以降でしょうか。
46判216頁・定価 本体2200円+税 ISBN 978-4-7885-1190-3
「医眠同源」という造語を「ねむり学」の最後に提案します。
よく知られている「医食同源」は最近の日本での造語だそうですが、そのもととなる言葉 は「薬食同源」で、その基本的な考え方は「食の医療作用」とのことです。『黄帝内経・素問』「臓気法時論篇第二十二」の″五穀為養、五果為助、五畜為益、 五菜為充、気味合而服之、以補益精気”(五穀は人体に栄養をつけ、五果はその補助となり、五畜の肉はそれを補益し、五菜は臓腑を充実させます。気味を調和 させてこれを食べたり服用したりすれば、精気を補益することができます。)が、食の医療作用の解説としてよく引用されます。
「医眠同源」を提案する、ということは「眠りの医療作用」の理解が広く深まることを希望してのことです。「眠りの医療作用」を明確に解説した文言 は『黄帝内経』にはありませんが、食に比べ眠りの応用範囲はきわめて限られており、ある意味実践は単純です。これは「医眠同源」の理解さえ広まれば、確実 にその効果が上がることを期待させます。ヒトは寝ないでは生きていけないのですから、原理の理解は難しくありません。風邪をひいたら寝て治すしかありませ ん。悩み抜いた事柄が、翌朝の目覚めとともにあっさりと解決、あるいは夕べはあれほどつらかった心のモヤモヤが、朝には嘘のように霧散、等々の経験は、多 くの方がおもちと思います。頭だけではなく、身体も「医眠同源」の原理を理解しているのです。
・・・・・・・
本書「おわりに」より
金菱 清 著
『体感する社会学』――Oh! My Sociology
見本出来ました。配本日は4月9日。
書店さん店頭には12日の週頃でしょうか。
190頁・定価 本体1900円+税 ISBN 978-4-7885-1175-0
実はこのテキストは、私が社会学の非常勤講師だった時代におもに使っていた講義ノートをテキスト用に再構成したものです。 私にとって幸運だったことは、初 めての講義が普通の大学ではなく、高校卒の看護学生を対象としていたことです。欧米の学者をもち出してかっこよく概念を説明しても学生は見向きもしませ ん。社会学は必須科目なのですが、看護学生にとっては蚊帳の外なのです。
なんとかして社会学が心理学よりも面白く、日常生活や看護の現場の現実をとらえ直すきっかけになることを知ってもらいたいと思い、社会学のなかから面白そ うなトピックを選んで私なりに演出し、いま話題になっている事象を追加してプロデュースしました。・・・・・・のクイズを冒頭においたのも、これから難し いことを覚えるのでなく、これまで得た知識に考え直す余地のあることを学生たちに体感してもらいたかったからです。したがって、このテキストは講義中の看 護学生たちのリアクションから逆に導かれ、鍛えられたといっても過言ではないと思います。
大学で社会学の講義をもつようになっても看護学生相手に培った方法と内容はほとんど変えていません。先達の先生方から私自身がさまざま学ばせていただいた 社会学のエッセンスを、学生たちに伝えたいという拙い試みですが、ひろく読者の方々に楽しんでいただき、ご教示をいただければ幸いです・・・・・・ (本書あとがきより)
好評既刊 第8回日本社会学会奨励賞受賞
金菱 清著『生きられた法の社会学』
新刊エドワード・リード 著/菅野盾樹 訳『経験のための戦い』
の見本が出来ました。配本日は4月2日です。書店さん店頭へは翌週5日以降となります。 ISBN 978-4-7885-1191-0 46判272頁・定価 本体2800円+税
本書は、『アフォーダンスの心理学』(小社刊・5刷)、『ソウルからマインドへ』(青土社刊)とともに「リード3部作」とよばれており、リードがいちばんのお気に入りと呼んでいた本です。書名通り「戦い」の書です。
わたしはこの本をつぎの三人にささげる。彼らは二十世紀を経験して、それを歌につくり、傷ついたこの地球に住む人々へのお返しとしてくれた。
ビクトル・ハラ〔1932年生まれのチリの音楽家、政治活動家。1973年に暗殺された〕
ボブ・マーリー〔レゲエを国際的に知らしめたジャマイカの音楽家。1945-1981〕
ピート・シーガー〔60年代にフォーク・ミュージックをリードしたアメリカの歌手・作曲家。1919-〕故郷の風が呼んでいる
故郷の風がわたしをはこぶ
わたしの心を解き放つ
喉の具合も大丈夫
だから詩をうたおう
魂がわたしをうち震わせるあいだ
故郷の道をゆくのだ
今からそしていつまでもビクトル・ハラ
われわれの生活は脅かされている。だがわれわれの知覚はもっと脅かされている。
ラルフ=ウォルド・エマソン
〔アメリカの思想家、詩人。ピューリタニズムとドイツ理想主義の流れをくみ、超絶主義を唱えた。1803-82〕本書献辞より
最近のコメント