書評 三浦耕吉郎著『環境と差別のクリティーク』@図書新聞
三浦耕吉郎著『環境と差別のクリティーク』の書評が図書新聞2009/12/19号に掲載されました。評者は倉石一郎氏。
「・・・・・・・ほかの章にも平易な文章ながら、洞察にみちたものがたくさんある。私はとくに第9章「被差別部落への手紙」に深い感動を与えられた。第2の手紙「穢れとつきあう」においては、通常の私たちの常識では穢れ意識による「犠牲者」として捉えられている被差別部落の人びとのなかにも、ある種の穢れ観が見いだされることが指摘されている。しかしこの穢れ観は「いわゆる結婚差別や職業差別を行う人びとの意識の底に見いだされる穢れ観と比べて、まったく似て非なるものである」という。三浦さんは、「穢れを否定する思考とはまったく違う生き方」として、穢れとつきあうという発想がきりひらくさまざまな豊かな可能性を示唆している。冒頭に述べた私のバックグラウンドにもかかわらず、いやもしかするとそれゆえにか、これまで私は、環境社会学という学問が一体何を研究するものなのかまったく知らず、また知りたいとも思わなかった。本書がもしかすると、環境社会学「初体験」でさえあったかもしれない。そんな私にこの学問の奥深さ、繊細さを教えてくれた本書は、多くの人に心から薦めたい一冊である」
ご書評くださいました先生、掲載誌ご担当者の方に心からお礼申し上げます。ありがとうございました。
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