書評 小熊英二著『1968』
「・・・・・・日大をはじめ、学生が闘争へと至る原因は大学側にある場合がほとんどだった。「学問の府」「大学の自治」を標ぼうしておきながら経営者は学生の要望には一切耳を貸さずに私腹を肥やし、教授たちも院生や助手を徒弟さながらにこき使う。
膨大な文献を駆使しながら時代背景を読み解く著者の手際は鮮やかで、ゲバ棒とヘルメットで武装し、解放区を求めてバリケードを築いた若者たちにはやむを得ざる理由があったのだと納得がいく。そして、それが分かるだけになおさら、その後に彼らの反乱がたどる末路は暗たんたる思いを禁じ得ない。・・・・・・」
探していた書評がようやく見つかりました。
小熊英二著『1968』
2009年9月6日付信濃毎日新聞ほか共同通信にて配信されたようです。評者は佐川光晴氏。
« 国際ペン東京大会2010記念出版 | トップページ | 新刊 平川祐弘・牧野陽子編『講座小泉八雲Ⅱ ハーンの文学世界』 »
「書評」カテゴリの記事
- 書評 西 成彦著『声の文学』、「図書新聞」2022年5月28日付(2022.05.20)
- 書評 佐藤典司・八重樫文 監修・著 後藤 智・安藤拓生 著『デザインマネジメント論のビジョン』 、讀賣新聞5月1日付掲載(2022.05.19)
- 書評 山口誠・須永和博・鈴木涼太郎著『観光のレッスン——ツーリズム・リテラシー入門』@『観光ホスピタリティ教育』第15号(2022.04.04)
- 書評 山 愛美著『村上春樹、方法としての小説――記憶の古層へ』@「臨床心理身体運動学研究」vol24 no.1 2022(2022.04.01)
- ウィリアム・J・シャル 著 利島 保 訳『廃墟からの歌声』@朝日新聞 2022年3月19日付(2022.03.24)
「1968」カテゴリの記事
- 青土社 ユリイカ 特集「特集*山下敦弘」 『マイ・バック・ページ』 の 〈青春〉(2011.05.31)
- (毎日新聞社刊) 小熊英二著 『私たちはいまどこにいるのか=小熊英二時評』(2011.03.10)
- 角川財団学芸賞 小熊英二氏『1968』(新曜社刊) 選評(2010.12.20)
- お知らせ 明治学院大学2010年度公開セミナー 小熊英二氏 × 高橋源一郎氏(2010.12.09)
- お知らせ 『1968』 第8回角川財団学芸賞 受賞(2010.10.12)
« 国際ペン東京大会2010記念出版 | トップページ | 新刊 平川祐弘・牧野陽子編『講座小泉八雲Ⅱ ハーンの文学世界』 »
コメント