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新刊 菅佐和子・相澤直樹・播磨俊子・北田雅・住田竹男 著『職場のメンタルヘルス相談室』

菅佐和子・相澤直樹・播磨俊子・北田雅・住田竹男 著
『職場のメンタルヘルス相談室』、9月9日配本いたしました。

9784788511798

 子どもにとっての学校、大人にとっての職場は、日々の生活のなかでの「舞台」に相当するのではないでしょうか。皆が上がっていく「舞台」に自分だけが上がれないのは苦痛なことです。しかし、ひとたび「舞台」に上がれば、そこにはさまざまなストレス源が存在しています。それでも、人は、簡単に「舞台」を降りることはできません。

 ごく近い昔、わが国が未曽有の好景気に沸いていたころ、仕事はどこにでもありました。「仕事に縛られたくない」という悩みこそあれ、就きたくても仕事がないという状況がこれほど深刻化するとは、いったい誰が予想していたでしょうか。

 当時は、定年まで一つの職場に縛られるのは、ずいぶん忍耐力のいることに思えました。できれば途中で自由な大空に羽ばたきたいと、多くの人々が夢見たものです。

 しかしひとたび、思いもよらず、簡単に職を追われるような時代が到来すると、かつての定年までの保障がなんとありがたいものであったかと、あらためて痛感せざるをえません。保障があるのに自分の意思でそこから去ることと、保障がなくて自分の意思に反して職場を追われることでは、天と地ほどの違いがあるといえましょう。

 そうはいっても、さいわい職場に居続けられたとしても、そこにも実に多くのストレスが存在しています。そのなかで大きなウェイトを占めるもののひとつが、「職場の人間関係」「自分の性格」といった、メンタルな要因ではないでしょうか。

 いったん職を離れると、すぐに次の職が見つかる時代ではないので、ひとは、ストレスの多い職場からも簡単には去ることができません。たしかに「職に就けないことを思えば、少々の職場ストレスに耐えることぐらい苦労のうちには入らない」と言われれば、まったくそのとおりです。しかし、毎日の職場ストレスの積み重ねによって心身に不調をきたし、最悪の場合、過労死や自殺に追い込まれる人々が後を絶たないことも、決して見過ごされてよいわけはないと考えられます。

 多種多様な職場ストレスに押しつぶされることなく、仕事を続けていくためには、どのような知恵と工夫が必要なのでしょうか。もし、自分一人で切り抜けることがむずかしいときには、どのような支援を取り付ければよいのでしょうか。

 私たちは、心理カウンセラーや精神科医などの立場から、この職場のメンタルストレスの問題に取り組んできた実践家のグループです。それと同時に、私たち自身が、組織のなかで働く人間でもあります。多くの働く仲間たちのために、そして自分自身のために、職場という組織のなかでのメンタルストレスの分析と対処の方法を考えてみたいと、精いっぱい知恵を寄せ合って編みあげたのが、本書なのです。・・・・・・「まえがき」より

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コメント

従業員60人程の会社で衛生管理を担当しています。ご他聞に漏れず、MH問題で長期離脱の従業員を一人抱えています。
この本を読み進む内、ホンネといいますか、他書では出会わなかった納得のいくコメントが多数あって力づけられました。他社の方にもお勧めしたいと思います。
ただ、誤植というか誤字が多いのは読んでいて落胆させられました。気づいたのは、P.37下から5行目「丸くなったたね」、P.62上から7行目「メールで非道いこと」、P.66本文2行目「自任しています」→ここでは自認でしょう、P.190下から4行目「極めた重要」。
改訂版出版時には修正されたら良いと思います。

信濃毎日新聞2009年12月27日付 紹介
「支店で高い評価を得た社員。部下として自分のところに来た後で調子が悪くなった。メンタル面での不調で診断書も出ている同僚。嫌がる仕事を周囲に押し付け、目立つことには参加するように見えて職場でフラストレーションをためている――
学校や職場で増え続けるメンタルヘルス問題に、臨床心理などの専門家がQ&A方式で答えた。本人のつらい気持ちや上司、部下らの戸惑いなど、さまざまな事例を紹介した。不調者への理解を求めるとともに、きれいごとではすまない現実への対応策が示唆に富む」 

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