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書評『乳房はだれのものか』

「著者は、「物語のなかで女たちは、男の牛耳る歴史に抗ったのだ」とするテーゼのもと、近代の性の制度を覆す、別の性の姿を発掘しようと渾身の力を発揮している。始まりの問いは「乳房はだれのものか」である。

・・・・・・この女帝は〈生まない性〉として異性愛関係から断絶し、摂関政治の基盤とする婚姻などの性的関係を不要として、女だけの政治空間を形成し、善政を敷く。〈生む性〉の断絶を通じた女だけの領域、そこには女性差別を超えた女人救済をも構想された。著者はこうした「女たちのための壮大な物語」から、近代の硬直したジェンダー秩序を逆照するのである」(川村邦光氏評)


木村朗子(さえこ)著『乳房はだれのものか』
の書評が2009年3月8日付日本経済新聞に掲載されました。
評者の先生、掲載紙ご担当者さまに深くお礼申し上げます。

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