書評 八木宏美著『違和感のイタリア』
「イタリア人」という存在が抱えるアイデンティティ問題
「本書は、イタリアでの生活経験をもつ日本人の誰しもがそれとなしに感じるであろう「イタリア人」や「イタリア社会」の特質(著者のいう「違和感」)を「観察記」風にアレンジした物語であり、著者の語り口は、きわめて明快かつ愉快である。
・・・・・・もとより国民国家の概念を前提とする国民性の存在を認め、そこになんらかの固有の精神構造や価値観、集合的知性、行動様式、文化的風土を抽出することが、戦時期の文化人類学にみる敵国研究の系譜をみるまでもなく、「ステレオタイプ」や「差別・偏見」の問題とも複雑に絡み合うきわめて危険な論点を孕んでいることは、いうまでもない。・・・・・・・この点について、筆者自身も繰り返し指摘しているように「イタリア」ほど国家的ないし国民的な「纏まり」として抽象化され難い集団概念はない。イタリアの公式統計データが州・県別のクロス集計表をかならず付さなければならないことになっているのは、世論や社会意識から文化・行動様式、メンタリティーにいたるまで、地域特性によってもたらされる差違(格差)がそれだけ顕著であることを証左している。このことは、「イタリア人」という存在が抱えるアイデンティティ問題そのものといってよい。・・・・・・」(土屋淳二氏・評)
八木宏美著『違和感のイタリア』の書評が、2008年12月20日付図書新聞に掲載されました。掲載紙、評者の先生に心よりお礼申し上げます。
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