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書評金菱 清 著 『生きられた法の社会学』

金菱 清 著
『生きられた法の社会学』
の書評が掲載されました。2008年7月4日 週刊読書人掲載 評者 酒井隆史氏。掲載紙、書評くださいました先生に深くお礼申し上げます。

「ごく最近まで大阪国際空港(伊丹空港)の中におよそ150世帯400人もの人々が「不法占拠」する地域が存在した。中村地区、在日韓国朝鮮人のコミュニティである。半世紀以上にわたって、凄まじい騒音からはじまる居住条件の劣悪さからにさらされてきたこの地域だが、2002年には国と伊丹市によって土地と住宅を提供する画期的な「移転補償」が決定する。

 著者は移転補償の決定する以前から、約十年にわっって丹念なフィールドワークを行っている。しかし、本書は、聞き取り調査の積み重ねによる事実の報告やコミュニティ意識の調査といった領分をはるかに越えようとする。もくろみは野心的なのである。すなわち、すべての不法占拠へ、今回の事例に内在する論理、「不法である占拠」が「不法でない占拠」へと転換した論理を拡げるための「社会学的根拠」を与えること、これが課題なのだ。

・・・・・・・著者のいうように、法の外部を生きる人々は増大し、「例外状態」は常態化している。不法占拠はこの惑星の地表の多くを占めようとしている。いまやこうした現実を生きる人間たちの「生きられた法」は、法の刷新を不可避に要請しているのだ。著者はフィリピンの不法占拠地域の調査も行っているということである。その成果も期待される」

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