資本主義黒書 下巻
資本主義黒書 下巻、出来ました。7月11日配本です。書店店頭には12~13日ごろ。
「・・・・・・クルツは3百年におよぶ資本主義の歴史を遡って、黙示録の騎士
たちを呼び出す。初期資本主義時代からはホッブズとマンデヴィルが召喚さ
れ、さらにカントやルソーなどの啓蒙主義者がフェミニズムの立場から弾劾さ
れる。スミス、ベンサム、マルサスが資本主義の立役者として批判されるの
は当然としても、マルキ・ド・サドまでが資本主義的に奇形化された自己中
心的な男の象徴として嘲笑される。特にベンサムは、現代の自己検閲・相
互監視システム社会の基礎を築いたパノプティコンの考案者として再三俎
上に載せられる。その一方で、グラムシのような左翼のイコンまでもがフォー
ディズムの擁護者であるとして断罪される。べーベルも、反ユダヤ主義を「愚
か者どもの社会主義」と呼んだがゆえに罪を免れず、レーニンもフォーディズ
ムの処方箋を受け売りしたにすぎないとされる。しかしクルツが強調するよう
に、しばしば忘れられているのは、マルクス自身が自由主義から出発したこ
とであり、後の社会民主主義は結局この自由主義から完全に自由になるこ
とができなかったことである。この意味で、著者のもっとも激しい怒りは社会
民主主義(者)に向けられて、社会民主主義(者)を自由主義(者)同様に、
完膚無きまでに打ちのめす。その際、クルツは、経済自由主義と政治的自
由主義とを原則的に区別しないが、その是非については見方の分かれると
ころであろう。・・・・・・」(訳者あとがきより)
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