◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第269号■

2026年9月30日発行

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◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第269号■
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◇トピックス
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●お知らせ

新曜社、noteはじめました。
書籍の情報を中心に、様々なよみものをお届けしてまいります。
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〇受賞
申 惠媛著『エスニック空間の社会学:新大久保の成立・展開に見る地域社会の再編』が第11回日本都市社会学会若手奨励賞を受賞いたしました。
申惠媛先生、受賞おめでとうございます。

『エスニック空間の社会学』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b640719.html

 

〇イベント情報

ブックフェアのお知らせ

丸善丸の内本店さま3階にて、心理学書販売研究会ブックフェア、「心理学からソーシャルジャスティスを考える」を開催中です。
お近くにお立ち寄りの際はぜひお越しください。
また小冊子「心理学を学ぼう!3」を 無料にて頒布中です。
ぜひご一読ください。
https://shinpanken.blogspot.com/2026/08/3.html


9/25(金)より紀伊國屋書店梅田本店3番カウンターレジ前のイベント棚にて、「14の出版社社員が選ぶおすすめの70冊」フェアを開催中です。
心理学書販売研究会会員社14社それぞれのシンボルマークとして、梅田店ご担当者さまが各社の社長、編集者の顔をイラストにしてくださいました。こちらを目印にご来店ください。
開催期間は10月15日(木)までです。
https://shinpanken.blogspot.com/2026/09/1470.html


書評会のお知らせ

佐藤信吾著『ジャーナリズムと記憶の社会学――戦場体験者なき時代の八月ジャーナリズムへ』書評会が開催されます。ぜひご参加ください。
https://www.shin-yo-sha.co.jp/news/n64860.html

 

〇新刊情報

7月~9月刊行の下記新刊6点について、HPにてためし読みを公開中です。
ぜひご覧ください。


『住まいと家庭の日本近代』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b679302.html


『悲嘆夢に癒されるとき』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b679027.html


『暮らしのなかで 熱帯を感じる』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b678902.html


『アテンション資本論』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b678427.html


『惑わす社会学』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b678622.html


『音楽社会学』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b677779.html

 


〇書評情報

木島由晶ほか編著『音楽社会学 統計データで読む現代人と音楽』の書評が、月刊『stereo2026年10月号』に掲載されました。
評者は吉田穣氏(TEAC企画開発担当)。
https://www.shin-yo-sha.co.jp/news/n64852.html


村瀬孝生著『増補新版 おばあちゃんが,ぼけた。』(品切れ)が、東京新聞・中日新聞(2026年9月26日付)の〈記者の1冊〉にて紹介されました。
記者は出田阿生氏。
https://www.shin-yo-sha.co.jp/news/n64853.html

 


評者の先生方にはこころよりお礼申しあげます。ありがとうございました。

 

◇近刊情報
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2026年10月下旬頃発売予定
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AIと心理臨床の対話
─物語・記憶・身体・創造性をめぐって
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b680880.html
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山愛美 著
四六判並製192頁・本体2300円+税
ISBN 978-4-7885-1941-1 C1011
ジャンル=臨床心理学


AIに心理療法は可能なのか? 深層心理学や心理臨床で扱ってきた身体、感情、心、人の関係性、一人一人の人生の〈物語〉のあり方はAIによりどう変わってゆくのか。臨床・哲学・文化・言語を架橋する学際的視点から「AIと共生する道」を問い直す。

*AIの時代だからこそ問い直したい「では、人間とは何か」       
*四十年以上の臨床経験をもつ著者が、ひそやかに進みつつある人の心の変容を丁寧に記録・考察する

著者
山愛美:京都先端科学大学特任教授


著者関連書
『心理療法家がよみとく「君の名は。」』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b613741.html

 

2026年10月下旬頃発売予定
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ビジュアル・ナラティヴとは
─共同生成でひらく質的研究

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やまだようこ・横山草介・家島明彦・木戸彩恵 編
A5判並製224頁・本体3600円+税
ISBN 978-4-7885-1942-8 C1011
ジャンル=心理学


日本が世界をリードする先端的な「視覚イメージによる語り」研究、ビジュアル・ナラティヴ。心理学、教育学、人類学、看護学など多様な専門家の実践例を紹介。ビジュアルによる語りは、共感的な「共同生成」により、言語中心の質的研究を革新する。

*人生心理学をはじめ、教育やグリーフケアの現場、地域活性化やモノづくりでの活用、さらに手話や異文化コミュニケーション、黒板アートや化粧品のイメージ分析まで。豊富な事例を通して学ぶ。

編者
やまだようこ:京都大学名誉教授
横山草介:東京都市大学人間科学部准教授
家島明彦:大阪大学キャリアセンター准教授
木戸彩恵:関西大学文学部教授


弊社関連書
『ビジュアル・ナラティヴ』(やまだようこ著作集第9巻)
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b653169.html

 

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編集後記


 今年のはじめに目の手術をしたことを以前この編集後記で書きましたが、ミドルエイジクライシスということばもあるくらい、中年期には人生の大きな転機が起こるようです。ちょうど西洋占星術などにも興味をもったり、『昼間のスターゲイザー』(鏡リュウジ、東畑開人著 集英社)を読んだりしたものだから、今は星に従い、ちょうど二度目のサターンリターンの時期にあることを楽しむことにする。
 
 さて中年期の危機を調べていると、C.G.ユングはこの時期の重要性をかなり早い時期から説いていることを知る。そして読み始めたのが河合隼雄先生の『中年危機』(朝日文庫)。この妥協なき端的な書名に、あー今、自分はそういう時期にあることを再認識させていただいた。

 本書は12の小説を取り上げ、河合先生が理論でかたづけることなく、小説の主人公の状況と心情により沿いながらその人生の時期を見つめる書となっている。中年期における「ワイルドネス」についての考察など、追っていきたいところが多くある本書だったが、第6章「エロスの行方」でとりあげられた円地文子『妖』が印象的だった。

 坂を愛する女性をとりあげているのですが、坂ですよ、坂。この境地を描く円地文子とそれを読む読者が、かつての日本にはいたのだ。河合先生もそのひとりだ。その成熟にはただ驚かされる。成熟は年齢でははかれないと知る一冊。(中山


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◇奥付
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次回発行は2026年10月下旬頃を予定しております。

◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第268号■

2026年8月31日発行

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ブックフェアのお知らせ

丸善丸の内本店さま3階にて、心理学書販売研究会ブックフェア、「心理学からソーシャルジャスティスを考える」を開催中です。
お近くにお立ち寄りの際はぜひお越しください。
また小冊子「心理学を学ぼう!3」を 無料にて頒布中です。
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https://shinpanken.blogspot.com/2026/08/3.html

 

〇新刊情報

7月~8月刊行の下記新刊6点について、HPにてためし読みを公開中です。
ぜひご覧ください。


『暮らしのなかで 熱帯を感じる』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b678902.html


『アテンション資本論』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b678427.html


『惑わす社会学』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b678622.html


『オープン・ソシオロジー 2026年 第1号』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b677615.html


『音楽社会学』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b677779.html


『ジャーナリズムと記憶の社会学』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b677430.html

 


〇書評情報

菅沼明正 著『流転する伝統』の書評が、「毎日新聞」2026年8月1日付に掲載されました。評者は橋本麻里氏。
https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/08/post-87bd1a.html


木村忠正 著『ネット世論の構造 文化進化論・ソーシャルデータ・学習実践共同体』の書評が、「週刊読書人」2026年8月14日付に掲載されました。評者は北村智先生。
https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/08/post-2e2722.html


『ジャーナリズムと記憶の社会学』著者、佐藤信吾さんへのインタビューが「毎日新聞」2026年8月15日付に掲載されました。文と写真は栗原俊雄氏。
https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/08/post-4b53bf.html


木村忠正 著『ネット世論の構造』の書評が「産経新聞」2026年8月23日付に掲載されました。評者は長崎励朗先生。(埼は大が立)
https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/08/post-ce1278.html


評者の先生方にはこころよりお礼申しあげます。ありがとうございました。

 

◇近刊情報
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2026年9月9日頃発売予定
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住まいと家庭の日本近代
─「中流」をめぐる文化闘争史
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b679302.html
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ジョルダン・サンド 著
貞包英之・鈴木貴宇 訳
A5判上製576頁・本体5800円+税
ISBN 978-4-7885-1939-8 C3036
ジャンル=社会学


日本の住空間を近代化する原動力となったのは、「中流」に憧れる人びとの欲望であった──本書は1880年代から1930年代を射程に、理想的な家庭のイメージと商品としての住宅が流通する近代日本の姿を、膨大な史資料をもとに鮮やかに描き出す。

*日本近代史の研究者として著名なジョルダン・サンド氏の初著をついに邦訳。
*原著はジョン・K・フェアバンク賞(アジア研究)やジョン・ホイットニー・ホール・ブック賞、アリス・デイヴィス・ヒッチコック・ブック賞(建築史)を受賞。
*100点を超える図版も掲載することで、日本の住宅と家庭が近代化する過程を視覚的にも追体験できる。

著者
ジョルダン・サンド:ジョージタウン大学歴史学部教授
鈴木貴宇:早稲田大学文学学術院教授(日本語日本文学コース)
貞包英之:立教大学社会学部教授

著者関連書
『東京ヴァナキュラー』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b590258.html

 

2026年9月中旬発売予定
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デュアルユースAIテクノロジー
─軍民両用技術としての人工知能
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b680019.html
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上野晴樹 著
四六判並製252頁・本体3200円+税
ISBN 978-4-7885-1938-1 C1004
ジャンル=AI・軍民両用技術研究


急速なAIの発展が、社会や戦争のあり方を変えている。しかし軍民両用技術であることから、日本では開発のみならず、AIのガバナンス構築や戦争倫理学の議論も、国際社会から取り残されている。現状を打開し、国際的な議論に参画するための「羅針盤」。

*工学の構造的現実と、国際政治・安全保障という社会的課題を地続きのロジックで繋ぐ、世界で初めての試み。

編者
上野晴樹:国立情報学研究所名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授

 

2026年9月下旬発売予定
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ルールリテラシー 増補新版
─共働のための技術
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b680017.html
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佐藤裕 著
四六判並製196頁・本体2400円+税
ISBN 978-4-7885-1940-4 C1036
ジャンル=社会学


ルールを使いこなす能力=ルールリテラシーをわかりやすく解説し、多くの読者から好評をえた前著が、刊行から10年を経て待望の復刊。「AIとルール」についてのコラムの他、約2万字を増補する。私たちの「ルール観」を一新する、万人のための書。

*教室の「いじめ」、職場での「指示待ち人間」、AIはルールを守ることができるのか……などなど豊富な具体例から学ぶ。

著者
佐藤裕:富山大学人文学部教授

 


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編集後記


共働きで二人の未就学児を育てる中、一番苦労する家事は食事の用意だ。毎日のメニューを考え、食材を数日分まとめて買い出すことが煩わしい時さえある。そんな日々に助けられているのが「Oisix(オイシックス)」という定期宅配サービスだ。

Oisixを利用していると、毎週木曜日の夕方に「今週の定期BOX」が自動で提案される。放置すれば提案内容がそのまま届く仕組みで、これがかなり便利だ。もちろん中身を自由に入れ替えることもできる。しかし、育児に追われ「今夜何を作ろうか」と頭を抱える日々に、勝手に選んでおいてくれる気楽さは何物にも代えがたい。


『選ばない消費 AI時代の暮らしと価値観』(久我尚子/著、集英社新書)


情報があふれる現代社会において、「選ぶことから解放されたい」のは私だけではないらしい。本書は、サブスクやネットスーパー、生成AIなどを背景に、「選ばない」ことを選ぶ現代人の行動パターンとその可能性を多角的に読み解く一冊だ。

人は1日に3万回以上の決断をしているという。夕食の献立、仕事の優先順位、帰宅後の時間の使い方等、現代人は常に「選択の疲労」に晒されている。本書で示されるように、自律的に選ぶことの価値が叫ばれる一方で、過剰な選択肢から解放されたいという欲求もまた、確かなリアリティとして広がっている。


「自分で選ぶ」ことこそが自由の証だと信じられてきた。だが、あらかじめ整えられた提案に身を委ねることで生まれる「余白」にこそ、現代の新しい豊かさがあるのかもしれない。

さて、毎月お届けしている新刊案内は無数に刊行される書籍の中から「選択する」一助になっているだろうか。そうなっていることを願うばかりだ。(H)


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◇奥付
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書評 木村忠正著『ネット世論の構造』@産経新聞 2026年8月23日付

木村忠正 著『ネット世論の構造』の書評が@「産経新聞」2026年8月23日付に掲載されました。評者は長﨑励朗先生(桃山学院大准教授)。ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者様にお礼申し上げます。

「地球村」歩くために


 電子メディアによって空間を超えるコミュニケーションが可能になった状況を指す言葉に「地球村」がある。この言葉が希望とともに語られたこともあった。しかし、今日、われわれが目にしている炎上や分断といった現象は、さながら「村社会」の暗黒面の引き写しである。なぜこうなってしまったのか?

 本書を読めば、答えはおのずから明らかになる。すなわち、「村社会」は人類の根源的性質に根ざしており、ネットはそれを利用し、強める仕組みを内蔵しているのだ。

 このプロセスを理解するために、本書は「累積的文化学習論」を提唱する。......《続きは産経新聞 書評サイトへ》


.....

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 木村忠正 著
 『ネット世論の構造』
 文化進化論・ソーシャルデータ・学習実践共同体
 出版年月日 2026/06/01
 ISBN 9784788519237
 A5判440ページ・定価5,500円

著者インタビュー『ジャーナリズムと記憶の社会学』著者、佐藤信吾さん@毎日新聞 2026年8月15日付

『ジャーナリズムと記憶の社会学』著者、佐藤信吾さんへのインタビューが「毎日新聞」2026年8月15日付に掲載されました。文と写真は栗原俊雄氏。ありがとうございます。

毎年の大戦報道 意義と未来


 メディアは毎年8月、集中的に過去の戦争をふり返る。「日々のニュースを扱うメディアがなぜアジア・太平洋戦争を報じるのか」。その問題設定が、本書の出発点だ。

 「8月ジャーナリズム」に関する従来の研究について、「ニュースの内容、何が報じられ何が報じられなかったのかを中心に問題点を明らかにしてきました。それだけでは批判されながら続いてきた理由や、報じる当事者にとっての意義が見えてきません」。

・・・・・・

 膨大な先行研究や同時代の論考を読み込む。一方で激戦地でありながら、日本の戦争報道が詳しく伝えてこなかったフィリピンの戦跡などに足を運ぶ。体験者の聞き取りも。資料の渉猟と、現地調査。「知の二刀流」が持ち味だ。32歳の若さ。長く豊かな研究の未来に期待したい。
(文と写真 栗原俊雄氏)

 

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佐藤信吾 著
戦場体験者なき時代の八月ジャーナリズムへ
出版年月日 2026/07/03
ISBN 9784788519305
4-6判280頁・定価3630円

 

 

書評  木村忠正 著『ネット世論の構造』@週刊読書人 2026年8月14日付

木村忠正 著『ネット世論の構造 文化進化論・ソーシャルデータ・学習実践共同体』の書評が、「週刊読書人」2026年8月14日付に掲載されました。評者は北村智先生。ご書評いただきありがとうございます。

 「ネットで激しい意見の対立が起きている」「ネットが炎上している」。こうした認識は、いまや特別なものではない。SNSに流れる投稿やトレンド、ニュースサイトのコメント欄を眺めていると、そこに社会全体の空気が映し出されているようにも感じられる。しかし、それは本当に社会全体の姿なのだろうか。あるいは、プラットフォームの仕組みによって選別され、増幅された断片にすぎないのではないか。木村忠正『ネット世論の構造 文化進化論・ソーシャルデータ・学習実践共同体』は、こうした問いに取り組む学術専門書である。
本書が明らかにしようとするのは、ネット上の分断や炎上がいかなる社会的条件のもとで生じ、なぜそれが私たちに「世論」のように見えるのか、という問題である。

…………

 
ネット世論の構造

文化進化論・ソーシャルデータ・学習実践共同体
木村忠正 著
社会学
出版年月日 2026/06/01
ISBN 9784788519237
A5判・440頁
定価5500円

書評  菅沼 明正 著『流転する伝統』@毎日新聞 2026年8月1日付

菅沼 明正 著『流転する伝統』の書評が、2026年8月1日付 毎日新聞に掲載されました。評者は橋本麻里氏。評者の先生に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 去る7月26日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は、奈良県の「飛鳥・藤原の宮都」を世界遺産に登録することを決定した。その報道に接した日本人の相当数が、「なるほど」と脳裏に描く風景があったはずだ。私自身、修学旅行と呼ばれる経験を、多数の国民が当たり前のように共有していることを疑問に思うことはなかった。だが「京都や奈良では文化財を鑑賞するもの」を前提とした文化財鑑賞のあり方は、すなわちそのような「社会制度」に基づいている。それがいったいどのようなものなのか、歴史社会学の立場から書かれた300ページ超の大著が解き明かす理由に、多くの読者は驚かずにいられないはずだ。

........

 だが、何より注目すべきは、菅沼が提示し、書名に掲げた「流転する伝統」という概念だ。身の回りの「伝統」とされるものが、国の政策や企業の経済活動のため、新たに「創られた」ものであることを提示したのは、イギリスの歴史家、エリック・ホブスボウムだ。何かと便利でつい頼りがちだが、菅沼は「ある時点でナショナルな『もの』や『こと』として形成された『伝統』が、長期にわたり人びとに受け入れられ続けるしくみについては、十分に検討されてこなかった」とその限界を指摘、新しい「伝統」が定着し続けるしくみを、「流転する伝統」と名付けた。

........

9784788519213_20260507093401 『流転する伝統
修学旅行と文化財鑑賞の歴史社会学』


菅沼 明正 著
社会学
出版年月日 2026/04/01
ISBN 9784788519213
A5判・360頁
定価4950円

◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第267号■

2026年7月31日発行

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◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第267号■
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◇トピックス
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〇イベント情報

ブックフェアのお知らせ

丸善丸の内本店さま3階にて、心理学書販売研究会ブックフェア、
「こころを楽にする心理学」開催中です。
ぜひお立ち寄りください。
https://shinpanken.blogspot.com/2026/06/3.html


ジュンク堂書店 三宮店5階 フェア棚にて
ジュンク堂書店三宮店様×心理学書販売研究会フェア
「心理学を学ぼう!フェア」を開催中です。
この夏、心理学を学びはじめたい方、さらに学びを深めたい方はぜひお立ち寄りください。
8月31日(月)まで開催予定です。
https://shinpanken.blogspot.com/2026/07/5.html

 

〇新刊情報

7月刊行の下記新刊4点について、HPにてためし読みを公開中です。
ぜひご覧ください。


『オープン・ソシオロジー 2026年 第1号』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b677615.html


『音楽社会学』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b677779.html


『ジャーナリズムと記憶の社会学』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b677430.html


『繭の記号論』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b678019.html

 

〇書評情報

『週刊読書人』アンケート「2026年上半期の収穫から 67人へのアンケート」(2026年7月24日号)に下記書籍の書評が掲載されました。

山田唐波里著『人口の系譜学』(評者:日本近代文学 石原千秋氏)

クリフォード・ギアツ 著、小泉潤二 訳『事実のあと』(評者:メディア論 長谷川一氏)
https://www.shin-yo-sha.co.jp/news/n64478.html


フランツ・ヴァルデンベルガー、ゲルト・ネーゲレ、工藤裕子、松田智生 編『高齢化と介護・日独の経験とアプローチ』が事業構想大学院大学出版部『事業構想』2026年9月号「今月の注目の3冊」で紹介されました。
https://www.shin-yo-sha.co.jp/news/n64476.html


評者の先生方にはこころよりお礼申しあげます。ありがとうございました。

 

◇近刊情報
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2026年8月20日頃発売予定
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赤ちゃんが心と文化に出会うとき
─チンパンジーとの比較から
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b678617.html
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大藪 泰 著
四六判並製184頁・本体2400円+税
ISBN 978-4-7885-1932-9 C1011
ジャンル=発達心理学


心の最初の出発点はどこにあるのか? 赤ちゃんはなぜお母さんの顔をじっと見つめるのか? 言葉を話せない乳児を対象にした心理学研究をひも解き、進化的に人に最も近いチンパンジーと比較しつつ、赤ちゃんが心と文化に気づいていくプロセスをたどる。

*人の赤ちゃんだけが、あお向けに寝て安定していられる理由とは。
*生まれてから2歳頃までの赤ちゃんに生まれつき備わっているもの、新たに身につけていくもの――多くの研究から明らかになったことをやさしく語る。

著者
大藪 泰:早稲田大学名誉教授

著者関連書
『共同注意の発達』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b506735.html

 

2026年9月中旬発売予定
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ワードマップ ナラティブ・マッピング
─「生の現実」から捉える臨床・実践・研究
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b679134.html
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森岡正芳・坂中尚哉・サトウタツヤ 編
四六判並製320頁・本体2900円+税
ISBN 978-4-7885-1935-0 C1011
ジャンル=心理学・社会学


心理、社会、教育、医療、看護をはじめ多様な研究領域で定着した「ナラティブ」。本書はその広がりを「生の現実」を捉えるものとしてマッピングし、各分野の第一人者が解説する。国内外の成果を総覧し未来へひらく、ナラティブ臨床/研究入門の決定版。

*臨床心理から社会文化的展開まで、ナラティブ研究に欠かせない50項目超のトピックを各分野の第一人者が執筆。
*既刊『質的研究法マッピング』『オートエスノグラフィー・マッピング』をはじめ、好評のマッピングシリーズ最新刊。

編者
森岡正芳:立命館大学客員教授/神戸大学名誉教授
坂中尚哉:香川大学医学部教授
サトウタツヤ:学校法人立命館副総長/立命館大学総合心理学部教授

関連書
『オートエスノグラフィー・マッピング』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b667329.html

ワードマップ シリーズ
https://www.shin-yo-sha.co.jp/search/?search_series=13241

 

2026年8月25日頃発売予定
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惑わす社会学
─迷いとわからなさを生きる
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b678622.html
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遠藤英樹 著
四六判並製344頁・本体2800円+税
ISBN 978-4-7885-1937-4 C1036
ジャンル=社会学・観光学


社会学は社会のしくみを明らかにする学問といわれるが、一方で、わかっていると思いこんでいる周りの世界をもう一度わからなくする学問ではないか。身近な映画、ドラマ、音楽などを題材に見慣れた世界が不穏な世界に変わっていく、誘惑の社会学入門。

*社会学とは、わからなさを消す学問ではなく、わからなさとともに生きる学問である。
*社会学を初めて学ぶ人のためのテキストだが、社会の中で生きているすべての人に届けたい。(著者より)


著者
遠藤英樹:立命館大学文学部教授

 

2026年8月24日頃発売予定
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ワードマップ ロスとグリーフ
─うしなうことの心理学
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b678418.html
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川島大輔・渡邉照美・浦田悠・近藤(有田)恵 編
四六判並製248頁・本体2900円+税
ISBN 978-4-7885-1933-6 C1011
ジャンル=臨床心理学


たいせつな人やものをうしなう痛みに、立ち尽くし、悲嘆にくれる。その経験をときほぐし、抱えていけるものにするには、どうすればよいのだろうか。当事者や家族のおもいに触れる支援者や研究者、それぞれがあゆむ道を照らす一冊。

*だれにでも起こりうる喪失(loss)と悲嘆(grief)を深く理解するための41項目。
*多様な喪失から死生観、自殺、エンドオブライフまで、キー概念と実践の両面から見渡す。


編者
川島大輔:中京大学心理学部教授
渡邉照美:佛教大学教育学部准教授
浦田 悠:大阪大学全学教育推進機構准教授
近藤(有田)恵:関西医科大学医学部主任教授

関連書
『自死で大切な人を失ったあなたへのナラティヴ・ワークブック』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b455613.html

 

2026年9月10日頃発売予定
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悲嘆夢に癒されるとき
─喪のプロセスを支える心理臨床
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b679027.html
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清水亜紀子・倉西宏・平尾和之・野口寿一・中野祐子 編著
山本力・岸本寛史 著
四六判並製256頁・本体2900円+税
ISBN 978-4-7885-1936-7 C1011
ジャンル=臨床心理学


大切に思う亡き人が夢に現れることは珍しくない。こういった「悲嘆夢」を見ること自体、またその夢を誰かに語ることが、喪の作業を支えている可能性がある。事例や物語を丁寧に検討するなかで、悲嘆夢を臨床的に活かし、遺された人の心を癒す道を探る。

*悲嘆夢を語り共有する場として、心理臨床がどのように機能していけるか。
*悲嘆夢研究の歴史、夢を見るとはどういうことか、といった基礎知識も丁寧に解説。

編著者 
清水亜紀子:京都文教大学臨床心理学部准教授 
倉西 宏:京都文教大学臨床心理学部准教授 
平尾和之:京都文教大学臨床心理学部教授 
野口寿一:京都大学大学院教育学研究科准教授 
中野祐子:帝塚山学院大学大学院人間科学研究科教授

著者 
山本 力:岡山大学名誉教授、就実大学名誉教授
岸本寛史:静岡県立総合病院緩和医療科

 

2026年8月下旬発売予定
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暮らしのなかで 熱帯を感じる
─シリーズ 暮らしと自然を問いなおす 3
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b678902.html
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原田一宏・井上 真 編
四六判並製304頁・本体3500円+税
ISBN 978-4-7885-1934-3 C1061
ジャンル=環境問題


紙、木材、コーヒー、バナナ、香辛料など、熱帯の産物は私たちの暮らしに欠かせない。森林認証制度やエシカル消費を通して、熱帯林と人々の暮らしや権利を守り、気候危機を脱する方策を、どう構築するか。自分事として考え、熱帯に思いを馳せる。

シリーズの特徴
*著者全員がフィールドワーカー・実践家。調査で収集した資料や写真を活用。
*科学的知見や情報の正確さは学術誌レベルながら読みやすく、現場の実相を掘り下げる。
*人の暮らしと自然の関わり方を通して、気候変動や地域コミュニティの課題解決をボトムアップで探究する。

著者
原田一宏:名古屋大学生命農学研究科教授
井上 真:早稲田大学人間科学学術院教授/東京大学名誉教授

 

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編集後記


 6年前、ちょうどコロナ禍の自粛が始まった頃、奈良に車で行く機会があった。走りながらナビを見ていると道のわきのスペースに鍵穴のような模様がポコポコと出てきては流れていく。その模様が古墳の跡を示していることに気づいて、古代を直に感じられる面白い土地だなと興味をもった。

 以来、不思議なことに奈良に何度も通うことになる。安倍首相が大和西大寺駅前で凶弾に倒れたときも、その数日後、法事があって奈良にいた。早朝、事件の現場があった西大寺駅周辺を歩いてみた。献花台、弔問客、マスコミのカメラなど……ミーハーな見物ではもちろんない。何度かの奈良詣のガイドにしている『奈良の寺』奈良文化財研究所編(岩波新書)を片手に、西大寺・西隆寺の跡を感じるという計画を実行したかったからだ。

 西大寺の建立は764年、称徳天皇(孝謙天皇)と僧・道鏡の二人によるもので、称徳天皇がかなりの権勢をほこった天皇であることがわかる。孝謙天皇は天武系最後の天皇であり、また以降江戸初期まで女性天皇がたてられなかったことなどもふくめて、勉強のしがいのある天皇である。後世、道鏡との関係でいたずらにサゲられすぎたきらいがある。

 さて最近話題になっている『継体天皇』(河内春人著・中公新書)であるが、本書のなにが、どこに惹かれて売れているのかが分からない。一般受けするとは思えない、じつに渋い書籍である。成熟した読者層がそんなにいることが、頼もしく思われる。個人的には磐井の乱についての記述が本書の画期だ。長年の日本古代史の謎が明らかになった研究成果が、じつにコンパクトにまとめられている。

 かつて家永三郎氏が義務教育における歴史教育について、縄文の土器からではなくまず近現代史から過去へ遡っていくといいのではないかという提言をしていた(「歴史の遠近法」)。私もいまや老境の身となり、古代へと遡っている道中なのかもしれない。(N


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◇奥付
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◇トピックス
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〇イベント情報

ブックフェアのお知らせ

丸善丸の内本店さま3階にて、心理学書販売研究会ブックフェア、「こころを楽にする心理学」開催中です。
ぜひお立ち寄りください。
https://shinpanken.blogspot.com/2026/06/3.html


ジュンク堂書店三宮店様5階・新刊話題書の裏棚、フェアコーナーにて、心理学書販売研究会14社の直近1年間に発行された新刊の中から「推し本」をセレクトしたフェアを開催中です。
青色の帯が目印です。2026年6月26日より、1か月間の開催予定です。
https://shinpanken.blogspot.com/2026/06/blog-post.html

 

〇新刊情報

5月~6月刊行の下記新刊3点について、HPにてためし読みを公開中です。
ぜひご覧ください。


『やまだようこ著作集第11巻 かさねのコミュニケーション』
目次、ためし読み
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b677340.html


『高齢化と介護・日独の経験とアプローチ』
目次、ためし読み
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b676953.html


『ネット世論の構造』
目次、ためし読み
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b676454.html

著者、木村忠正先生へのインタビューが、朝日新聞オピニオン&フォーラムに掲載されております。

(インタビュー)生活者2.0
https://www.asahi.com/articles/DA3S16488871.html

 

〇書評情報


菅沼 明正 著『流転する伝統』の書評が、2026年5月26日付千葉日報ほか「沖縄タイムス」(5/23)に掲載されました。(共同通信配信)評者は成田龍一氏。
https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/05/post-b9d0b3.html


評者の先生方にはこころよりお礼申しあげます。ありがとうございました。

 

◇近刊情報
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2026年7月上旬発売予定
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日本質的心理学会20年史

https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b678236.html
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日本質的心理学会 編
B5判並製180頁・本体2000円+税
ISBN 978-4-7885-1926-8 C1011
ジャンル=質的研究・質的心理学


2024年日本質的心理学会が設立20周年を迎えたことを機に、学会の歴史年表、会員エッセイ、学会誌『質的心理学研究』『質的心理学フォーラム』の各号掲載論文、学会大会記録、各種学会賞受賞者、定性的研究論文等の資料を集成、学会の歩みと活動を一望。

*日本質的心理学会20年の活動を集約した貴重な資料集


質的心理学研究
https://www.shin-yo-sha.co.jp/search/?search_series=13251

日本質的心理学会
https://jaqp.jp/

 

2026年7月3日頃発売予定
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ジャーナリズムと記憶の社会学
─戦場体験者なき時代の八月ジャーナリズムへ
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b677430.html
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佐藤信吾 著
四六判並製280頁・本体3300円+税
ISBN 978-4-7885-1930-5 C3036
ジャンル=社会学


現在の出来事に関心をもつジャーナリズムが、なぜあの戦争を報じ続けるのだろうか。そこで生み出される国民的記憶にはどのような物語が掬い取られ、あるいは黙殺されるのだろうか。ジャーナリズム実践論をもとに八月ジャーナリズムを再考する。

*メディア記憶論にはじまり、ジャーナリズム記憶論、そしてジャーナリズム実践論へと理論的な再構成を行う。
*ジャーナリスト個々人の取材・報道といった実践は、八月ジャーナリズムの定型文を打ち破る可能性を秘めている。

著者
佐藤信吾:早稲田大学社会科学総合学術院准教授

 

2026年7月11日頃発売予定
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オープン・ソシオロジー 2026年 第1号

https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b677615.html
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オープン・ソシオロジー編集部 編
A5判並製192頁・本体2200円+税
ISBN 978-4-7885-1931-2 C1036
ジャンル=社会学


社会学の最前線では、いま何が起きているのか。次世代の読者が社会学を学び、教え、研究するための支援となる場を提供する。「若手研究者のための社会学ジャーナリズム」を掲げる新媒体、ついに創刊!

*特集はFRONT-UP「方法論のフロンティア」とBE SOCIOLOGIST「大学院生を教える」の二つ。
*査読を経て掲載が決定した投稿論文三本のほか、研究者ライフコースを充実させるための連載記事も多数掲載。


オープンソシオロジー 創刊の言葉
https://opensociology.net/greeting/

 

2026年7月下旬発売予定
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繭の記号論 叢書セミオトポス20
─技術をめぐる倫理・芸術・哲学
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b678019.html
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日本記号学会 編
A5判並製272頁・本体3600円+税
ISBN 978-4-7885-1927-5 C1010
ジャンル=現代思想・哲学・芸術


イタリアの哲学者コッチャは技術について、変態する繭をイメージした新しい技術観を提示した。閉じつつ開かれて変容する「繭」をモデルに、ユクスキュルの「環世界」論なども加えて、新しいテクノロジーの宇宙論を展開する、記号論ならではの試み。

*ケアから、バイオアート、メディアアート、さらに俳句の韻律論、ベルクソンの時間論まで、「繭」の転生・変容に喚起されたコスモロジーを展開。


「叢書セミオトポス」シリーズ
https://www.shin-yo-sha.co.jp/search/?search_series=13276

 

2026年7月下旬発売予定
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アテンション資本論
─「世界を存在させる力」の政治経済学(仮)
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谷島貫太 著
四六判並製320頁・予価2800円+税
ISBN 978-4-7885-1928-2 C1036
ジャンル=現代思想・メディア論


アテンション(注意)は力だ。インフルエンサーは政治的な力さえ持つ。そしてアテンションは今や資本になろうとしている。プラットフォーマーがもつこの魔力を、マルクス『資本論』に倣って歴史的・多面的に解読し、我々の生きる「いま」を活写する。

*アテンションはもの・ひとを存在させ、さらなるアテンションを呼ぶ。この資本化するアテンションの魔力を描き切る力作。
*最初にアテンション・エコノミーを唱えたが無視された、G・フランクの思想も丁寧に掘り起こし紹介。

著者
谷島貫太:二松學舍大学文学部准教授

 

2026年7月下旬発売予定
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癩者、病いを詠む
─ハンセン病・短歌・皇太后
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松岡秀明 著
四六判上製248頁・予価3200円+税
ISBN 978-4-7885-1929-9 C1091
ジャンル=医療人類学・文学評論


戦前、「癩」といわれて厳しく忌避・差別されたハンセン病者だが、彼らを社会に開こうと努めた人たちもいた。大正天皇妃、療養所の医官・内田守、映画『小島の春』の小川正子などの、「短歌」というメディアを通した救癩活動の実態を多面的にたどる。

*貞明皇后の「つれづれの~」の歌、癩短歌の明石海人、島田尺草などを育てた内田守の短歌雑誌活動、小川正子の奮闘などを、出版、感傷、臣民化などのキーワードで解読する。

著者
松岡秀明:東京大学死生学・応用倫理センター研究員

 

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編集後記


 6月20日・21日に開催された関東社会学会へ参加した。今回は担当編集者の都合がつかず、代打という形での参加だったが、非常に有意義な時間を過ごした。特に参加されていた先生方から伺った公費購入に関するお話は今後の参考になる部分が多く、その後に訪れた東京大学生協駒場書籍部の店長との商談でも、さっそく学会での話題を共有することができた。

 その営業先にて「あなたのための本が入荷したので取り置きしておいた」と、ある1冊をおすすめしていただいた。


『柑橘の文化史』(花木宏直/著、春風社)


 本書は、かつて主流だった小蜜柑から温州蜜柑への転換、近代の流通や海外輸出など、近世から近代にかけての日本の農業の展開を「柑橘」を事例として読み解いていく1冊。専門書として純粋に興味深い内容だが、実は私の実家はみかん農家。店長のお見立て通り、私自身がまさに読まなければならない1冊だった。

 私のほかに誰が買うのかといらぬ心配をしてしまうが、こうした本に予期せず出会えたときの喜びはひとしおだ。300頁を超える大著ということもあり、まだすべてを読み通せてはいない。しかし、私の地元である和歌山県について書かれている部分では知らないことも多く、思わず唸りながら頁をめくっている。索引や参考文献が充実しているのもうれしいところで、ここから芋づる式に気になる本が増えていく予感がしている。

 今回はありがたいことに、店長からお土産としてみかんゼリーまでいただいた。冬になったら、実家の有田みかんを「献本」ならぬ「献みかん」として、感謝とともにお届けしたいと思う。(H)


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◇奥付
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2026年5月29日発行

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◇トピックス
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〇イベント情報

ブックフェアのお知らせ
丸善丸の内本店さま3階にて、心理学書販売研究会ブックフェア、「こころを楽にする心理学」6月1日(月)より開催です。
ぜひお立ち寄りください。

 

〇新刊情報

4月~5月刊行の下記新刊4点について、HPにてためし読みを公開中です。
ぜひご覧ください。


『ネット世論の構造』
目次、ためし読み
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b676454.html


『流転する伝統』
目次、ためし読み
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b674807.html


『現象学入門』
目次、ためし読み
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b674797.html


『脳と心はどこから来たか』
目次、ためし読み
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b673240.html

 

〇書評情報

菅沼 明正 著『流転する伝統』の書評が、2026年5月2日付朝日新聞に掲載されました。評者は吉田裕氏。
https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/05/post-db4b74.html


ポール・リクール 著 山野 弘樹 訳『イマジネーション講義 フィクションの現象学』の書評が、2026年5月8日付「週刊読書人」に掲載されました。評者は長門祐介氏。
https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/05/post-ea9038.html


J.ノエル・ミサ、P. ヌーヴェル 編、橋本一径 訳『ドーピングの哲学』を毎日新聞2026年5月4日付「今を生きる、今を書く:今読むべき一冊(その5)」にてご紹介いただきました。
「今を生きる、今を書く」は、町田樹氏による「アーティスティックスポーツ」論です。
https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/05/post-686c2a.html


菅沼 明正 著『流転する伝統』の書評が、2026年5月26日付千葉日報ほか「沖縄タイムス」(5/23)に掲載されました。(共同通信配信)評者は成田龍一氏。
https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/05/post-b9d0b3.html


評者の先生方にはこころよりお礼申しあげます。ありがとうございました。


◇近刊情報
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2026年6月上旬発売予定
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やまだようこ著作集第11巻 かさねのコミュニケーション
─ビジュアルと詩的生成
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b677340.html
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やまだようこ 著
A5判並上製552頁・本体5900円+税
ISBN 978-4-7885-1924-4 C1011
ジャンル=心理学・質的心理学


人は「語る」ことによって他者と声や感情を「かさね」、詩的ことばやビジュアルイメージを通じてナラティヴを共同生成する。ズレながら通じあう共通項を見つける共感的関係のコミュニケーションの理論的枠組みと実践例を呈示、新たな発展への道を示す。

*詩的ことばとイメージの意味を「かさね」て共同生成される、「共感的関係のコミュニケーション」の提唱

著者=京都大学名誉教授、立命館大学 OIC 総合研究機構上席研究員


やまだようこ著作集
https://www.shin-yo-sha.co.jp/search/s13260.html

 

2026年6月中旬発売予定
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音楽社会学
─統計データで読む現代人と音楽
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木島由晶・南田勝也・永井純一・小川博司 編著
小川豊武・野村駿・知念渉 著
A5判並製208頁・予価2900円+税
ISBN 978-4-7885-1925-1 C1036
ジャンル=社会学


人びとはどのように音楽を聴いているのか?現代は音楽が日常に浸透した「音楽化社会」だが、その実態やデータは知られていない。ファンやジャンルの捉え方、ジェンダーや世代による傾向、聴衆類型や階級との関連などを統計調査から読み解く必携入門書。

*30年間の統計調査と国際比較から紐解く、好評既刊『音楽化社会の現在』のチームによるアップデート版。
*サブスクやショート動画は音楽の聴き方をどう変えたのか? アイドルファンとロックファンは何が違うのか?若者の○○離れ(音楽、洋楽、ライブ)は本当か?といった疑問にも答える。

編著者
木島由晶:桃山学院大学社会学部教授
南田勝也:武蔵大学社会学部教授
永井純一:京都橘大学経済学部教授
小川博司 :関西大学社会学部名誉教授

 

2026年6月中旬発売予定
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高齢化と介護・日独の経験とアプローチ
─地域コミュニティの現状と課題
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b676953.html
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フランツ・ヴァルデンベルガーほか 編
A5判並製322頁・本体5800円+税
ISBN 978-4-7885-1896-4 C3036
ジャンル=高齢化・福祉・介護


日本とドイツは世界有数の超高齢社会。ドイツをモデルにしてきた日本の介護保険制度は危機の渦中にある。日独両国はどのように課題に対処してきたのか? 豊富な経験や解決策を共有して、持続的な介護保険制度と高齢者ケアシステムを展望する。

*日独の高齢化研究・老年学の第一線の専門家が、統計データと先進事例の両面から検証、比較分析する。
*ドイツ日本研究所による日独共同研究の出版。日本の介護保険発足から25年後の現状と課題を掘り下げる。

編者
フランツ・ヴァルデンベルガー:ドイツ日本研究所所長
ゲルト・ネーゲレ:ドルトムント工科大学教授
工藤裕子:中央大学教授
松田智生:三菱総合研究所主席研究員

 

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編集後記


 先日、根府川にある小田原文化財団・江之浦測候所に行った。連れの言うままにただついていくという主体性のない小旅行だった。根府川の駅前で送迎バスを待っていると、海外からの訪問客と思われる方が多く列をなしていたので、世界的にも有名なスポットなのだろうかと、ぼーっと考えていた。

 バスにのって10分ほどで到着、階段をのぼると観音様の像があった。現代彫刻に見えるそのフォルムに、コンセプトアートの空間なのかしら、とようやく興味がでてきた。実際はハチに住まわれ、かじられた痕跡をとどめた、ほんとうの観音像だったわけだったのだが。

 回廊の空中ギャラリーに展示されたモノクロの海の写真をみて、ようやく杉本博司さんとこの江之浦測候所の設立者が同人物であると結びついたのだったが、とにかく濃密な時間を経験できる場所であった。


 偶然にも「ユリイカ」の最新号(2026年6月号)が「杉本博司」特集で、思わず手にとった。ざっとインタビューを読みながら、ニューヨークで荒川修作氏と出会ったのかなあ、などと妄想した。というのも江之浦測候所を歩きながら、思い出したのは養老天命反転地だったから。ともあれ、今度は知識を少し入れてから根府川に行ってみたい。雨の日に、また冬の寒いときに。

 しかし「ユリイカ」、活字が小さいな。(N


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◇奥付
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書評  菅沼 明正 著『流転する伝統』@東京新聞 2026年7月4日付ほか

菅沼 明正 著『流転する伝統』の書評が、2026年7月4日付 東京新聞ほか、「千葉日報」(5/26)、「沖縄タイムス」(5/23)に掲載されました。(共同通信配信) 評者は成田龍一氏。評者の先生に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 1984年生まれの歴史社会学者の350㌻を超える大著で、副題は「修学旅行と文化財鑑賞の歴史社会学」とある。考察されるのは、京都や奈良の名所旧跡、史跡、あるいは古い社寺やそこに伝わってきた宝物が文化財とされ、それを鑑賞するという態度が成立・普及する過程である。

........

 背景には伝統文化とは何かという問いがあり、国民国家の下でいかに人々を結び付けるのに機能してきたのかという視点がある。明治期の文化財政策による方向付け、大正期における鉄道網の発達とそれに伴う旅行機会の増大、そして戦時期ー戦後期ー高度成長期における人々の文化財鑑賞の様相をたどり、ナショナルアイデンティティーのありかを明らかにする。

........

9784788519213_20260507093401 『流転する伝統
修学旅行と文化財鑑賞の歴史社会学』


菅沼 明正 著
社会学
出版年月日 2026/04/01
ISBN 9784788519213
A5判・360頁
定価4950円

◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第264号■

2026年4月30日発行

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◇トピックス
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〇書評情報

有賀 ゆうアニース 著『「混血児問題」の歴史社会学 戦後日本の人種的境界』の書評が、2026年3月27日付「週刊読書人」に掲載されました。評者はウォント盛 香織氏。
https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/04/post-caa790.html

巽 美奈子 著『〈栄養〉の誕生』の書評が、2026年4月18日付日本経済新聞に掲載されました。評者は阿古 真理氏。
https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/04/post-9fd464.html


巽 美奈子 著『〈栄養〉の誕生』の書評が、2026年4月26日付京都新聞に掲載されました。評者は畑中 三応子氏。
https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/04/post-378a79.html


評者の先生方にはこころよりお礼申しあげます。ありがとうございました。

 


◇近刊情報
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2026年5月28日発売予定
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ネット世論の構造
─文化進化論・ソーシャルデータ・学習実践共同体
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b676454.html
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木村 忠正 著
A5判並製440頁・本体5000円+税
ISBN 978-4-7885-1923-7 C3036
ジャンル=社会学


ヒトはなぜ炎上に参加し、フェイクや分断はいかに生まれるのか。それはネット固有の問題ではなく、人類のモラルと集団性に根差す現象だ。進化論や大規模ソーシャルデータ分析、そして「累積的文化学習論」から解く、ネット世論の動因と日本社会の課題。

* 好評既刊『ハイブリッド・エスノグラフィー』の著者による、ネット世論研究の集大成。

著者=立教大学社会学部教授


著者関連書
『ハイブリッド・エスノグラフィー』
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b455407.html

 

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編集後記


 仕事机のパソコンの入れ替えに伴うデータの引き継ぎ。そんな気の重い作業を「手伝って」くれたのはAIだった。手順に困ったとき、正確な検索ワードがわからなくても、曖昧な問いかけに答えを返してくれる。その便利さは確かだ。

けれど一方で、AIはあまりにも堂々と「嘘」をつくことがある。以前、自社のHPに「〇〇という本を探している」と問い合わせがあった。著者名は確かにうちから何冊も出している方だし、タイトルもいかにも「ありそう」なもの。だが、どれだけ調べてもそんな本は存在しない。学会誌の論文ですらなかった。結局、お客様にどこでその本を知ったのか尋ねてみると、「AIが教えてくれた」という答えが返ってきた。

実際には存在しない、幻の一冊。 AIは一体どうやってこの「嘘」を学習したのだろうか。驚くことに、こうした事例はすでに数件起きている。これからも「幻の本」を探す声は、増えていくのかもしれない。


『生成AIを活用したレポート・論文の書き方』(伊藤貴之/著、慶應義塾大学出版会)


 そんな中、営業先の東京大学生協本郷書籍部で「売れている」と紹介されたのが、伊藤貴之氏の著書だ。本書は、生成AIをあくまで「補助的に」使いながら、レポートや論文を編むための思考法をまとめている。問題を丸投げするわけでも、回答をそのままコピペするわけでもない。AIと何度も対話を繰り返しながら、いかに自分自身の思考を深めていくか──。 初版1万部が発売1ヶ月で重版されたというのも、世間の関心の高さの表れだろう。

 タイトルこそ「レポート・論文の~」となっているが、これは学生のためだけの本ではない。急速に広まったAIとの距離感に戸惑いを感じているすべての人に、ぜひ手に取ってほしい一冊だ。(H)


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◇奥付
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電話  03(3264)4973(代)
FAX 03(3239)2958
e-mail info@shin-yo-sha.co.jp
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次回発行は2026年5月下旬頃を予定しております。

紹介 「毎日新聞」2026年5月4日付「今を生きる、今を書く:今読むべき一冊(その5)」=町田樹/67

J.ノエル・ミサ、P. ヌーヴェル 編、橋本一径 訳『ドーピングの哲学』を毎日新聞2026年5月4日付「今を生きる、今を書く:今読むべき一冊(その5)」にてご紹介いただきました。
「今を生きる、今を書く」は、町田樹氏による「アーティスティックスポーツ」論です。

 

・・・・・・
 かくして私たちがこれまで当たり前のように信じてきた「反ドーピング」や「フェアプレー」といった概念はいま、エンハンスト・ゲームズの登場によって大きく揺さぶられているのである。
 ゆえに私たちは、これらの概念を今一度見つめ直し、エンハンスト・ゲームズを評価する必要に迫られているのだが、そのような時だからこそ、「ドーピングの哲学――タブー視からの脱却」(新曜社、2017年)を今読むべき一冊としておすすめしたい。
 この本は、11年にフランスで出版された反ドーピングの取り組みを考察する論文集の翻訳本(翻訳者・橋本一径氏)である。書き手には、哲学者のジャン=ノエル・ミサ氏をはじめ、生物学者や社会学者、倫理学者、スポーツ医学者など、多岐にわたる専門家が名を連ねているのだが、彼らは本の副題にもあるように、従来タブー視されてきたドーピング撲滅運動の問題性をそれぞれの学術的見地から指摘し、スポーツのあり方を問い直す必要があると主張する。

・・・・・・

 私は正直に言って、著者らが構想する新しいスポーツのあり方には、議論が不十分な点が多々あると思っており、賛同できない。しかし、本書を読めば、ドーピングはもはや善悪の二元論で考えられるものではなくなっているということは、よくわかる。スポーツ界には、ドーピングは論外だとの見解を示す論者が多いが、これからはスポーツに携わるすべての関係者が、どこにドーピング行為とそうでない行為を分かつ線を引くのか、そもそも反ドーピングとはいかなる行為で、その背後にあるスポーツ精神(フェアプレーと言い換えてもよい)とはいったい何なのかを、絶えず真剣に議論し続けなければ、それこそスポーツが時代錯誤の文化に陥ってしまいかねない。皆さんはこの問題をどう考えるだろうか。
・・・・・・
>>>>>>毎日新聞紹介ページへ

 

9784788515468 『ドーピングの哲学
 タブー視からの脱却』

J=N. ミサ、P. ヌーヴェル 編 
橋本 一径 訳
社会学
出版年月日 2017/10/31
ISBN 9784788515468
四六判・326頁
定価4730円

 

 

書評 ポール・リクール 著 山野 弘樹 訳『イマジネーション講義』@2026年5月8日付「週刊読書人」

ポール・リクール 著 山野 弘樹 訳『イマジネーション講義 フィクションの現象学』の書評が、2026年5月8日付「週刊読書人」に掲載されました。評者は長門裕介氏。評者の先生に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 私たちは日常生活の中で「イメージ(想像)」や「イマジネーション(想像力)」という言葉を頻繁に用いている。「イメージで語らず本当のところを調べないと」「実家にいる犬が元気にしているところを想像する」「写真はイメージです。実際の商品と異なることがあります」「チェロの弓を持つときは卵を持つようなイメージで」「もっと他人に対する想像力をもつべきだ」というようにである。
 こうした用法を眺めていると「イメージ」には実にいろいろなものが担わされているのがわかる。

・・・・・・

 ポール・リクールの『イマジネーション講義 フィクションの現象学』(以下、「本書」)は、このように馴染み深くも複雑な「イメージ」と「イマジネーション」についての哲学史における位置づけを見定めたうえで、その哲学的なポテンシャルを再考するという野心的な講義の記録である。

・・・・・・

 

9784788519077
『イマジネーション講義
フィクションの現象学』


ポール・リクール 著 山野 弘樹 訳
哲学・思想
出版年月日 2026/01/11
ISBN 9784788519077
A5判・528頁
定価7150円

書評  菅沼 明正 著『流転する伝統』@朝日新聞 2026年5月2日付

菅沼 明正 著『流転する伝統』の書評が、2026年5月2日付朝日新聞に掲載されました。評者は吉田裕氏。評者の先生に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 文化財行政は、2018年の文化財保護法の改正によって、大きな転換期を迎えている。「文化財の保護」から「文化財で稼ぐ」政策への転換である。背景にあるのは、政府の「観光立国」路線だ。しかし、専門家から強い危惧の念が表明されているにもかかわらず、国民の関心はそれほど高くはない。文化財に対する理解を今後一層深めていく必要があるだろう。
 本書は、京都・奈良への修学旅行を主な事例として、「日本の文化的なナショナル・アイデンティティ」がどのようにして形成され、どのように受容され続けていったのかを解明した研究である。分析の対象は、政策や法律、旅行、出版メディア(旅行案内書・ガイドブック・旅行雑誌など)の三領域であり、領域間の相互作用に注目しながら、文化財の鑑賞という形をとった観光旅行が定着していくプロセスを緻密(ちみつ)に検証している。

........

 学問上の貢献という点でいえば、本書の最大の成果は、エリック・ホブズボウムの「創られた伝統」概念を発展させたことだ。近代国民国家の文化的・思想的基盤の一つは、その国の「伝統文化」である。近年の研究は、その起源をたどることによって、「伝統文化」が近代化のある段階で形成された「創られた伝統」であることを明らかにしてきた。それに対して本書は、「伝統文化」の起源ではなく、それが社会の変化に対応しつつ受容されていくプロセスそのものに分析の焦点を合わせた。まさに「流転する伝統」である。

........

>>>>>>朝日新聞書評ページへ

9784788519213_20260507093401 『流転する伝統
修学旅行と文化財鑑賞の歴史社会学』


菅沼 明正 著
社会学
出版年月日 2026/04/01
ISBN 9784788519213
A5判・360頁
定価4950円

書評  巽 美奈子 著『〈栄養〉の誕生』@京都新聞 2026年4月26日付

巽 美奈子 著『〈栄養〉の誕生』の書評が、2026年4月26日付京都新聞に掲載されました。評者は畑中 三応子氏。評者の先生に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

 今や栄養学に基づく健康な食事が国民の義務のようになり、食事でカロリーやボリュームを気にせず満足感を得ようとすることが「ギルティー(罪悪感)消費」と呼ばれる時代になった。だが、明治期には正しい食事で健康になるという発想はまだなかった。栄養学がどのように生まれて受容されたのか、本書は最初期の経緯を明らかにする。

 貧弱だった日本人の体格を改善すべく、西洋料理が滋養に富む食事として称賛されていた大正期、日本の栄養学の創始者、佐伯矩が登場した。

........

 かくして栄養学は食べ方をコントロールするようになっていったが、これだけの業績を上げたのに変人扱いされ、一般には忘れられた佐伯を知るだけでもこの本を読む価値がある。ただし、健康志向への強制と栄養至上主義がますます強まる現在、佐伯を恨めしく思わないでもない。

9784788519114

 

『〈栄養〉の誕生
「健康のための食事」をめぐる抵抗と受容』


巽 美奈子 著
社会学
出版年月日 2026/03/05
ISBN 9784788519114
4-6判・232頁
定価3520円

書評  巽 美奈子 著『〈栄養〉の誕生』@日本経済新聞 2026年4月18日付

巽 美奈子 著『〈栄養〉の誕生』の書評が、2026年4月18日付日本経済新聞に掲載されました。評者は阿古 真理氏。評者の先生に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

 以前、キッチンの歴史を調べた折、家政学の創始者、エレン・リチャーズが、シェアキッチンを使って栄養バランスが整った食事の仕方を貧困者に伝えようとしたが、3年近くにわたり拒絶され続け、失敗した史実を知った。

健康を守るには、栄養のバランスが整った食事の実践が必要と言われる。しかし、誰もがそうした食事を好むわけではないし、日々栄養バランスを考え食事を調える台所の担い手は、負担が大きい。この葛藤について社会学の視点から切り込み、栄養に関する日本の近代史を描いた本である。

........

 栄養教諭だった著者は、従来の栄養教育に限界を感じて学んだことを相対化すべく大学院に入り、まとめた博士論文が本書の元になっているという。今後の研究で、著者が栄養バランスと食、ジェンダーと食の担い手の関係など、本書が示したいくつもの種を、育てていくのを楽しみにしている。

>>>>>>日本経済新聞書評ページへ

9784788519114

 

『〈栄養〉の誕生
「健康のための食事」をめぐる抵抗と受容』


巽 美奈子 著
社会学
出版年月日 2026/03/05
ISBN 9784788519114
4-6判・232頁
定価3520円

◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第263号■

2026年3月16日発行

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◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第263号■
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◇トピックス
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〇イベント情報

ブックフェアのお知らせ
丸善丸の内本店さま3階にて、心理学書販売研究会ブックフェア、
「キャリアカウンセリング キャリアコンサルティング」好評開催中です。
https://shinpanken.blogspot.com/2026/03/3.html

ぜひお立ち寄りください。


〇書評情報

有賀 ゆうアニース 著『「混血児問題」の歴史社会学 戦後日本の人種的境
界』の書評が、2026年2月28日付毎日新聞に掲載されました。評者はジョエ
ル・ヨース氏。

https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/03/post-d05af8.html

 

また同日、日本経済新聞でも『「混血児問題」の歴史社会学 戦後日本の人種
的境界』の書評が掲載されました。評者は安田菜津紀氏。
https://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2026/03/post-4e3ebf.html

評者の先生方にはこころよりお礼申しあげます。ありがとうございました。

 


◇近刊情報
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2026年3月24日発売
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司法面接でひらく事実確認
─「聴き方」の心理学
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b673832.html
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武田悠衣 著
A5判並製170頁・本体3900円+税
ISBN 978-4-7885-1920-6 C1011
ジャンル=心理学


虐待・いじめ・ハラスメントといった被害/加害にまつわる事実を私たちはど
う「聴く」べきなのか。聴き手は語り手にどのような影響を及ぼしえるのか。
事実確認の技法である司法面接の考え方を、教育や産業など他領域へと応用す
る可能性を検討する。

司法面接は司法・福祉領域といった特定の場面で用いられる技法だが「事実を
確認する際に聴き手はいかなる影響を及ぼしえるのか」という普遍的な問いを
含む。

著者=立命館大学OIC総合研究機構専門研究員

 


2026年3月27日発売
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つながりの「曲がり角」
─データで読むモバイル・コミュニケーションの変遷
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b673833.html
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松田美佐、土橋臣吾、辻泉 編
四六判並製212頁・本体2700円+税
ISBN 978-4-7885-1919-0 C1036
ジャンル=社会学


モバイルメディアが浸透して30年。このインフラとともに私たちの「つなが
り」はどう変化したか?友人や家族・パートナー形成からジェンダーや趣味・
仕事との関わりと格差まで、現代人が直面する「曲がり角」を20年間の全国調
査データから展望する。

執筆者陣(モバイル・コミュニケーション研究会)が2001年、2011年、2021年
の3回に渡って実施した全国調査データから紐解くモバイル社会の変遷。

編者:
松田美佐(中央大学文学部教授)
土橋臣吾(法政大学社会学部教授)
辻泉(中央大学文学部教授)

 


2026年3月26日発売予定
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質的心理学研究 第25号
特集 「変化」をとらえる質的研究
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b674533.html
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日本質的心理学会『質的心理学研究』編集委員会 編
B5判224頁・本体3000円+税
ISBN 978-4-7885-1915-2 C1011
ジャンル=質的研究・心理学


岐路に立たされる人はなにを選択しどのように変わるのか。また、変わらない
ものは何なのか。特集「『変化』をとらえる質的研究」では、変化の激しい時
代や社会の趨勢に応じ、個人や集団が影響しあい変容する過程を8本の論考で
描き出す。一般論文4本収載。

 


2026年4月3日発売予定
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流転する伝統
─修学旅行と文化財鑑賞の歴史社会学
https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b674807.html
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菅沼明正 著
A5判360頁・本体4500円+税 
ISBN 978-4-7885-1921-3 C1030
ジャンル=社会学


いかにして京都・奈良は「日本人の心のふるさと」になり、「国宝」は伝統文
化となったのか。修学旅行の定番化、「文化財鑑賞という制度」の成立の経緯
などをたどることで、伝統は創られるだけでなく、変容し流転することを具体
的に説いた、気鋭の意欲作。

・新「日本巡礼」ともいえる、日本(人)のアイデンティティの形成を探る試み
でもある。

著者=九州産業大学地域共創学部観光学科准教授

 


2026年4月3日発売予定
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現象学入門

https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b674797.html
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ダン・ザハヴィ 著 中村拓也 訳
四六判並製288頁・本体2900円+税 
ISBN 978-4-7885-1922-0 C1010
ジャンル=哲学

心、身体と生世界、自己と他者といった核心的主題を主要な現象学者の議論に
そって解説。心理学・精神医学・社会学への応用や質的研究・認知科学との接
点、批判的現象学まで、現象学の多様な可能性を示し、現在地を見定める。定
評ある現象学入門書の最新の改訂版、2025年刊行の第2版の完訳。

著者=ダン・ザハヴィ コペンハーゲン大学教授 
訳者=中村拓也 同志社大学教授


_________________________________

編集後記

 

 個人的な話で恐縮ですが2月の初めに緑内障の手術を受けて、1週間ほど入
院した。


 出版健保で緑内障を指摘されてから、漫然と目薬治療を続けていた。専門病
院で診てもらおうかと思ったこともあったが、そこで冷徹な診断を受けるのも
怖い。結果、先延ばし。日替わり勤務の情熱のない医師による、おそらく効果
のない点眼治療というぬるま湯に数年浸かってきたツケがまわってきたのだ。


 事態が急展開したのは昨年の暮れ、2年ほど前から細かい数字を合わせる仕
事が加わり、パソコンモニターにへばりつき、その無理がたたったのだと思う。
急に右目の視力が落ち、緑内障の定期検診の時に当番の眼科医に相談した。


 この先生はかなりの「あたり」であった。すぐに紹介状を書いてくれて、大
学病院に行くことを勧めてくれた。これが年末の最後の診察日。通常なら無視
して先延ばしする私だが、今回は肚を決め、ちゃんと年始の予約をとり、そし
て診察に行ったとたんに、トントントーンと一気に手術をする流れとなった。
これも運命、もはや受け入れるしかあるまい。


 手術後。入院患者は外来の患者さんが来る前に朝早く診察する。しかし時間
がズレて朝8時を過ぎると外来さんでごった返してしまい、そうした特権性は
失われる。執刀医の診察をずっとうなだれて待ちながら、手術をした右目のこ
とを考えていると、ああ、そういえば村上春樹の小説に、目になんか刺して普
通の視力は失うけれど、別のものが読めるようになる話がなかったっけ? サ
クッとメスを入れる感じが心地よかったような。実際の手術を経たあと、どん
な感じに読めるんだろうか。そんなことを考えていると、


「ムラカミさーん、ムラカミハルキさーん、17番視力検査室にお入りくださー
い」という検査士さんの大きな声が聞こえた。


 あまりのタイミングの良さにギョッとしてしまい、頼りない左目で検査室を
見ると、もちろん違う男性だった。彼は今までも診察室で見ず知らずの人間か
ら目を向けられる人生だったに違いない。

 私にとって今回の手術は世界の終わりだった。手術直後は目をあけてもくら
やみだった。しかも、

 「右下向いて、違う、右下! 目をキョロキョロすんな!」。

 手術中、患者が怒鳴られる世界。じつにハードボイルドであった。(N

_________________________________

◇奥付
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書評 有賀 ゆうアニース 著『「混血児問題」の歴史社会学』@2026年3月27日付「週刊読書人」

有賀 ゆうアニース 著『「混血児問題」の歴史社会学 戦後日本の人種的境界』の書評が、2026年3月27日付「週刊読書人」に掲載されました。評者はウォント盛 香織氏。評者の先生に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

 ・・・・・・
 評者が本書において特に興味深かった章は、「戦後日米混血児」誕生前を分析した1章である。著者は、「戦後日米混血児」誕生前から女性団体を含む市井の人々が、日本人女性と連合国軍の軍人・軍属との間の混血児誕生予想を記述した民衆流言資料の中で、こうした子どもが生まれることとその母親たちを「肩をすくめるに余りある」「ハズカシイ」ことと見なし、「罰を下すべきだ」とするほど否定的にとらえていたことを示している。「戦後日米混血児」を産んだ女性は、パートナー選択と性行動において人種境界やセクシュアリティ規範を逸脱しただけでなく、家を継ぐべき日本人嫡子を産まないという家規範に反するなど幾重の逸脱行為を犯した女性たちとして見なされ、それゆえに彼女たちとこれから生まれるであろう子どもたちへの一般市民の強い拒否感が醸成されていたことが分かる章となっている。・・・・・・

 

 

9784788519084_20260309141701『「混血児問題」の歴史社会学
戦後日本の人種的境界』


有賀 ゆうアニース 著
社会学
出版年月日 2026/01/30
ISBN 9784788519084
4-6判・344頁
定価4290円

 

書評 有賀ゆうアニース 著『「混血児問題」の歴史社会学』@毎日新聞 2026年2月28日付

有賀 ゆうアニース 著『「混血児問題」の歴史社会学 戦後日本の人種的境界』の書評が、2026年2月28日付毎日新聞に掲載されました。評者はジョエル・ヨース氏。評者の先生に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 本書の帯に「人種は人々の人生行路をいかに形づくるのか」とある。過去形ではない。タイトルの「混血児問題」は、確かに、敗戦後の占領期に連合国軍兵士と日本人女性の間に生まれた子どもたちにまつわる議論と対策を指す。ただし、「混血児」たちの置かれた状況を規定する様々なメカニズムが消えてしまったわけではない。著者の有賀は21世紀の日本社会の現状と行方を考えるうえでも貴重な思考枠組みを提供してくれる。

 本書は学術書である。石を投げられるなど、子どもたちの痛ましい体験談も紹介されているが、重点は社会学的な分析に置かれている。戦後の日本社会において、「混血児」といわれる子どもたちがどのように包摂あるいは排除されたか。一様でない処遇を可能にした観念とそれらがもたらした帰結を検討する有賀の丁寧な行論は、読者の思考を研磨してくれる。

........

敗戦直後、「混血児が20万人いる」という説が広がった。全国調査してみると、その数は4000人弱だったことが判明した。2025年の日本に在住する外国人の数は400万人ほど。「ミックス」と言われる子どもたちが増えることは必至である。彼らがその能力を発揮して、この国の将来の一翼を堂々と担えるようにするのにはどうすればよいか。多様性の尊重か、それとも同化か。まずは社会学者だけでなく、偏見に流されたくない市民が本書を手に取って思考を研いでいけばよいのではないか。

>>>>>>毎日新聞書評ページへ



9784788519084_20260309141701『「混血児問題」の歴史社会学
戦後日本の人種的境界』


有賀 ゆうアニース 著
社会学
出版年月日 2026/01/30
ISBN 9784788519084
4-6判・344頁
定価4290円




書評 有賀ゆうアニース 著『「混血児問題」の歴史社会学』@日本経済新聞 2026年2月28日付

有賀 ゆうアニース 著『「混血児問題」の歴史社会学 戦後日本の人種的境界』の書評が、2026年2月28日付日本経済新聞に掲載されました。評者は安田菜津紀氏。評者の先生に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

…….1953年に厚生大臣宛てに出された「混血児対策に関する答申」の中に、気になる文言があった。《基地周辺の女性に対しては、軽率な交際によって混血児を生むことのないよう啓発に努めること》

「望ましくない」と見なした女性を罰するまなざしもさることながら、「混血児」が「生まれない方がいい存在」であるかのような言いぶりではないか。

当時から果たして、社会は変わっただろうか。街中で「日本人ファースト」というスローガンが踊り、「同化するか、出ていくか」という極論が突き付けられながらも、日本政府は人種差別を規制するための本格的な措置には消極的な態度を貫いている。

本書は主に50年代までの中央政府の「混血児問題」をめぐる政策などを中心にしているが、きわめて現代的な示唆を含んでいる。

9784788519084_20260309141701 「混血児問題」の歴史社会学
戦後日本の人種的境界

有賀 ゆうアニース 著
社会学
出版年月日 2026/01/30
ISBN 9784788519084
4-6判・344頁
定価4290円





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