カテゴリー「書評」の記事

2018年7月11日 (水)

書評 図書新聞 7月14日 2018年付 小杉亮子 著『東大闘争の語り』

弊社刊行『東大闘争の語り 社会運動の予示と戦略』
図書新聞 7月14日 2018年付にて、
紹介されました。評者は皆川勤氏。評者の先生、書評誌ご担当さまにこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。


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このように述べていく著者が提示する「予示」的なるものを、あえて収斂させた言い方をするならば「ひととひととの関係や共同体のあり方」を問うていくものであると理解していいのではないか、とわたしは思う。国家の有様を変革するためには、まず国家権力の奪取ありきというのはロシア革命以降のロシア・マルクス主義の誤謬でしかない。マクロなものとミクロなものはコインの裏表だと思う。ミクロなものが集積してマクロなものがかたちづくられると、わたしなら捉えたいから、「予示的政治」と「戦略的政治」に関して、留保したいことがある。それは、「政治」ではなく、「反政治」とすべきではないかということだ。あるいは、「行為」、「行動」といいかえてもいいかもしれない。かつて、わたしは、「行為の共同性」ということに拘泥していたから、そのようにいいたいわけではないが。

 わたしが、全共闘という諸相に距離を置き、振り返ることを忌避し続けてきたのは、無党派、ノンセクトと括ることの安易さと、結局、党派によって主導され、安保決戦なる空疎な設定で全国全共闘を結成したことへの疑義があるからだ。しかし、本書には語り手それぞれの現在も述べられていて、そこではまぎれもなく、「人と人との関係や共同性のありかた」をいまだに問い続けていることが示されている。

 著者に誘われて、わたしもまた、もう一度、全共闘の有様と行動(行為)に関して再考すべきだと喚起されたといっておきたい。



9784788515741

 小杉亮子 著

東大闘争の語り
――社会運動の予示と戦略

 A5判上製480ページ
定価:本体3900円+税

発売日 2018年5月15日
ISBN 978-4-7885-1574-1

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書評 ハンス=ジョージ・メラー著/吉澤夏子 訳 『ラディカル・ルーマン』

ハンス=ジョージ・メラー著/吉澤夏子 訳
ラディカル・ルーマン――必然性の哲学から偶有性の理論へ
の書評が、「図書新聞」7月7日号に掲載されました。評者は犬飼裕一氏。
評者の先生、書評誌担当者さまには心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

ラディカルという言葉の意味論的転換 犬飼裕一
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・・・・・・メラーは、もしもルーマンが明快な文章で書いたならば、「68年以降のドイツの学会から徹底的に排斥さてる恐れなしにはけっして言えるはずのなかった多くのことを実際にいうことができた」(19頁)と指摘する。それを晩年のインタビューにあるルーマンの表現を使って「トロイの木馬」と呼ぶ。ルーマンの「眠くなるような」文体は、内部に傭兵を隠した木馬であり、既存の学会や知的世界の城壁内に潜り込むための偽装でもあったと考えるのである。
ルーマンの考えでは、左翼が行ってきた資本主義への批判のような「視野の狭い批判」よりも、自分がやっているような「徹底的に構成された概念的な社会理論」の方が、「結果において、はるかにラディカルで不安を煽るもの」(20頁)なのである。
現にルーマンの理論では、従来の理論家や思想家が最終的に依存してきたヒューマニズムの前提が慎重に取り除かれ、代わりにルーマンが「機能」と呼ぶ概念によって分化したさまざまなコミュニケーションが登場する。ルーマンの「ラディカル」さは、単に政治的な見解の問題にとどまらない。近代哲学がプラトンやヘーゲルから哲学が受け継いだ魂と身体の二分法や、身体に対する魂の優位といった観念も、「ラディカルな反ヒューマニズム」の中に解消していく。
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9784788515536
ハンス=ジョージ・メラー 著/吉澤夏子 訳

 

 

四六判上製256頁
定価:本体3500円+税
発売日 18.1.31
ISBN 978-4-7885-1553-6

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2018年7月 2日 (月)

記事紹介 岸政彦著『はじめての沖縄』 6月30日付日本経済新聞

岸政彦著『はじめての沖縄』 の紹介が6月30日付、日本経済新聞書評欄に掲載されました。掲載紙ご担当者さまにこころよりお礼申し上げます。

ありがとうございました。
・・・・・・親切にするために、無意味な規則を破る。自分のルールで人に優しくする。「自治の感覚」を持つ人が沖縄にはたくさんいる。なぜなのか。

著者は沖縄がたどってきた歴史に目を向ける。戦争中の体験だけでなくその前後の生活史全体を聞き取る。そして見いだされた「社会秩序が一時的に解体した経験」が、沖縄にある自治の感覚の原点ではと考える。
めんどうくさい本であるとともに「『役に立つ』本ではない」とも記されている。沖縄の時事や歴史の解説が欲しいなら、確かにそうだ。ここにあるのは、境界線上の真上で考え続けるために必要な視座だ。








9784788515628

岸政彦 著
はじめての沖縄
――

 

 四六判並製240頁

 

定価:本体1300円+税
発売日 2018年5月5日
ISBN 978-4-7885-1562-8





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2018年6月25日 (月)

書評 『ヒト、この奇妙な動物』 讀賣新聞 2018年6月24日付

ジャン=フランソワ・ドルティエ 著 鈴木光太郎 訳『ヒト、この奇妙な動物――言語、芸術、社会の起源』の書評が、2018年6月24日付讀賣新聞に掲載されました。評者は伊藤亜紗氏。掲載紙ご担当者様、伊藤先生にはこころよりお礼申し上げます。ありがとうございます。
......確かに人間の文化が相当程度多様だとしても、その多様性に一定の幅があるのだとしたら、文化そのものが何らかの人間本性に根ざして生まれているのに過ぎないのではないか――こうした疑問に答えるのが、本書で詳解される「進化心理学」なる学問分野である。
たとえばこんな例があげられる。一九八〇年代、ニカラグアで初めての聾者のための教育施設が作られた。各地から聾の子供たちが集められると、彼らは数ヶ月のうちに自分たちで手話を発明してしまったという。このことは、言語の多様性以前に、そもそも人間には生得的に、言語を生みだす能力があるということを意味していないだろうか。特に観念を生みだす想像力は、他の動物にはないものだ。......


9784788515802

ジャン=フランソワ・ドルティエ 著
鈴木光太郎 訳

 

ヒト、この奇妙な動物
――言語、芸術、社会の起源

 

四六判上製424頁
定価:本体4300円+税
発売日 2018年5月10日
ISBN 978-4-7885-1580-2

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2018年6月16日 (土)

書評 岸政彦著『はじめての沖縄』 6月16日付朝日新聞

岸政彦著『はじめての沖縄』 の書評が6月16日付、朝日新聞書評欄に掲載されました。評者は都甲幸治氏。掲載紙ご担当者さま、評者の先生にこころよりお礼申し上げます。
ありがとうございました。



とにかく写真が良い。収録されている写真はどれも何げない。だがそこには沖縄の光と、風と、匂いが捉えられている。なかでも驚いたのがこれだ。岸がタクシーに乗る。すると信号待ちのたびに運転手さんが紙ナプキンを上手に縒って、小さなバレリーナうを作ってくれる。ちょっとピンぼけの写真の中で、彼女は今にも踊り出しそうだ。…
直感的で、常に外部に開かれている岸の文章は、決して結論には至らない。常に逡巡しながら時間をかけて、響いてくる声にゆっくりと体を慣らしていく。受け身という弱さに踏みとどまり続ける彼の強さに、僕は魅せられた。


>>>>>>>続きを読む 朝日新聞サイト「好書好日」へ


『はじめての沖縄』、現在重版中、6月25日出来です。


9784788515628岸政彦 著
はじめての沖縄
――

 四六判並製240頁

定価:本体1300円+税
発売日 2018年5月5日
ISBN 978-4-7885-1562-8

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2018年6月14日 (木)

紹介 『東大闘争の語り 社会運動の予示と戦略』 @東京中日新聞夕刊 2018年5月13日付「大波 小波」

弊社刊行『東大闘争の語り 社会運動の予示と戦略』
東京中日新聞夕刊 2018年5月13日付「大波 小波」にて、
紹介されました。ご担当(鮫)氏にこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。



・・・・・・小杉亮子の近著『東大闘争の語り』(新曜社)は(小熊英二『1968』とは)、まったく対照的な書物である。小杉はまずセクト活動家とノンセクト、ノンポリを問わず、おびただしい東大の元学生・教員に聞き取り調査を行った。その結果、従来の三分法では収まりがつかないほど、当事者たちの立場や首長が多様で複雑だと気付いた・・・・・・


>>>>>>>関連書評 読書人 ホームページへ
弊社刊行『東大闘争の語り 社会運動の予示と戦略』 刊行を機に、
週刊読書人2018年5月25日号掲載





9784788515741

  小杉亮子 著

東大闘争の語り
――社会運動の予示と戦略

 A5判上製480ページ

定価:本体3900円+税
発売日 2018年5月15日
ISBN 978-4-7885-1574-1

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2018年6月13日 (水)

書評 『はじめての沖縄』@新潮7月号

岸政彦著『はじめての沖縄』 の書評が「新潮」7月号に掲載されました。評者はミヤギフトシ氏。掲載紙ご担当者さま、評者の先生に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。このまま本書に収録されていてもおかしくないような、ミヤギさんの語りをまじえた最高の書評です。ぜひ全文を本誌でお読みいただきたいです。




沖縄の冬は寒い

沖縄の冬の寒さについて伝えることは難しい。例えば私が夏は苦手だとか泳げないと言うと、沖縄出身なのに?と相手は驚くが、まあそういう人もいるのだろうと納得する。でも、寒さは違う。あの寒さをなかなか信じてもらうことができないし、感じてもらえない。
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本書は沖縄を離れて随分経ち、リサーチや映像作品の撮影のために年に数回帰沖するような暮らしを送る私に、いくつもの気づきをもたらす。そして、誰に言っても共感してくれないであろうと思っていた些細なことも、この本で語る沖縄の人びとは言ってくれる。例えば川が羨ましかったこと、ウチナーグチもほとんどわからないし海ぶどうも沖縄にいた頃は口にしたことがなかったこと、独特の規範とコミュニティーの感覚・・・・・・未だそこに感じていた小さな違和感を私はうまく言語化できずにいるが、どうしてもそれが苦手で十代の私は沖縄を離れたいと思っていた。

 書評を、と依頼されたのに自分のことばかりを書いてしまう私は、本書に登場する沖縄語りをしたがるナイチャーとそう変わらないかもしれない。しかしまた、本書は私の中にある沖縄の記憶を呼び起こし、語りを誘発する。読んでいると、文字を通じてその向こうの著者と語り合っているような感覚になる。聞き取り調査に応じた沖縄の人びとが語るように、色々なことが脈絡なく思い出され、時に私自身もそれに驚き、忘れないようにと書きとめる。きっと本書がきっかけになり、様々な沖縄についての記憶が語られてゆくのだろう。本書のそんな寛容さに甘えるように、もうひとつだけ思い出したことを書く。
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9784788515628

岸政彦 著
はじめての沖縄
――

 

四六判並製240頁
定価:本体1300円+税
発売日 2018年5月5日
ISBN 978-4-7885-1562-8

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2018年6月 4日 (月)

特集対談=小杉亮子×福岡安則 『東大闘争の語り』

弊社刊行『東大闘争の語り 社会運動の予示と戦略』 刊行を機に、
週刊読書人2018年5月25日号にて、

対談=小杉亮子×福岡安則
「東大闘争が問うたもの 己の生き方を今問うために」


が企画されました。対談者の先生方。企画された担当者様に心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました。

福岡  小杉さんがぼくの研究室に訪ねて来たのは、二〇一一年七月のことでしたね。今さらですが、なぜぼくのところへ?

小杉  私は当時から、一九六〇年代の運動史に興味を持っていたのですが、先生のHPの自己紹介に「これまでの人生のなかで、いちばん“楽しかった”のが、東大闘争の数年間」だと書かれているのを拝見したからです。初対面で六、七時間話してくださって(笑)。

福岡  そうそう、長時間、割と一方的にね(笑)。

小杉  ただそのときには私は、アメリカのハーヴァード大学に一年半の留学が決まっていて。帰国したのが、福岡先生が定年退職された年でした。少し時間ができたので、東大闘争の研究を続けるなら一緒に聞き取りに行きましょうと、早速、場をセッティングしてくださいました。

福岡  そのときはまだ、『東大闘争の語り』のもとになった博士論文をどう書くか、プランはできていなかった?

小杉  はい。方法論も、聞き取りにするのか、資料分析にするのか決めていなくて。対象は、学生運動を取り上げるなら、路上の反戦運動ではなく、大学で起こったものをやりたいと。東大闘争を取り上げることになったのは、大学闘争では日大闘争と並んで有名なのと、福岡先生に出会えた成り行きから、というぐらいの理由でしたが。

聞き取り対象者は、しばらく福岡先生の知り合いが続き、少しずつ、インタビューした方に紹介いただいたり、学生運動関連のイベントや記事で見かけた方に、直接あるいは手紙でお願いしたりして、四四人に辿り着きました(うち学部生・院生は三五人)。・・・・・・

>>>>>週刊読書人サイトで全文が読めます

9784788515741

 

小杉亮子 著

 

東大闘争の語り
――社会運動の予示と戦略

 

A5判上製480ページ
定価:本体3900円+税
発売日 2018年5月15日
ISBN 978-4-7885-1574-1


5月9日配本、5月11日発売予定です。

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2018年5月23日 (水)

紹介 神谷悠介著『ゲイカップルのワークライフバランス』

神谷 悠介 著
ゲイカップルのワークライフバランス
が「週刊読書人」2018年5月15日付、「著者から読者へ」に掲載されました。掲載誌ご担当者様、ありがとうございました。

分かち合いから見えてくる仕事と家族

・・・・・・しかし、ワークライフバランスに関する議論も従来の家族を前提とするきらいがある。ワークライフバランスが登場した経緯を踏まえるならば、ワークライフバランスに関して、様々なマイノリティが抱える問題も扱う必要があるのではないか。こうした関心から、拙著『ゲイカップルのワークライフバランス』を上梓した。

働き方改革が叫ばれ、長時間労働の是正や、仕事と家庭の両立が課題となる中、政府も社会も研究者もそうした課題に対処できるような家族のありようを提示することに失敗し続けてきた。拙著では、ゲイカップルにおいて家事や余暇活動のシェアを通じて、一体感が生じていることから、こうした関係性を<分かち合う親密性>として位置付けた。・・・・・・



>>>>>全文を読む 週刊読書人サイトへ

 

9784788515383神谷悠介 著

 

ゲイカップルのワークライフバランス
――男性同性愛者のパートナー関係・親密性・生活

 

四六判並製224頁
定価:2900円+税
発売日 17.12.5

 

ISBN 978-4-7885-1538-3

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2018年4月16日 (月)

書評 『ラディカル・ルーマン 』ハンス=ジョージ・メラー著@週刊読書人 4/14/2018 付

ハンス=ジョージ・メラー 著/吉澤夏子 訳
『ラディカル・ルーマン』

が2018年4月14日付「週刊読書人」に書評掲載されました。評者は小山 裕(東洋大学准教授)

掲載紙ご担当者様、小山 裕(東洋大学准教授)先生、ありがとうございました。心よりお礼を申し上げます。


ルーマン理論の入門書は、著者の専門性だけでなく、著者がルーマンのどこに魅力を感じているかによって、それぞれに極めて個性的なものになる。この観点から本書を特徴づけるならば、それはルーマン理論の哲学的なエッセンスに光を当てたものであると言うことができる。かつてハーバーマスがいささかの皮肉を込めて評したように、社会学者であるという自己評価にもかかわらず、ルーマンは「真の哲学者」であった。その意味で、狭義の社会学にとどまらないルーマン思想の入門書となっている本書は、もっぱら社会学の業績としてのみルーマンを受容してきた者にとっては、新鮮なルーマン理解を提供することになるだろう。

>>>>>書評全文を読む 週刊読書人サイトへ

9784788515536

ハンス=ジョージ・メラー 著/吉澤夏子 訳

ラディカル・ルーマン
――必然性の哲学から偶有性の理論へ

 

 

四六判上製256頁
定価:本体3500円+税
発売日 18.1.31
ISBN 978-4-7885-1553-6

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