カテゴリー「書評」の記事

2018年9月 3日 (月)

書評 金菱清ゼミ編『呼び覚まされる霊性の震災学』@朝日新聞「ひもとく 災害と風評」

朝日新聞、2018年9月1日付、書評欄に
金菱清〔ゼミナール)編 東北学院大学震災の記録プロジェクト
『呼び覚まされる霊性の震災学』がとりあげられました。

「ひもとく 災害と風評」というエッセイのなかで、3冊とりあげられたなかの一冊です。

他の2冊は
『流言蜚語』(清水幾太郎著、ちくま学芸文庫)
『原発事故と「食」』(五十嵐泰正著、中公新書)です。
評者の関谷直也先生にはこころよりお礼申し上げます、ありがとうございました。


・・・・・・
『呼び覚まされる霊性の震災学』は、タクシーに幽霊を乗せたというドライバーの体験談から始まる。被災地でこうした話を聞いた人は少なくない。私も聞いたが、民俗学者ブルンヴァンが紹介して有名になった「消えるヒッチハイカー」を連想し、典型的な災害流言と捉えてしまった。だが同書では、タクシーの走行記録や聞き取りから、その経験を死者との応答と霊魂への畏敬の念の構築過程と捉えた。事実/事実でないことの境界、死と生の共存が被災地ではリアリティーをもって存在することを研究課題とした。脱帽である。金菱清と彼の指導学生による東日本大震災後の一連の著作は、災害における多くの「死」が被災地でどう受容されていくか、死生観と霊性という災害社会学の新たな地平を開き続けている。......

9784788514577

金菱清〔ゼミナール)編
東北学院大学震災の記録プロジェクト

 

呼び覚まされる霊性の震災学
――3.11 生と死のはざまで

 

四六判並製200頁
定価:本体2200円+税
発売日 16.1.20
ISBN 978-4-7885-1457-7

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2018年8月27日 (月)

書評 金菱清ゼミナール編『3.11 霊性に抱かれて』@信濃毎日新聞 2018・8・19 付

弊社刊行『3.11 霊性に抱かれて』 が、
信濃毎日新聞 8月19日 2018年付にて、紹介されました。評者は東えりか氏。評者の先生、書評紙ご担当さまにこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。
 東日本大震災から7年半がたった。
 だが何年たとうと、被災地に暮らす人々にはその時々の苦しみが残る。だれにも語ることができない悲しみは、胸の奥にしみこんでしまう。
 その気持ちをすくい取るように、東北学院大学の「震災の記録プロジェクト」は粛々と進められている。災害社会学の専門家・金菱清教授のもと、ゼミの学生たちが卒論のテーマを決めて被災者たちに綿密な聞き取り調査をする。取材する学生たちも被災者だから、同じ経験をした人の話に真剣に耳を傾ける。だからこそ深い悲しみや不思議な体験も話してくれるのだ。
......
......
 プロジェクトの一冊目『呼び覚まされる霊性の震災学』では、タクシードライバーが幽霊に遭遇したという調査が注目を浴びた。
だが本書の第一章は「霊が語られないまち」の調査だ。気仙沼市唐桑半島が漁業が盛んなため遭難や水害の経験が多い。生と死を紙一重で分ける海に連れ去られた人は、霊となって現れることはない。
............
どうかこの調査は長く続けてほしい。知識の蓄積は、他の災害の被災者たちを救うことになるのだから。
9784788515727_2東北学院大学震災の記録プロジェクト
金菱清(ゼミナール) 編


3.11霊性に抱かれて──魂といのちの生かされ方

四六判並製192頁
定価:本体1800円+税
発売日 2018年4月11日
ISBN 978-4-7885-1572-7

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2018年8月 7日 (火)

小杉亮子氏、『東大闘争の語り  社会運動の予示と戦略』を上梓して

ウェブ「現代の理論」15号に、著者・小杉亮子氏による「否定的な集合的記憶を乗り越えるために-『東大闘争の語り  社会運動の予示と戦略』を上梓して」が掲載されております。掲載誌ご担当者さま、ありがとうございます。お礼申し上げます。

ウェブ「現代の理論」15号へリンク
「否定的な集合的記憶を乗り越えるために-『東大闘争の語り  社会運動の予示と戦略』を上梓して」



9784788515741

小杉亮子 著

 

東大闘争の語り
――社会運動の予示と戦略

 

A5判上製480ページ
定価:本体3900円+税
発売日 2018年5月15日
ISBN 978-4-7885-1574-1

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2018年7月11日 (水)

書評 図書新聞 7月14日 2018年付 小杉亮子 著『東大闘争の語り』

弊社刊行『東大闘争の語り 社会運動の予示と戦略』
図書新聞 7月14日 2018年付にて、
紹介されました。評者は皆川勤氏。評者の先生、書評誌ご担当さまにこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。


……………………
このように述べていく著者が提示する「予示」的なるものを、あえて収斂させた言い方をするならば「ひととひととの関係や共同体のあり方」を問うていくものであると理解していいのではないか、とわたしは思う。国家の有様を変革するためには、まず国家権力の奪取ありきというのはロシア革命以降のロシア・マルクス主義の誤謬でしかない。マクロなものとミクロなものはコインの裏表だと思う。ミクロなものが集積してマクロなものがかたちづくられると、わたしなら捉えたいから、「予示的政治」と「戦略的政治」に関して、留保したいことがある。それは、「政治」ではなく、「反政治」とすべきではないかということだ。あるいは、「行為」、「行動」といいかえてもいいかもしれない。かつて、わたしは、「行為の共同性」ということに拘泥していたから、そのようにいいたいわけではないが。

 わたしが、全共闘という諸相に距離を置き、振り返ることを忌避し続けてきたのは、無党派、ノンセクトと括ることの安易さと、結局、党派によって主導され、安保決戦なる空疎な設定で全国全共闘を結成したことへの疑義があるからだ。しかし、本書には語り手それぞれの現在も述べられていて、そこではまぎれもなく、「人と人との関係や共同性のありかた」をいまだに問い続けていることが示されている。

 著者に誘われて、わたしもまた、もう一度、全共闘の有様と行動(行為)に関して再考すべきだと喚起されたといっておきたい。



9784788515741

 小杉亮子 著

東大闘争の語り
――社会運動の予示と戦略

 A5判上製480ページ
定価:本体3900円+税

発売日 2018年5月15日
ISBN 978-4-7885-1574-1

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書評 ハンス=ジョージ・メラー著/吉澤夏子 訳 『ラディカル・ルーマン』

ハンス=ジョージ・メラー著/吉澤夏子 訳
ラディカル・ルーマン――必然性の哲学から偶有性の理論へ
の書評が、「図書新聞」7月7日号に掲載されました。評者は犬飼裕一氏。
評者の先生、書評誌担当者さまには心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

ラディカルという言葉の意味論的転換 犬飼裕一
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・・・・・・メラーは、もしもルーマンが明快な文章で書いたならば、「68年以降のドイツの学会から徹底的に排斥さてる恐れなしにはけっして言えるはずのなかった多くのことを実際にいうことができた」(19頁)と指摘する。それを晩年のインタビューにあるルーマンの表現を使って「トロイの木馬」と呼ぶ。ルーマンの「眠くなるような」文体は、内部に傭兵を隠した木馬であり、既存の学会や知的世界の城壁内に潜り込むための偽装でもあったと考えるのである。
ルーマンの考えでは、左翼が行ってきた資本主義への批判のような「視野の狭い批判」よりも、自分がやっているような「徹底的に構成された概念的な社会理論」の方が、「結果において、はるかにラディカルで不安を煽るもの」(20頁)なのである。
現にルーマンの理論では、従来の理論家や思想家が最終的に依存してきたヒューマニズムの前提が慎重に取り除かれ、代わりにルーマンが「機能」と呼ぶ概念によって分化したさまざまなコミュニケーションが登場する。ルーマンの「ラディカル」さは、単に政治的な見解の問題にとどまらない。近代哲学がプラトンやヘーゲルから哲学が受け継いだ魂と身体の二分法や、身体に対する魂の優位といった観念も、「ラディカルな反ヒューマニズム」の中に解消していく。
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9784788515536
ハンス=ジョージ・メラー 著/吉澤夏子 訳

 

 

四六判上製256頁
定価:本体3500円+税
発売日 18.1.31
ISBN 978-4-7885-1553-6

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2018年7月 2日 (月)

記事紹介 岸政彦著『はじめての沖縄』 6月30日付日本経済新聞

岸政彦著『はじめての沖縄』 の紹介が6月30日付、日本経済新聞書評欄に掲載されました。掲載紙ご担当者さまにこころよりお礼申し上げます。

ありがとうございました。
・・・・・・親切にするために、無意味な規則を破る。自分のルールで人に優しくする。「自治の感覚」を持つ人が沖縄にはたくさんいる。なぜなのか。

著者は沖縄がたどってきた歴史に目を向ける。戦争中の体験だけでなくその前後の生活史全体を聞き取る。そして見いだされた「社会秩序が一時的に解体した経験」が、沖縄にある自治の感覚の原点ではと考える。
めんどうくさい本であるとともに「『役に立つ』本ではない」とも記されている。沖縄の時事や歴史の解説が欲しいなら、確かにそうだ。ここにあるのは、境界線上の真上で考え続けるために必要な視座だ。








9784788515628

岸政彦 著
はじめての沖縄
――

 

 四六判並製240頁

 

定価:本体1300円+税
発売日 2018年5月5日
ISBN 978-4-7885-1562-8





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2018年6月25日 (月)

書評 『ヒト、この奇妙な動物』 讀賣新聞 2018年6月24日付

ジャン=フランソワ・ドルティエ 著 鈴木光太郎 訳
『ヒト、この奇妙な動物――言語、芸術、社会の起源』の書評が、2018年6月24日付讀賣新聞に掲載されました

評者は伊藤亜紗氏。掲載紙ご担当者様、伊藤先生にはこころよりお礼申し上げます。ありがとうございます。

......確かに人間の文化が相当程度多様だとしても、その多様性に一定の幅があるのだとしたら、文化そのものが何らかの人間本性に根ざして生まれているのに過ぎないのではないか――こうした疑問に答えるのが、本書で詳解される「進化心理学」なる学問分野である。
たとえばこんな例があげられる。一九八〇年代、ニカラグアで初めての聾者のための教育施設が作られた。各地から聾の子供たちが集められると、彼らは数ヶ月のうちに自分たちで手話を発明してしまったという。このことは、言語の多様性以前に、そもそも人間には生得的に、言語を生みだす能力があるということを意味していないだろうか。特に観念を生みだす想像力は、他の動物にはないものだ。......


>>>>>>全文を読む 本よみうり堂






9784788515802

ジャン=フランソワ・ドルティエ 著
鈴木光太郎 訳

 

ヒト、この奇妙な動物
――言語、芸術、社会の起源

 

四六判上製424頁
定価:本体4300円+税
発売日 2018年5月10日
ISBN 978-4-7885-1580-2

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2018年6月16日 (土)

書評 岸政彦著『はじめての沖縄』 6月16日付朝日新聞

岸政彦著『はじめての沖縄』 の書評が6月16日付、朝日新聞書評欄に掲載されました。評者は都甲幸治氏。掲載紙ご担当者さま、評者の先生にこころよりお礼申し上げます。
ありがとうございました。



とにかく写真が良い。収録されている写真はどれも何げない。だがそこには沖縄の光と、風と、匂いが捉えられている。なかでも驚いたのがこれだ。岸がタクシーに乗る。すると信号待ちのたびに運転手さんが紙ナプキンを上手に縒って、小さなバレリーナうを作ってくれる。ちょっとピンぼけの写真の中で、彼女は今にも踊り出しそうだ。…
直感的で、常に外部に開かれている岸の文章は、決して結論には至らない。常に逡巡しながら時間をかけて、響いてくる声にゆっくりと体を慣らしていく。受け身という弱さに踏みとどまり続ける彼の強さに、僕は魅せられた。


>>>>>>>続きを読む 朝日新聞サイト「好書好日」へ


『はじめての沖縄』、現在重版中、6月25日出来です。


9784788515628岸政彦 著
はじめての沖縄
――

 四六判並製240頁

定価:本体1300円+税
発売日 2018年5月5日
ISBN 978-4-7885-1562-8

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2018年6月14日 (木)

紹介 『東大闘争の語り 社会運動の予示と戦略』 @東京中日新聞夕刊 2018年5月13日付「大波 小波」

弊社刊行『東大闘争の語り 社会運動の予示と戦略』
東京中日新聞夕刊 2018年5月13日付「大波 小波」にて、
紹介されました。ご担当(鮫)氏にこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。



・・・・・・小杉亮子の近著『東大闘争の語り』(新曜社)は(小熊英二『1968』とは)、まったく対照的な書物である。小杉はまずセクト活動家とノンセクト、ノンポリを問わず、おびただしい東大の元学生・教員に聞き取り調査を行った。その結果、従来の三分法では収まりがつかないほど、当事者たちの立場や首長が多様で複雑だと気付いた・・・・・・


>>>>>>>関連書評 読書人 ホームページへ
弊社刊行『東大闘争の語り 社会運動の予示と戦略』 刊行を機に、
週刊読書人2018年5月25日号掲載





9784788515741

  小杉亮子 著

東大闘争の語り
――社会運動の予示と戦略

 A5判上製480ページ

定価:本体3900円+税
発売日 2018年5月15日
ISBN 978-4-7885-1574-1

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2018年6月13日 (水)

書評 『はじめての沖縄』@新潮7月号

岸政彦著『はじめての沖縄』 の書評が「新潮」7月号に掲載されました。評者はミヤギフトシ氏。掲載紙ご担当者さま、評者の先生に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。このまま本書に収録されていてもおかしくないような、ミヤギさんの語りをまじえた最高の書評です。ぜひ全文を本誌でお読みいただきたいです。




沖縄の冬は寒い

沖縄の冬の寒さについて伝えることは難しい。例えば私が夏は苦手だとか泳げないと言うと、沖縄出身なのに?と相手は驚くが、まあそういう人もいるのだろうと納得する。でも、寒さは違う。あの寒さをなかなか信じてもらうことができないし、感じてもらえない。
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本書は沖縄を離れて随分経ち、リサーチや映像作品の撮影のために年に数回帰沖するような暮らしを送る私に、いくつもの気づきをもたらす。そして、誰に言っても共感してくれないであろうと思っていた些細なことも、この本で語る沖縄の人びとは言ってくれる。例えば川が羨ましかったこと、ウチナーグチもほとんどわからないし海ぶどうも沖縄にいた頃は口にしたことがなかったこと、独特の規範とコミュニティーの感覚・・・・・・未だそこに感じていた小さな違和感を私はうまく言語化できずにいるが、どうしてもそれが苦手で十代の私は沖縄を離れたいと思っていた。

 書評を、と依頼されたのに自分のことばかりを書いてしまう私は、本書に登場する沖縄語りをしたがるナイチャーとそう変わらないかもしれない。しかしまた、本書は私の中にある沖縄の記憶を呼び起こし、語りを誘発する。読んでいると、文字を通じてその向こうの著者と語り合っているような感覚になる。聞き取り調査に応じた沖縄の人びとが語るように、色々なことが脈絡なく思い出され、時に私自身もそれに驚き、忘れないようにと書きとめる。きっと本書がきっかけになり、様々な沖縄についての記憶が語られてゆくのだろう。本書のそんな寛容さに甘えるように、もうひとつだけ思い出したことを書く。
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・・・・・・



9784788515628

岸政彦 著
はじめての沖縄
――

 

四六判並製240頁
定価:本体1300円+税
発売日 2018年5月5日
ISBN 978-4-7885-1562-8

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