カテゴリー「新刊」の記事

2017年6月15日 (木)

新刊 増田 裕美子『漱石のヒロインたち』

9784788515291

増田 裕美子 著

漱石のヒロインたち
――古典から読む

四六判上製264頁
定価:本体3200円+税
発売日 17.6.15

ISBN 978-4-7885-1529-1

見本出来ました。
6月19日ごろ書店に並びます。

はじめに

    夏目漱石について論じた本は数多く、百花繚乱の気味がある。もはや漱石については論じ尽くされたのではないかと思われるほどだが、奇妙なことに日本の古典文学と漱石作品のつながりを論じたものはほとんどない。漱石が日本の近代文学を代表する国民的作家ゆえであろうか。

 しかし漱石が日本語で書く日本人の作家である以上、日本文学の伝統と無縁であるはずはない。とくに考えたいのが漱石の生きた時代である。

 漱石は明治に改元される前年、慶応三(一八六七)年二月九日(旧暦一月五日)に江戸牛込で生まれている。それから大正五(一九一六)年十二月九日に亡くなるまでの約五十年間、日本は近代化しつつあったとはいえ、巷にあふれていたのは前近代的な文芸の数々である。ことに人々を惹きつけていたのが歌舞伎や浄瑠璃、落語といった類いのエンターテインメントであった。テレビもラジオもない時代、人々の娯楽は寄席や劇場で行なわれる口承的なものによるところが大きかったのである。

 漱石もさまざまな口承文芸に触れ

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2017年6月 1日 (木)

新刊 山岸 明子『つらさを乗り越えて生きる』

9784788515277

山岸 明子 著

つらさを乗り越えて生きる
――伝記・文学作品から人生を読む

四六判上製208頁
定価:本体2200円+税
発売日 17.6.10

ISBN 978-4-7885-1527-7

見本出来ました。
6月8日ごろ書店に並びます。

まえがき

   本書は、2015年に上梓した心理学と文芸評論の中間のような著書(『心理学で文学を読む─困難を乗り越える力を育む』新曜社)の第二弾とでもいうべき本である。前著は、心理学のテーマと関連する「文学作品」を取り上げて、心理学の用語や理論を使って読み解いてみようと試みたもので、特につらい状況と向き合う主人公の言動を発達心理学の観点から分析し、何が人を立ち直らせるのか、人間のもつ精神的回復力の可能性について論じた。今回も引き続き、心理学の方法で収集したデータではなく、公刊されている作品を用いて心理学的な分析を行ったものである。ただし今回は小説だけではなく、伝記やエッセイもあり、実在していた人も分析対象であること、また前著は人生のある時期を描く小説が多かったが、本書は一人の人の生涯全体を扱っているものが多いという違いもある。

 取り上げた作品は学生時代に読んだものから、ごく最近読んだものまであり、思いつくまま書いたものなのだが、

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2017年5月29日 (月)

新刊 海野 弘『ロシアの世紀末』

9784788515239

海野 弘 著

ロシアの世紀末
――〈銀の時代〉への旅

A5判上製560頁
定価:本体6200円+税
発売日 17.5.31

ISBN 978-4-7885-1523-9

見本出来ました。
6月7日ごろ書店に並びます。

あとがき

  また〈ロシアの世紀末〉にもどってきた。それは私の出発点であった。早稲田大学露文科に学び、卒業論文は「アンドレイ・ベールイの『ペテルブルク』」だった。
 はじめは〈ロシア象徴主義論〉を目指したが、力及ばず、そのごく一部にしか触れられなかった。なぜ〈ロシア象徴主義論〉だったのか。私は「ソヴィエト研究会」に入った。そこでは〈社会主義リアリズム〉によって排除された〈ロシア・アヴァンギャルド〉の復権が求められ、マヤコフスキーの詩の再評価がはじまっていた。私は文学だけでなく美術に興味を持ち、〈ロシア構成主義〉をとりあげた。
 しかしそのうちに、〈ロシア・アヴァンギャルド〉を準備したロシア世紀末の象徴主義から調べてみたいと思うようになった。さらにロシア象徴主義のために、その起源となるフランス象徴主義をやらないと、などととめどなくなって、卒論は間に合わなくなり、不充分なものとなった。
 卒業してから、私はあらためて〈世紀末〉に

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2017年5月24日 (水)

新刊 ブライアン・ラドクリフ『ドラマ教育ガイドブック』

9784788515260

ブライアン・ラドクリフ 著
佐々木英子 訳

ドラマ教育ガイドブック
――アクティブな学びのためのアイデアと手法

四六判並製136頁
定価:本体1600円+税
発売日 17.6.1

ISBN 978-4-7885-1526-0

見本出来ました。
6月1日ごろ書店に並びます。

はじめに

  現在の学校に着任した初日、私はスタッフミーティングで、「新しいドラマ教師」として紹介されました。すると、それを聞いた教師陣から盛大に拍手喝采が起こってなかなか鳴り止まず、「助かった!」「神様ありがとう!」という歓声が上がったのです。私は、孤立無援の幌馬車隊を救いに丘の上に現れた、アメリカの騎兵隊になったような気持ちになりました。今すぐ、雇用条件を再交渉すべきじゃないかと思ったほどです。

 この熱烈な歓迎の理由は、私が到着したことで、もう彼らがドラマ授業の代行をしなくてもよくなるからでした。精力的で創造的なドラマ科の主任教師が病気で欠勤していた間、物理、フランス語、技術、宗教の教師たちが、ドラマ授業を持ち回りで代行していました。これが、一部の教師にとっては、あまりにも負担だったのです。つまり、こんなふうに。

 「おしまいには、いつもけんかに

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2017年5月19日 (金)

新刊 ニール・J・サルキンド『心理学研究法のキホンQ&A 100』

9784788515246

ニール・J・サルキンド 著
畑中美穂 訳

心理学研究法のキホンQ&A 100
――いまさら聞けない疑問に答える

A5判並製168頁
定価:本体1800円+税
発売日 17.5.25

ISBN 978-4-7885-1524-6

見本出来ました。
5月25日ごろ書店に並びます。

はじめに

 ますますデータの重要性が増しているこの世の中において,専門家だけでなく学生も,研究のプロセス,すなわち,最初に問題を設定し,データの分析・解釈をして最終的にレポートにまとめる過程と,その間に行われる全ての事柄について,理解を深めることがこれまでになく重要となっている。
 本書『心理学研究法のキホンQ&A 100』は,研究を進める中で,研究法に関して誰もが疑問に思うであろう最も重要な質問を整理して取り上げ,回答を示すことを目的としている。
 本書を書いたのは,私自身,長年教育に携わる中で,多くの学生のみならず専門家も,どのようなトピックに焦点を定める必要があるのか,詳しい情報をどこで見つけたらよいのかについて,正しく案内してくれる簡潔な概説や本を必要としていることに気づいたからである。  本書は,研究法の重要なトピックについて復習を必要としている人や,この領域の完全な初学者で,何が

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2017年4月14日 (金)

新刊 是永論『見ること・聞くことのデザイン』

9784788515093

是永論 著

見ること・聞くことのデザイン
――メディア理解の相互行為分析

四六判並製232頁
定価:本体2400円+税
発売日 17.4.11

ISBN 978-4-7885-1509-3

見本出来ました。
4月17日ごろ書店に並びます。

はじめに(一部抜粋)

■メディア批判の困難

 2000年以降の日本社会において,メディアを批判するということは,あらゆる人に共通する一種の素養とでも呼べるものになっているようである。筆者自身,2005年から2009年にかけて,BPO(放送倫理・番組向上機構)の委員として,ほぼ毎月,視聴者から寄せられた放送番組に対するさまざまな意見を目にする機会があった。そこで印象に残ったのは,意見のほとんどが番組に対する辛辣な批判であったことと,そうした批判をする姿勢の中にうかがえる,視聴者の批判に対する熱意とゆるぎない確信であった。

 実際に批判をしている人々について考えてみると,近年の大学生が書く文章では,「メディアの論調に無批判に従うのはいかがなものか」というのが,定型的な結論の一つになっているという(内田[2005])。その一方で,過去にメディアに仕事として携わった経験のあるものも含めて,教員の多くが,メディア批判を毎回のように講義の中で繰り広げているという話も筆者の周囲にいる学生から耳に

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2017年4月 6日 (木)

新刊 ルチアーノ・フロリディ『第四の革命』

9784788515222

ルチアーノ・フロリディ 著
春木良且・犬束敦史監訳/先端社会科学技術研究所訳

第四の革命
――情報圏(インフォスフィア)が現実をつくりかえる

四六判上製376頁
定価:本体3400円+税
発売日 17.4.10

ISBN 978-4-7885-1522-2

見本出来ました。
4月11日ごろ書店に並びます。

はじめに

この本は、デジタルICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)が、我々の自己感覚や、互いの関係のしかた、我々を取り巻く世界を形づくりつつ関わっていくあり方に、どのように影響するかについて述べたものである。ナノテクノロジー、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、ウェブ2・0、セマンティックウェブ、クラウドコンピューティング、モーションキャプチャーゲーム、スマホアプリ、タブレットとタッチスクリーン、GPS、拡張現実、人工知能コンパニオン、無人ドローン、無人自動車、ウェアラブルコンピュータ、3Dプリンタ、アイデンティティ窃盗([訳注1])、オンライン学習、ソーシャルメディア、サイバー戦争・・・、技術マニアも技術嫌いも、同じ質問をする。「次は何なんだい?」哲学者は、その背景についてあれこれ考える。これらのすべての現象を、一つの、マクロなトレンドの多様な側面として説明できるような、統合的視点を見つけ出すことができるだろうか? それに答えるのが難しいのは、まず我々が未だにICTを、外界と、そして我々相互が関わりあうためのツールだと

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2017年4月 4日 (火)

新刊 李光鎬・渋谷明子『メディア・オーディエンスの社会心理学』

9784788515178

李光鎬・渋谷明子 編著
鈴木万希枝・李津娥・志岐裕子 著

メディア・オーディエンスの社会心理学
――

A5判並製408頁
定価:本体3000円+税
発売日 17.4.11

ISBN 978-4-7885-1517-8

見本出来ました。
4月11日ごろ書店に並びます。

まえがき(抜粋)

本書は、社会心理学の視点で行われたメディア・コミュニケーションに関するこれまでの研究成果を、主に学部の大学生に、幅広く学んでもらうための教科書として企画されたものである。ジャーナリズムをはじめとするメディアの送り手に関する研究分野に比べ、メディアのオーディエンスに関する社会心理学的な研究分野の網羅的な教科書は相対的に少なく、長年、授業を担当しながらその必要性を痛感してきたことが、本書の執筆に際して私たちが抱いていた共通の思いである。その思いから練られた最初の構想を、全面的に実現することは叶わなかったが、この研究分野の全体像がつかめると同時に、個別テーマについても十分な知識を習得できる内容にしたいという当面の目標は、ある程度、達成できたのではないかと思っている。学生および一般の読者の皆さんが、様々なメディア・コミュニケーションの問題に関心をもち、自ら探求し、実証し、考察する活動を行ううえで、この本が一つのきっかけになり、手引となることを願っている。

 章によって少し異なる部分もあるが、私たちは

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2017年4月 3日 (月)

新刊 倉田剛『現代存在論講義 I』

9784788515185

倉田剛 著

現代存在論講義 I
――ファンダメンタルズ

A5判並製202頁
定価:本体2200円+税
発売日 17.4.7

ISBN 978-4-7885-1518-5

見本出来ました。
4月7日ごろ書店に並びます。

あとがき

本書を構想してから何とか出版にこぎつけるまで8年以上の歳月を要してしまった。われながら自分の怠惰さと要領の悪さに呆れる限りである。この間、公私ともに様々なことがあった。他の誰よりも、自らの大切な仕事を犠牲にしてまで私を支えてくれた妻の陽子に感謝したい。彼女がいなければ、本を書くどころか日常生活もおぼつかなかったことだろう。今年で4歳になる息子の正剛が日々成長していく姿にも大きく支えられた。本書の執筆のため、休日ですら一緒に過ごす時間を十分に確保できなかったことを申し訳なく思っている。また、人と比べてかなり長い学生生活を送った私をあらゆる意味で支援してくれた父と母にも感謝の言葉を述べたい。私は自分の息子に同じだけのことをしてあげられるだろうか。そのように自問させるほど両親は放埓な私に寛容であった。

 本書の草稿を作成するにあたって様々な人に迷惑を掛けた。とりわけ『ワードマップ現代形而上学』(新曜社、2014年)の共著者である鈴木生郎さん、谷川卓さん、秋葉剛史さんの三氏は、私が学会等で上京するたびに、草稿の検討会に付き合ってくれた。彼らは年齢という面では「後輩」の研究者であるが、私など

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2017年3月31日 (金)

新刊 中村英代『社会学ドリル』

9784788515161

中村英代 著

社会学ドリル
――この理不尽な世界の片隅で

A5判並製200頁
定価:本体1900円+税
発売日 17.4.10

ISBN 978-4-7885-1516-1

見本出来ました。
4月7日ごろ書店に並びます。

はじめに

 この理不尽な世界の片隅で,解放の瞬間を待つ

1.本書の目的
 本書は初学者向けの社会学のテキストです。本書,および本書をテキストに用いて行う講義の目的は,「①私たちの身近にあるさまざまな社会現象を学びつつ,②社会学的な思考力を身につけていく」ことにあります。
 ①は知識と情報を収集する学びです。どこで何が起こり,その背景には何があり,どのような対処がなされ,誰が何を行い,著してきたのか。こうした個別の情報は基礎的な知識となって蓄積され,何かを考えたり判断をしたりする際の基盤となります。
 しかし本書を用いて行う講義の主眼は,社会学的な思考力を身につけることにあります。①を経由しつつ,②をマスターすることに重点をおいています。
 社会も私たちも絶えず変化しており,社会と私たちの関わり方も移ろっていきます。すると,手持ちの知識や情報だけでは対処しきれない現象に直面することも多々あります―むしろそんなことばかりです。つまり私たちは,新しい出来事に直面した時に,それをどう考え,どう対処するのかを生涯を通じて問われ続けるのです。だから,知識や情報をただおぼえるのではなく,それらを疑問に

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