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2016年10月26日 (水)

新刊 山本武利『日本のインテリジェンス工作』

9784788514997

山本 武利 著

日本のインテリジェンス工作
――陸軍中野学校・731部隊・小野寺信

四六判288頁上製
定価:本体2800円+税
発売日 16.11.1

ISBN 978-4-7885-1499-7

見本出来ました。
11月4日ごろ書店に並びます。

本書を読まれる前に(一部抜粋)

 ホワイトハウスの近くに国際スパイ博物館なるものがある。そこには世界のスパイ事件やそれにかかわる事物が多数展示されている。そのなかで日本のものとして派手に出ているのは黒装束の忍者だけである。ゾルゲ事件はない。忍者は英語にもなって世界で通用している。本能寺の変の直後、明智光秀の追っ手から徳川家康の危機を救ったのは伊賀に棲む忍者と言われる。それ以降徳川幕府は忍者を重用した。徳川初期から忍者や御庭番を秘かに各藩に浸透させて、反幕府の動きを探っていたといわれる。忍者はインテリジェンス活動に必要とされる特技を身につけていた。しかし忍者の活動範囲は日本のわずかの地域であった。徳川体制が安定化するに比例して、彼らの仕事はなくなっていった。

 日本は鎌倉時代の元(蒙古)の九州侵略(元寇)に見られたように、荒海や台風という自然が敵国の侵入を阻止する障壁となってきた。したがって陸続きの外国からの侵入の危険度は低く、敵の来襲に備える準備は手びかえられた。したがってインテリジェンスへの関心も低く、その経験も浅い。国際的にみても鎖国体制は安定していたので、対外インテリジェンスへの関心は幕府の為政者でも薄かった。

・・・・・・

《もっと読む 日本のインテリジェンス工作 本書を読まれる前に(一部抜粋)》

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コメント

長谷川 潔 さま
コメント欄、コメントありがとうございます。
nakayamaあっとまーくshin-yo-sha.co.jpまでご連絡ください

ナカヤマ

投稿: ナカヤマ | 2017年5月17日 (水) 14時22分

明治生まれの祖父が中野学校の卒業生たと思われます。敗戦後中国の武漢で収監され、その後、巣鴨に移り、11年間巣鴨に収監されました。生涯孤独で、祖母は祖父が一切語らない人なので、何一つ身上も知らずに結婚し、死ぬまで何も知らないそうです。巣鴨で祖父が発行してた「すがも便り」の原木を祖母が亡くなる前に形見にもらいました。
うちには、荒木陸軍大尉や海軍大尉、吉田茂の直筆の書や額縁などがあります。
祖父の経歴をきちんと知りたいと思います。ご協力頂けるかた、又は情報の探し方などをご伝授して頂ける方がいたら、是非宜しくお願いします。

投稿: 長谷川 潔 | 2017年3月 7日 (火) 14時14分

小幡利夫様

詳細な内容紹介ありがとうございます。
本書が他の研究、関連書との関係のなかで、どういう位置を占めるのか、専門外の私にも、とてもよく分かりました。貴重なレクチャーをいただき、ありがとうございます。今後の販売の参考にさせていただきます。

投稿: 新曜社 ナカヤマ | 2016年11月22日 (火) 10時43分

この研究領域のパイオニアでしかも確かな実績をもつ第一人者により日本のインテリジェンスの歴史を総合的に概観。一次資料に基礎を置く九つの論考。発表済みの論文を寄せ集めても一冊の<新刊>に変身させる手法が珍しくないなかで、元原稿を加筆訂正した歴史学者としての矜持は称賛に価する。

本書の大きなテーマは。本文を部分的に引用するが「もともと日本は海洋で孤立した国家で日本人は国際的なインテリジェンスへの関心が低く、アジア太平洋戦争では・・多数の戦死者、捕虜・・有史以来初めて敗北し・・敗戦国としての消し難い大きな屈辱を味わった・・われわれは一、二世代前の人たちの経験を冷徹に検証・評価しながら、自らのインテリジェンス・リテラシーを高め、あるべき日本のインテリジェンスの方向を見定めたい」。

本書の全体構成は:
1 陸軍中野学校創立期の工作目標
2 アメリカによる日本インテリジェンス機関の分析
3 オーストラリアによる日本陸軍インテリジェンス機関の分析
4 「帝国」を担いだメディア
5 日本軍のメディア戦術・戦略-中国戦線を中心に
6 『宣撫月報』とは何か
7 満洲における日本のラジオ戦略
8 対ソ・インテリジェンス機関としての731部隊の謎
9 北欧の日本陸軍武官室の対ソ・インテリジェンス工作

1と8はともに衝撃的な内容だが一般でも入手可能な『新潮45』掲載である一方、7と9は会員制で年一回刊行の雑誌『インテリジェンス』掲載でなかなか読める機会が少なく、他の5章は高額な講座や資料集に掲載されており専門家でないとアクセスできないので、関心ある者にとって本書の果たす役割は大きい。

1は陸軍中野学校の公文書はすべて焼却・廃棄されているとされてきたが著者が防衛省防衛研究所に秘匿されていた資料を発見し裏付けをとって明らかにしたもの。

2では米国のOSSやMISが日本の特務機関や憲兵について分析し「延安レポート」に代表されるような成果の一方、特務機関背後の参謀本部にまで追求は及ばず秘密保持が続けられた中野学校はまったく知られていなかったことが明らかにされる。

3ではオーストラリア軍の文書からの引用。ジャワ、スマトラ、ニューギニアに詳しいのは地理的に当然でまた南方では海軍特務部とならび物資獲得をねらった商社のインテリジェンス活動が無視できないことも提示される。

4は満洲での日本イデオロギーが満洲国のメディアによって担われた内実を解明。6で再論される『宣撫月報』が果たした戦後学界にも波及した皮肉な結果にも驚かされる。

5では初めての総力戦であった第一次大戦以後の日本の「新聞操縦」策を手始めに、上海事変以後の日中戦争期のメディア対策、なかでも馬淵逸雄や影佐禎昭などの「活躍」に焦点を当てる。その「成功」に躍り上がった傲慢なプロパガンダ工作が南京事件への対応を誤らせたと指摘している。

6は傀儡国家満洲国のメディア統制の工作マニュアルとして創刊され1945年1月まで続いた『宣撫月報』の分析。

7はラジオ放送を宣伝工作に利用しようとした満洲電電の<短い>歴史。成果の一方でラジオ自体が普及すると敵側放送も聞くことができるので実は両刃の剣なのである。

8は作家森村誠一の『悪魔の飽食』で注目を集めた陸軍731部隊(石井部隊)が人体実験や生物兵器開発の一方でそれらを秘匿するためにインテリジェンス感覚を研ぎ澄ましてきた事実、それゆえに石井はしたたかなインテリジェンス工作者でもあったと判定している。

9ではポツダム宣言をいち早く入手した辣腕の「スパイ」小野寺信陸軍少将が戦後GHQ(OSS)に供述・証言した原資料の紹介である。それが戦犯免責の故であったかは推定の域をでないようだ。

以上のような要約が読者の興味関心を惹く契機となることを期待する。

投稿: 小幡利夫 | 2016年11月13日 (日) 10時01分

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