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2016年7月

2016年7月26日 (火)

書評 『霊性の震災学』@ 文春図書館「私の読書日記」酒井順子氏評

「週刊文春」、2016年7月28日付、酒井順子氏「私の読書日記」に
金菱清〔ゼミナール)編
東北学院大学震災の記録プロジェクト『「呼び覚まされる霊性の震災学』がとりあげられました。
「死について考える」というエッセイのなかで、3冊とりあげらたなかの一冊です。
ちなみに他の2冊は
『死すべき定め 死にゆく人に何ができるか』(ガワンデ著、みすず書房)
『人間晩年図鑑』(関川夏央著、岩波書店)です。

評者の酒井順子先生にはこころよりお礼申し上げます、ありがとうございました。

・・・・・・ 一方で、全く予期しない時に死がやってくることがある。突然人生が終わってしまった時、本人にも周囲にも、別れの覚悟ができていないことになる。 東日本大震災で発生した津波は、特定の地域に、特定の時間帯の、尋常ではない数の死をもたらした。数としての死ではなく、一人一人の人間の死としていかに理解していくか。それをゼミの学生と共に考えたのが東北学院大学の金菱清教授。『呼び覚まされる霊性の震災学 3.11 生と死のはざまで』(新曜社 2200円+税)は、学生達との「震災の記録プロジェクト」をまとめた書である。

石巻等で、「亡くなった人を乗せた」という体験を持つタクシードライバー達。震災後、多くの慰霊碑が建つ中、新たな慰霊の形を提示する閖上中学の慰霊碑を建てた、遺族達。仮設住宅に多くの物資や慰問が入る中、両親を津波で亡くしながらも、被害の少ないマンションに住んでいたために、深い疎外感と孤独感を覚えざるを得なかった女性。

・・・・・・プロジェクトのメンバーは、震災によって突然の死と向き合わざるを得なかった人たちの話しを丁寧に聞き、まとめていく。学生と思われる書き手の文章は時に初々しいが、死を自分の身近なものとして感じづらい若者にとって、その経験は重く貴重だったのではないか。

普段の生活からは、慎重に覆い隠されている、死にまつわる世界。被災した人達は、津波や放射線という非常時と同時に、突然の死の世界の露呈という非常時にも対応しなくてはならなかったのであり、そのときの向き合い方をプロジェクトでは明らかにしていった。 ・・・・・・

 

9784788514577

金菱清〔ゼミナール)編
東北学院大学震災の記録プロジェクト

呼び覚まされる霊性の震災学
――3.11 生と死のはざまで

四六判並製200頁
定価:本体2200円+税
発売日 16.1.20
ISBN 978-4-7885-1457-7

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2016年7月25日 (月)

紹介 ジェームズ・フリン 著 知能と人間の進歩

『知能と人間の進歩』(ジェームズ・フリン 著 無藤隆・白川佳子・森敏昭 訳)の紹介が「日経サイエンス」2016年9月号にて紹介されました。

<「政治哲学、道徳哲学を専門とする心理学者のジェームズ・フリンは、人類の知性と道徳性が時代と共に進歩しているとし、科学的証拠をあげて紹介してきた。本書ではさらに知性と道徳への遺伝子の影響を考察する。遺伝はスタートラインでの知能の個人差をもたらすものの、環境の手助けで知性を伸ばすことができると述べる。その環境とは、教育と知的な仕事だ。今回も多数の研究データを交えて解説する。知性の進歩というテーマに取り組んできた著者が、環境と遺伝の問題に明確な答えを見出している点も興味深い」 

 

9784788514829

知能と人間の進歩
―遺伝子に秘められた人類の可能性

A5判160頁上製
定価:本体2100円+税
発売日 16.6.15

ISBN 978-4-7885-1482-9

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2016年7月22日 (金)

新曜社図書目録2016 

Mokuroku2016

「新曜社図書目録 2016年」をアップしました。ダウンロードできます(3MBぐらい)
2013年のままにしていたみたいで、ご指摘いただくまで3年も放置していたのは内緒です。紙版ももちろんございますので、ご入り用の方はご連絡を。

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2016年7月15日 (金)

新刊 森久 聡 著 『〈鞆の浦〉の歴史保存とまちづくり』

9784788514737

森久 聡 著


〈鞆の浦〉の歴史保存とまちづくり
―環境と記憶のローカル・ポリティクス

A5判288頁上製
定価:本体3800円+税
発売日 16.7.15

ISBN 978-4-7885-1473-7

見本出来ました。
7月20日ごろ書店に並びます。

あとがき

  2002年9月に初めて鞆の浦を訪れたあと,文献や資史料の収集作業などの準備を経て,2004年から本格的なフィールドワークを開始したが,それからすでに10年以上の月日が経った。筆者は今でも一人で現場を歩き,関係者への聞き取り調査を継続している。

 当初は鞆港保存問題を通じて,歴史的環境の社会的意味を明らかにすることをめざして調査を進めていったのだが,鞆の浦という地域社会が持つ長い歴史と港 町として維持されてきた社会生活の豊かさに魅了されると同時にその奥深さに触れて,この問題は一筋縄ではいかない,簡単にわかった気持ちになってはいけな いと強く自戒するようになった。そして筆者の研究テーマを鞆港保存問題におくだけではなく,鞆の浦という地域社会の深みを掘り下げて描くことを最終目標に 設定し,調査を重ねてきたのである。そして次第に,鞆港保存問題から「開発と保存」について日本社会の地域開発のあり方を見直し,歴史的環境とは何かを示 すことができる,という確信を持つようになった。

 鞆港保存問題は時に目まぐるしく,時にゆったりと事態は

・・・・・・

《もっと読む 〈鞆の浦〉の歴史保存とまちづくり あとがき》

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2016年7月12日 (火)

書評 亀山佳明 編 『記憶とリアルのゆくえ』@2016年7月16日 図書新聞

亀山佳明 編 記憶とリアルのゆくえ―文学社会学の試み

の書評が2016年7月16日付・図書新聞に掲載されました。

評者は奥村隆先生。ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者様にはこころよりお礼申し上げます。


<2016年3月3日刊の本書は、編者の亀山佳明の定年退職をきっかけに、「文学から社会学が学ぶという方向性」をもった「文学社会学」を試みようと編まれた特集である。だが、評者の目はどうしても、刊行直後<の3月15日に94歳で逝去した作田啓一の論考が最後の2章として収録されていることに引きつけられてしまう。

作田はここで「近代日本文学に見られる自我の放棄」を論じる。2012年に発表された前編は、日本の私小説に描かれた「体面がまるつぶれ」の自我の系譜を伊藤整による枠組みに従って辿り、社会人としての自我の体面的方針である「自我の下降型放棄」と、死や無を意識することで生命を鮮明に感じ取る「自我の上昇型放棄」を対比する。2013年の続編は、西洋の小説は複数の登場人物の相互作用を描く「集団力学的認識」の発想法によるとしながら、そこに描かれた多数の人間のパースペクティブや価値観の間などの「隙間にリアルが現れる」と指摘する。また、日本の私小説に多く見られる「死または無による認識」の発想法による小説は、自己と他者の境界が曖昧になる「視入る」状態(「見る」ではなく)、あるいは生活者として生きる意欲を失った「放心状態」において「リアルにつながるサムシング」を見い出す、という・・・・・・


9784788514652亀山佳明 編 記憶とリアルのゆくえ

四六判上製272頁
定価:本体2600円+税
発売日 16.3.3
ISBN 978-4-7885-1465-2

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2016年7月 5日 (火)

新刊 戈木クレイグヒル滋子『ワードマップ グラウンデッド・セオリー・アプローチ 改訂版』

9784788514843

戈木クレイグヒル滋子 著

ワードマップ
グラウンデッド・セオリー・アプローチ 改訂版

―理論を生みだすまで

四六判並製192頁
定価:本体1800円+税
発売日 16.7.15

ISBN 978-4-7885-1484-3

見本出来ました。
7月12日ごろ書店に並びます。

改訂版にあたって

 質的研究を、勘やセンスだけでおこなえるものだと誤解している方が少なくないのですが、それらだけで概念を正確に把握することは難しいと思います。もち ろん勘やセンスは大切ですが、それは分析の基礎となる知識や技法を身につけた上での話です。概念を抽出したり、名前を付けたり、概念どうしの関係を突きと めたりという一連の分析作業は、じつは定式化された技法を組み合わせたものです。この本では、それらの技法を紹介します。

   紹介する技法は、『ストラウス版のグラウンデッド・セオリー・アプローチ』を基盤にしつつ変更した方が使い勝手が良くなると思う部分に修正をくわえたバージョンです。大きな変更点としては、 プロパティとディメンションを軸にした分析をオリジナル版以上に強調したことと、カテゴリー関連図を描くことによって現象を把握するという技法をくわえたことがあります。

・・・・・・

《もっと読む グラウンデッド・セオリー・アプローチ 改訂版 改訂版にあたって》

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2016年7月 4日 (月)

新刊 ダレン・ラングドリッジ『現象学的心理学への招待』

9784788514850

ダレン・ラングドリッジ 著
田中彰吾・渡辺恒夫・植田嘉好子 訳

現象学的心理学への招待
―理論から具体的技法まで

A5判280頁上製
定価:本体3100円+税
発売日 16.7.10

ISBN 978-4-7885-1485-0

見本出来ました。
7月8日ごろ書店に並びます。

日本語版への序文

  日本には、現象学的心理学における長く誇るべき研究の伝統があることを、私は以前から知っていました。ですが、日本にいる仲間たち――彼らは私と同 様、現在もこの分野を支配している伝統的な(総じて認知的な)心理学への代案として、現象学的心理学の可能性を追求しています――と絆を深める機会を得た のはつい最近のことです。私の考えでは、現象学的方法は、好奇心をもって一緒に努力しながら、また絶えざる敬意を払いつつ、他者の世界に接近しそれを理解 するうえで、最良の方法を提供してくれるものです。人間科学の大半の研究は、人間の経験を、そしてまた人間存在そのものをも単なる変数に還元してしまいま すが、現象学的方法はそれとは根本的に異なる立場をとるものです。本書『現象学的心理学』の日本語版に人々が触発されてさらに読書を続け、自身の研究にお いて現象学的方法を用いることになるよう、私も大いに期待しています。

 フランスの偉大な哲学者ポール・リクールは(私も本書全体を通じて彼に言及していますが)、2006年の著作『翻訳について』で優れた翻訳の重要性について述べています〔訳注:フランス語原著は「Sur la traduction」と題し2004年に

・・・・・・

《もっと読む 現象学的心理学への招待 日本語版への序文》

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