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2016年7月12日 (火)

書評 亀山佳明 編 『記憶とリアルのゆくえ』@2016年7月16日 図書新聞

亀山佳明 編 記憶とリアルのゆくえ―文学社会学の試み

の書評が2016年7月16日付・図書新聞に掲載されました。

評者は奥村隆先生。ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者様にはこころよりお礼申し上げます。


<2016年3月3日刊の本書は、編者の亀山佳明の定年退職をきっかけに、「文学から社会学が学ぶという方向性」をもった「文学社会学」を試みようと編まれた特集である。だが、評者の目はどうしても、刊行直後<の3月15日に94歳で逝去した作田啓一の論考が最後の2章として収録されていることに引きつけられてしまう。

作田はここで「近代日本文学に見られる自我の放棄」を論じる。2012年に発表された前編は、日本の私小説に描かれた「体面がまるつぶれ」の自我の系譜を伊藤整による枠組みに従って辿り、社会人としての自我の体面的方針である「自我の下降型放棄」と、死や無を意識することで生命を鮮明に感じ取る「自我の上昇型放棄」を対比する。2013年の続編は、西洋の小説は複数の登場人物の相互作用を描く「集団力学的認識」の発想法によるとしながら、そこに描かれた多数の人間のパースペクティブや価値観の間などの「隙間にリアルが現れる」と指摘する。また、日本の私小説に多く見られる「死または無による認識」の発想法による小説は、自己と他者の境界が曖昧になる「視入る」状態(「見る」ではなく)、あるいは生活者として生きる意欲を失った「放心状態」において「リアルにつながるサムシング」を見い出す、という・・・・・・


9784788514652亀山佳明 編 記憶とリアルのゆくえ

四六判上製272頁
定価:本体2600円+税
発売日 16.3.3
ISBN 978-4-7885-1465-2

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