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2016年1月25日 (月)

新刊 金菱清〔ゼミナール)『呼び覚まされる霊性の震災学』

9784788514577

金菱清〔ゼミナール)編
東北学院大学震災の記録プロジェクト

呼び覚まされる霊性の震災学
――3.11 生と死のはざまで

四六判並製200頁
定価:本体2200円+税
発売日 16.1.20
ISBN 978-4-7885-1457-7

見本出来ました。2月3日ごろ書店に並びます。

はじめに

  
 「深海に棲む魚は、おそらく最後まで水というものに気づかないだろうという。何かの偶然が水面に運び、大気に触れさせない限り、彼は水というものの存在を意識しないであろう」
リントン『パースナリティーの文化的背景』

 深海魚は水以外の存在を知らないために、水面から出ない限り「水」を捉えることはない。文化人類学者のリントンは右のように述べている。3・11大震災 後、スリランカを訪れて調査をしていたとき、あることが気になった。二〇〇四年一二月クリスマス翌日の二六日、インドネシアのスマトラ島沖M9・1の地震 で発生した大津波は、インド、モルディブ、アフリカ諸国にまで達し、死者・行方不明者は合計で22万7898人にものぼった。そのうち、スリランカでは4 万人の津波犠牲者を出したが、スリランカの慰霊碑を現地で見ると、列車に避難していた乗客や住民が津波に飲み込まれる様子がリアルに描かれていた(写真 0・1)。それだけでなく、当時の写真やテレビニュースの画像を調査同行者から差し出されて見ると、そこには津波によって流された剥き出しのご遺体が大き く写し出され(写真0・2)、現地の人に聞いても、それは当然という答えしか返ってこなかった。

 普通の日本人が報道で知ることができる災害の被害とは随分状況が異なる。日本では多くの犠牲者が出て、何万人が死亡したという単なる数値の羅列だけがあ り、死者そのものはタブー視されて巧妙なまでに隠されていることに気づかされる。プライバシーの問題、惨事ストレスの軽減、文化的要因など、死者をさらけ 出さない理由は多数あげられるが、少なくともそれは世界共通ではなく、日本に特有かもしれない。死の世界を遮蔽することは、あたかもそれがなかったかのご とく、当たり前のように了解される。

・・・・・・

《もっと読む 呼び覚まされる霊性の震災学  はじめに》

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