書評 金菱清 著『震災メメントモリ』 9月20日付、「図書新聞」
金菱清 著 震災メメントモリ の書評が、 9月20日付、「図書新聞」に掲載されました。評者は好井裕明氏。ご書評いただきました先生ほか、掲載誌ご担当者様にはこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。
「・・・・・・震災の結果生起したさまざまなリアリティに向き合い、地域や人々の暮らしの「復興」を模索し提起する社会学研究を行おうとするとき、決して忘れてはならないことがある。著者はそれを「メメントモリ=死を想うことであり、死を忘れることなかれ」という言葉に凝縮させている。大震災直後、人々がまだ自分の人生にいったい何が起こったのかを考えつくせていない時期に、自らの被災体験を自分で記録してもらうという営みを進め、『3.11 慟哭の記録』(新曜社)を世に送り出した著者。想像を超えるような厳しく辛くひどい体験、それを語り出す声から目をそむけてはならないし、その声がもつ意味から考え始めなければならない。災害社会学研究の原点が「メメントモリ」なのだと」
「この三年間ピンとはりつめた空気のなかにいたと言っていい。あるいは拭い去ることのできない緊張感と言っていいかもしれない」。あとがきの冒頭に書かれたこの言葉が、本書がもつ「迫力」の由来を物語る。「死を想い、死を忘れない」復興論や災害社会学研究は、原発再稼働に走り、ただ「強い日本」を作ることだけに奔走している今の政治状況を暮らしの次元から批判するうえでも必須のものではないだろうか。「緊張感」の中を生きる著者のさらなる仕事を読みたいと思う。」
金菱清 著
震災メメントモリ
四六判上製240頁
定価:本体2400円+税
発売日 14.6.20
ISBN 978-4-7885-1389-1
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