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2014年5月

2014年5月29日 (木)

書評 森口佑介 著『おさなごころを科学する』

9784788513747森口佑介 著

おさなごころを科学する

四六判上製320頁
定価:本体2400円+税
発売日 14.3.10
ISBN 978-4-7885-1374-7

が、「日経サイエンス」2014年7月号にて紹介されました。
評者は森山和道氏。



・・・・・・特に面白いのは第三部「異なる乳幼児」だ。脳は発達とともに徐々に機能を特化させていく。それはほかの領域との関連で決まるらしい。単に未熟なのではない。乳幼児は大人とは異なった心の世界を持っているかもしれない。著者は、子ども時代に一部の人に現れる「空想の友達」も適応の一つとして捉えることができるのではないかと述べている。幼児は空想の友達が実在するとは思っていないが、リアリティを感じているのだという。「存在しない行為者の想定」は大人の心でも起こる。ヒトの心を理解するために目を通しておきたい一冊である・・・・・

評者の先生、掲載誌ご担当者様にはこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。

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2014年5月28日 (水)

書評 日比嘉高 著『ジャパニーズ・アメリカ』

9784788513693

日比嘉高 著
ジャパニーズ・アメリカ

A5判上製392頁・定価:本体4200円+税
発売日 14.2.20
ISBN 978-4-7885-1369-3

の書評が北海道新聞、2014年5月25日付に掲載されました。
評者は成田龍一氏。

・・・・・アジア・太平洋戦争のさなかには、日系人は強制収容所で暮らすことになったが、その時期を通じての移民たちによる活動-日本語による文学作品が取り上げられる。アメリカで発行された日本語新聞に投稿された短歌をはじめ、一世の作家・翁久允、アメリカ生まれの二世作家・中島直人らの作品が読み返され、その想像力に言及し、彼らが「移民」と「日本人」という矛盾した二重性を生きていくさまを読み取っていく。

とともに、これまで日本文学として扱われていた作品も、この視点から再解釈される。たとえば、若き日の永井荷風の「あめりか物語」。荷風は日本に居住し日本作家と目されるが、この作品は在米中に書き継がれていることから「在米日本人の作品」として読み返される。そして、この作品は「日本文学」といいうるかと問いかけるのである。こうして、移民文学の考察によって、日本やアメリカの境界が揺るがせられる。

されに、人とモノと情報のネットワークに目を向け、メディアとしての日本語新聞、流通の要となる書店を論じており、本書は狭義の文学研究の枠を超えている。思考をゆさぶる、読みごたえのある一書である。


ご書評くださいました先生、掲載紙ご担当者さまにはこころよりお礼申し上げます、。ありがとうございました

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2014年5月26日 (月)

新刊 井上信子『対話の調』

9784788513877

井上信子 著

対話の調

A5判上製320頁
定価:本体2800円+税
発売日 14.5.29
ISBN 978-4-7885-1387-7

見本出来ました。5月28日配本です。

5月30日ごろ書店に並びます。

まえがき――「守破離」再考

 月一回ほどの頻度でスーパーヴィジョンに来ていた井上信子さんは、サバティカルの一年を使って、二〇〇〇年四月から二〇〇一年三月まで伊敷病院に国内留 学した。彼女の決心が定まったときボクたちは話し合って、井上さんの修学の成果を三分冊に纏め仕上げることを決めた。「守破離」のプロセスを想定してい た。一冊目は「守」すなわち井上さんがボクの技を身につけることが眼目でありその成果として『対話の技』(二〇〇一)を上梓した。次は「破」、型を破って 個性が伸びてゆく段階である。『対話の世界』(二〇〇四)がその纏めである。そして「離」としての本書が日の目を見る。プランは順調に進んだかに見える。 だが、内実は無茶苦茶であった。

 まず、二人の活動野の違いがあった。ボクの世界は「病の治療」であり、技は治療の技である。井上さんは教育機関それも教育者を育成する職場の人である。 治療の技は心身のマイナスの現象を探り出し、その原因を同定してしばしば攻撃的に修正する志向を持っている。教育は心身総合体としての個体の特質を見定 め、その可能性に賭けるプラス志向の性質がある。もっとも、ボクの治療の技はプラス部分を想定して可能性に賭ける志向をも持っており、井上さんがボクを師 に選んだ理由なのだろうが、技の出自の違いは決定的であった。すでに教育者として実績を積んでいる井上さんの経験量が、ボクの技を丸呑みすることに逆らっ た。「守」を不可能にした。二人の文化背景の違いや人生体験の差異も同様に「守」を妨げた。そうした差異に由来する困難は井上さんを苦しめただろうが、ボ クの困惑はさほどでもなかった。指導者としての歴史のなかで似たような状況を体験していたからである。

    ・・・・・・

《もっと読む 対話の調 まえがき――「守破離」再考》

◆著者関連書

対話の技

対話の世界

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2014年5月23日 (金)

書評 福岡愛子著『日本人の文革認識』

9784788513631

福岡愛子 著

日本人の文革認識

A5判上製457頁・定価:本体5200円+税
発売日 14.1.15
ISBN 978-4-7885-1363-1

の書評をお寄せいただきました。評者は伊藤隆弘氏。
ありがとうございます。伊藤さまにこころよりお礼申し上げます。





中国の文化大革命は、当初「魂にふれる革命」として発動され、日本でも「永続革命」として評価されたが、その終結後には中国共産党の「歴史決議」によって「十年の動乱」として否定された。(本書3ページ)

 文化大革命は世界的な注目をあびた政変/革命運動であり、本書に登場する人々はおおいに影響を受けそれぞれに「文革」と関わりを持つことになった。自らの思想、生活をいわば文革に捧げたと言っても過言でもない。

 とはいえ、その文革とは本書のタイトルでもある「日本人の文革認識」からくるのである。日中国交正常化が1972年、文革の終結が1977年であり、国交が回復してからも日本にいて文革に関する情報はメディアや政府を介した上からのもので、当時の日本人が文革を十全に知ることは難しかった。

 本書に登場する人物で宇都宮徳馬、秋岡家栄は政治家、新聞記者という一般の市民より特権的に文革を知ることのできる立場にいたが、本書を読むとそのような人物でも十全に把握はできていない。のちに知られることとなる理念とは全く異なる負の文革が当時の彼らには見えなかった。たしかに文革の異常ぶりを認識せざるえないこともあったが、それを上回るほどの魅力に満ちた文革像が形成されたのは彼らの個人史、思想、当時の置かれた状況によるところが大きい。

 本書には様々な経歴、立場の人々が登場する。そしてそれらは主体的に文革と向き合った人々である。


個人やその認識を成り立たせているものの多層構造のなかで、価値は、その個人の内面性・固有性に最も近いものをみなすことができよう。
(中略)
毛沢東思想や文革の理念あるいは文革期の中国に対して、主体的・選択的認識を持つということは、観察対象に対して外在的な認知的情報以上の価値を付加し、それを内面化するということに他ならない。
(本書397ページ)

 

 主体的に選択して内面化した認識だからこそ、その人自身の行動原理として機能することとなる。とりわけ、文革という対象は日中という地理的な距離と中国政府による情報の制限があるために、不足部分をその人の思想や個人史で埋め合わせることとなり、文革への主体性が増す。

 そして、否定。歴史決議によって、また時間の経過とともに伝えられる文革に対する否定的な情報は、主体的に文革を素晴しいものと評価していた人々を脅かす。思いが強ければ強いほど、それは苦痛が増す。強固な確信への疑念。

 本書は歴史決議以降の人々も描き出す。かつての文革礼賛に対して口を閉ざしてしまう人、文革はたしかに行きすぎていたとしつつも毛沢東思想に対しては以降も肯定的な評価を口にする人、文革期の自らの発言と歴史決議の齟齬から狂気に近い精神状態に陥ってしまう人、歴史決議から文革への評価を徐々に修正し新たな自己を模索する人など「以降」の人々の言葉や身の処しかたは様々である。

 世界史的な事件が時を経ることによって少しずつあらわになる事実と、それに伴う評価の移り変わり。そして、そのような世界史的な変遷の事実の記述では埋もれてしまうであろう、人々の声を本書は丹念にすくい上げ響かせている。

 本書のタイトルは『日本人の文革認識』である。ただ、本書は文革だけにとどまらない普遍性のある問題を提起する。それは、大きな事件を経験した人々の「以降」の問題である。たとえば、3・11を経験した日本人はそれぞれの3・11像から発言や行動をしている。そして、現在も情報の不透明さに関わらず、確実に3・11以降の時を経ている。わたしたちのこれからを考えるために本書を読むこともできる。

 最後に本書に登場する只中友子さんの言葉を引用する。彼女は日中友好運動から文革を支持し歴史決議以降、長い時間をかけて文革の否定的な事実を受け入れた。その反省を踏まえた上で、いまも民間による日中友好活動を続けている。

 

あそこは豊かな漁場ですし
きれいな海なんだから
お互い知恵をもってね

じゃここはお互い共有して
月水金は日本がやって、
火木土は中国がやってという具合に
やればいいじゃないかと
わたくしは単純に思うんですけどね
とりっこすることじゃないの
領土なんてものは地球全体のものなんだから
国境をなくす運動だってあるじゃない
何が固有の領土って
両方で頑張ってたって解決つかないじゃない
(本書336ページ)

 

 尖閣諸島に関しては台湾にも沖縄にもそれぞれの歴史があり主張があり、日中間の問題として考えたつぶやきに過ぎないと指摘しつつも、彼女のつぶやきは人々が二度と殺し合わないということだけを願った潔さが貫かれていると本書は書く。

 わたしは複雑な問題でもあることは承知の上、只中さんのつぶやきは美しいと思う。3・11以降、アジア情勢はいまも時を経ている。

 わたしたちのこれからは。

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2014年5月20日 (火)

書評 馬場公彦 著『現代日本人の中国像』

9784788513860

馬場公彦 著

現代日本人の中国像

A5判上製402頁
定価:本体4200円+税
発売日 14.5.9
ISBN 978-4-7885-1386-0

の書評が『週刊ダイヤモンド』連載書評に掲載されます。評者は佐藤優氏。

 日本人の中国観について描いた優れた研究書だ。時代は、1970年代初頭の日中国交正常化から1992年の天皇訪中までに限定されているが、現在、日中外交の懸案となっている問題が網羅的に含まれている。中国のみならず、モンゴル、台湾にも考察の対象が及んでいる点も本書の特徴だ。

 モンゴルの対中国恐怖感には、日本が伝統的に中国に対して負っていた中華文明に対する恩恵の裏側に貼りついた対中国脅威意識と通じ合う感情的一体感があることを指摘しておきたい。「満州国」前後の時代に、一部の現地の日本人が「汎モンゴリズム」の夢にうなされ、モンゴル・ナショナリズムや南北モンゴル統一国家といった運動を煽ったことで、今なお一部の日本人にはそのような運動に対する希望的幻想を抱きがちである(259頁)、という指摘が興味深い。安倍政権は、モンゴルを通じて対北朝鮮外交の突破口を開こうとしているが、これも対中国脅威論につながる動きだ。

ご書評くださいました先生、掲載誌ご担当者さまにはこころよりお礼申し上げます、。ありがとうございました


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2014年5月16日 (金)

新刊 マリア・レゲァスティ『乳児の対人感覚の発達』

9784788513907

マリア・レゲァスティ 著/大藪 泰 訳

乳児の対人感覚の発達

A5判並製312頁
定価:本体3400円+税
発売日 14.5.22
ISBN 978-4-7885-1390-7

見本出来ました。5月22日配本です。

5月26日ごろ書店に並びます。

はじめに

 数年前、ケンブリッジ大学出版局の主任編集者のサラ・カロ(Sarah Caro)から、乳児の対人理解に関する私の研究についての研究書を書いて欲しいという電話があった。ちょうどその時期は、発表すべきさまざまな研究論文 を発表し終え、まだ進行中の論文もいくつかあったときだった。そうした研究をどのように一つの発達の物語としてまとめるかを考えるときだと感じた。サラの 親切な申し出を受けることにした。

 私の研究は、(1)乳児には誕生時から共感的な情動によって活性化される生得的な対人感覚があると主張し、(2)乳児は人と物を区別するために随伴性ま たは動作といった身体的パラメーターを使うという考えに疑問を呈し、(3)心理学的な存在になる前の乳児は機械的な存在(訳注:外界からの刺激に対して自 動的に決まりきった反応をする存在)だという仮定を否定する、というやや特殊な見解に属している。

 本書は20年間にわたる学問的な進展と家族生活の産物である。多くの人々が、乳児とその発達に関する私の考え方に貢献してくれた。私の最初の(学部時代 の)メンターであり、新生児模倣に関する私の卒業論文の手助けをしてくれたジャン・ケプケ(Jean Koepke)は、子どもをもつだけではなく、子どもの精神生活がどのように発達するかを知るなら、もっと実りが大きいと話してくれた。2人目のメンター で友人であり、一緒に代名詞の発達と前言語期の母子相互作用を検討した故ヘルガ・フェイダー(Helga Feider)は、どうすれば非常に幼い乳児であってもその精神生活の理解がコミュニケーションを通して検討できるかを具体的に説明してくれた。

    ・・・・・・

《もっと読む 乳児の対人感覚の発達 はじめに》

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2014年5月 9日 (金)

◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第140号■

2014年5月2日発行
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◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第140号■

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◇トピックス
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書評など

●「とてもスリリングな知的エンタテインメントだ」(佐倉統氏評)。4月6日
付、朝日新聞書評欄にて『おさなごころを科学する』 (森口佑介著・定価2592
円)が紹介されました。最新の成果まで、乳幼児研究をわかりやすく解説しな
がら、私たちの今までの乳幼児観を一変するスリリングな科学読み物です。是
非、ご一読ください。
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2014040700006.html

●私市保彦・今井美恵 著『「赤ずきん」のフォークロア』 の書評が2014年4
月26日号図書新聞にて掲載されました。評者は金山愛子氏。
http://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-0356.html

●福岡愛子著『日本人の文革認識』 の書評が北海道新聞2014年4月6日付に掲
載されました。評者は米田綱路氏
http://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-dcda.html

●中山 元 著『ハンナ・アレント〈世界への愛〉』 の書評が、2014年4月12日
号 図書新聞に掲載されました。評者は矢野久美子氏。
http://shin-yo-sha.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-4f9a.html
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◇近刊情報
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2013年5月中旬発売予定
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『乳児の対人感覚の発達』
──心の理論を導くもの
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マリア・レゲァスティ 著/大藪 泰 訳
A5判並製312頁・本体3400円+税
ISBN978-4-7885-1390-7 C1011
分野=発達心理学

赤ちゃんはいつ「人の心」に気づくのか?

「心の存在」を知らずに生まれたはずの赤ちゃんは、やがて他者には心が宿る
こと、そしてその心の世界は自らの心の世界と同じようでもあり、異なるよう
でもあることに気がつきます。いつから? そして、どのように? レゲァス
ティは、乳児の対人理解が他者との情動共有を通してしだいに深まっていくと
する立場から、乳児の心への気づきのプロセスを、ユニークな実験的手法で解
き明かそうとします。多くの心理学者・哲学者が挑んできた「心の起源」「心
の理論」をめぐる数々の疑問に客観的データから迫る、乳児研究者必読の書!
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2014年5月 1日 (木)

新刊 金菱 清『新 体感する社会学』

9784788513884

金菱 清 著

新 体感する社会学

四六判並製230頁
定価:本体2200円+税
発売日 14.4.25
ISBN 978-4-7885-1388-4

見本出来ました。4月28日配本です。

4月30日ごろ書店に並びます。

はじめに

いまから社会学というものを学ぼうとしています。大学の講義のはじめに、なぜ社会学を受講するのかレポートに書いてもらったところ、ある学生からつぎのよ うな間違った解答が返ってきました。「社会学を学んだことがなかったため、調べたところ、『人間や集団の諸関係、とくに社会の構造・機能などを研究対象と する社会科学の一分野』と書いてあり、私に必要な学問だと思いこの授業をとりました」。

もちろん、説明としては間違ってはいませんが、もし本書を手にとったみなさんがこのような小むずかしいものを社会学に期待しているならば、すぐに本書を燃 やすことをお勧めします(あっ、いまは環境問題で騒がれますのでブックオフまたは友達に売るか、書店で本書を手にとった場合は静かに本棚に戻してくださ い)。ただし、こういう考えをもっている人は本書が対象としているよい〝カモ”ですので、どうぞ安心してください。

少し表現がまずかったので言い直します。本書が対象としているのは、「学問って少しアカデミックで取っつきにくく、わたしたちの日常生活とはかけ離れたこ とを研究しているんだわ」と思っている人たちです。そういう人たちに、じつは学問と日常生活がけして離れておらず、むしろその境界はあいまいで両者はきわ めて密接していることを実感してもらうことを目論んでいます。

    ・・・・・・

《もっと読む 新 体感する社会学 はじめに》

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