新刊 辻本昌弘 『語り─移動の近代を生きる』
辻本昌弘 著
四六判上製232頁・定価2730円
発売日 13.9.1
ISBN 978-4-7885-1353-2
見本出来ました。8月27日配本です。
8月30日ごろ書店に並びます。
序章
生きる――それはどういうことなのだろうか。 人間とは、なによりもまず飲みかつ喰わなければならない存在である。結局のところ、死の淵から逃げまどい、貧しさに耐え、家族を飢えから守ろうと右往左往する、こんな当たり前のいとなみが生きるということなのではないだろうか。今この瞬間も、地球上の多くの人々がなんとか生き延びようと格闘している。ぎりぎりのしのぎをしている人間の姿から眼をそらしたところに“生”の理解はありえない。 飲みかつ喰うという営為は、芸術や祈りの対極にあるものではない。太古より人類は、糧を得るために汗水を流しながら、壁画を描いたり、文様を刻んだり、詩歌を謡ったりしてきたのではないのか。どんなに苦しくとも、否、苦しいからこそ、人は祈らずにはいられなかったのではないのか。これまた当たり前の人間の姿であろう。 当たり前の人間の姿にこそ真に学ぶべきものがある。私は、そんな人間の姿を描き出したいと思う。 本書は、戦前の沖縄に生まれ、本土で十代を過ごし、さらにアルゼンチンに渡った男の評伝(生活史)である。男の名を崎原朝一という。その半生において、朝一は時に貧しさに耐え、流転を繰り返し、そして独自の俳句を残した。本書では、インタビュー記録と多岐にわたる文書資料を用いて朝一の半生と精神の軌跡をたどっていく。
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