新刊 根ヶ山光一『アロマザリングの島の子どもたち』
根ヶ山光一 著
アロマザリングの島の子どもたち
四六判上製208頁・定価2310円
発売日 12.12.17
ISBN 978-4-7885-1317-4
見本出来ました。12月14日配本です。12月17日ごろ書店に並びます。
まえがき
多くの大学には、教員が授業や会議の縛りを解かれて長期間研究に専心できる「サバティカル」と呼ばれる制度がある。本書は筆者が2010年度に勤務校からその適用を受け、多良間島(沖縄県宮古郡多良間村)という南海の離島に4か月あまり(正確には2010年5月17日から8月23日までと2011年2月17日から3月17日まで)滞在しながら、島の子どもたちをこの目で見つめた体験をもとにまとめたものである。滞在中は、できるだけ子どもたちの生活に寄り添い、彼らの息づかいを肌で感じながら、彼らを「頭ではなく体で」理解するということを心がけた。そして、できるだけ日記をつけてその体験を書き留めるようにした。そこから見えてきたものが豊富で、それをまとめることは子どもの行動発達を理解し、また都会の子育てを再考する上でとても大切なことだという思いが日増しに強まった。本書は止むにやまれぬその思いが生みだしたものである。あるいは、多良間島の子どもを見つめることで再帰的に自覚された「私」というフィルターの記録だ、と言ってもいいのかもしれない。
これまで私は「子別れ」をキーワードに、親子の反発性がもつ重要な意味について、さまざまな種類のサルを観察したり、いろいろな文化(とくに日本と英国)の親や保育士と子どもを撮影したりしながら検討してきた。そして母親と子どもの間にどのような距離関係がふさわしいのか、それが誰・何によって実現されるべきなのか、といったことを考え続けてきた。さらに日本の都会の子どもたちの生活が、その観点から見て必ずしも良好な状態にないことを憂えてきた。また、日本と英国、韓国、スリランカなど諸外国の家庭に入ってそれぞれの子育てをこの目でつぶさに見てきた者として、日本の育児風土が他国の育児風土とさまざまな点で大きく異なるにもかかわらず、西欧発祥の理論を直輸入し、日本の母子をその枠組みにあてはめることの危うさと暴力性を訴え続けてきた。
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