新刊 中村桂子『遊ぶ』
中村桂子 編
遊ぶ――生命誌年刊号vol.69─72
A5判変型並製278頁・定価2000円
発売日 12.12.1
ISBN 978-4-7885-1318-1
見本出来ました。11月29日配本です。12月4日ごろ書店に並びます。
はじめに
二〇一一年度のテーマを「遊ぶ」ときめたのは、三月末のことでした。十一日にマグニチュード九・〇という未曾有の大地震とそれによる津波、そして原子力発電所の事故という災害があった直後です。ここでこの言葉を選んでよいのだろうか。かなり悩みました。 生命誌は、生命という切り口で自然・人間について考える知であり、〝生きている〟という実感を持つことのできる動詞を通して知を組み立てていこうとしています。これまで取りあげてきた「愛づる」「語る」「観る」「関わる」「生る」「続く」「めぐる」「編む」は、どれも生きものらしさを知る研究を探し出し、生きることを大切にしている知の探検者と出会う場を生み出してくれました。 その中で、自ずと「遊ぶ」という言葉が浮かび上がってきたのです。以前は、遺伝子といえば、それが決定的に生体内の現象を決めるというイメージがありました。ですから、細胞内で明らかに重要なはたらきをしている遺伝子をはたらかないようにしても、バクテリアやマウスが平気で生きていることがあるとわかった時は、皆驚きました。でも、大切なはたらきであればあるほど、バイパスを作っておくはずです。そのような〝遊び〟があるからこそ生きものは柔軟に、しかも強く生きていけるのです。 災害からの立ち直りは、単なる復興でなく、生きものらしい柔らかくて強い社会を作りたいという思いをこめて「遊ぶ」にしよう。そう決めました。
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