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2012年10月21日 (日)

桂川 潤 PDF版『本は物である』の前口上

 PDF版『本は物である』の前口上 桂川 潤 

 拙著『本は物(モノ)である』PDF版は,書籍版の第1章,
第2章を抜粋したものです。「〈物である〉べき本の電子化」とは
笑止ですが,より多くの方に本づくりの現状を知ってもらい,それ
を踏まえて書籍電子化を議論してもらいたい,というのが著者とし
ての希望です。  そもそも,本書のように本文・注・図版が絡みあった書物を,ノ
ンブルとページ概念を失ったリフロー型電子書籍(EPUB等)で再現
することは不可能です。解像度を抑えているとはいえ,図版を想像以
上に拡大できます(30ページの「鉄眼版一切経」を拡大してみてく
ださい)。同ページ4行目のように,ノンブル(ページ番号)による
参照/引照も可能です。何といってもPDFの最大の強みは,印刷すれ
ばいつでも紙の本に戻せることです。  「被災地域の知へのアクセスの向上」をうたい,国策としてスター
トした経済産業省「コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)」が,2012
年4月の発足以来まったく機能していません。フォーマットやディバイ
ス(表示端末)が乱立したまま電子化が進められれば,“被災者”は特定
の電子ストアに囲い込まれてしまい,「知へのアクセス」どころでは
なくなります。  特定のディバイスに向けた電子書籍を,他のディバイスやパソコン上
で閲覧できないことは,当初からわかりきっているのに,なぜ「緊デジ」
が国際標準のPDFを活用しないのか。「電子書籍懐疑派」としては,首
をひねらざるを得ません。

 書籍電子化が今後どう展開するかは予断を許しませんが,
『本は物である』PDF版を,ひとつの「たたき台」と受け止めていただ
ければ幸いです。                     2012年10月20日 桂川 潤

*PDF(=Portable Document Format)は,国際標準化機構(ISO)に
よって管理されている電子文書のオープンスタンダード(ISO 32000)で.
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書籍端末等のモバイルプラットフォームを含め,ほぼすべてのプラットフォ
ームで表示/操作できます。
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