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2012年9月 5日 (水)

新刊  坂野 登『二つのこころと一つの世界』

9784788512993_2


坂野 登 著
二つのこころと一つの世界

四六判上製240頁・定価2940円
発売日 12.09.09
ISBN 978-4-7885-1299-3

見本出来ました。9月10日配本です。9月13日ごろ書店に並びます。

  あとがき 

  この本はいろいろなことがきっかけとなって生まれた。そのきっかけの第一は、昨年、日本心理学会編集『心理学ワールド』の巻頭言を書くように求められて 考えたことからであった。そこで私がいちばん問題にしたかったことは、いま心理学にいちばん求められているものは何かということである。この問いに対する 答えはさまざまあるだろう。しかしあれこれ考えた末の私の結論は、心理学ではいま、パラダイムのシフトが求められているのではないかということであった。 それは、「知と情の統一的理解」を可能にするパラダイムシフトであると考えた。このようなアイディアを考えるうえで大いに参考になったのは、ヒトを含めた 脊椎動物の左右の身体が、環境に対する対処の仕方で示す違った役割をもっているという、マクネーレージらが提起したアイディアとその証拠であった。私がそ こから導き出したのは、身を守るか攻めるかという緊急的な対処行動のなかから知と情が誕生したという考えである。

 第二のきっかけは、『応用心理学研究』の総説論文、「応用心理学研究の課題と展望」を執筆するなかで考えたことである。心理学のさまざまな領域での研究 方法を振り返るなかで、これまで対立的にとらえられてきた研究法というものは、実はこころのあらわれ方の違いがそこで問題になるのであって、違いを統一的 にとらえる方法があるはずだといった確信をもつようになってきたのである。この確信は、左右の大脳半球のはたらきの違いをもとにして、認知の型を考えよう とする長年の私の研究テーマとその成果から強化されたものである。認知の型つまり利き脳が二つあるとしても、それは大脳半球のはたらきを反映したこころの はたらきの違った側面のあらわれであって、そのもととなる世界は一つであるという考えである。

 このような考えは『教育心理学年報』の展望論文、「脳とこころ」を執筆するなかでさらに確かめられていった。こころのはたらきの基本的な形は、脳のはた らきのなかにあらわれてくるが、その具体的なすがたを、「こころの理論」の脳科学的な基礎を見ようとする研究のなかにこの論文では求めたわけである。ここ ろの理論をもつということが、なぜ右半球と関連づけられることが多いのか、また脳内部での結合性の問題がなぜ自閉症と関係づけられて議論されているのかを 取り上げて議論した。さらに、マクネーレージらによる緊急反応と慣例行動、あるいはゴールドバーグの新奇性と慣例のシステムという考えを紹介し、進化とい う観点から人のこころのあり方について考えていく必要性をまとめとして述べておいた。これらの考えは本書のエピローグに、もう一度まとめ直した形で再現さ れている。

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《もっと読む 二つのこころと一つの世界 あとがき》

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