書評 小熊英二著『1968』
複数視点で振り返る「現代的不幸」
「・・・・・・本文だけで上巻九六七頁、下巻八六六頁の大著である。さすがに「拾い読みしようか」と思った。しかし、抜かせなかった。面白いのだ。たちまち引き込まれ、目が離せなくなった。「中世の戦記物を聞く人々もこうだったのでは」と思った。自分が生きていた時代、関わった動きの全体像が語られるとき、人はこういう体験をするものだろうか。読みながら、絶えずその中に自分を探すのである。「このとき、私はこの位置にいてこう感じていた」「私からは見えなかったが、こういうことだったのか」等々、私はあのころの自分自身の位置を見極めようとしながら読んだ。本書は体験的個人の視点や感慨で書かれたわけではなく、膨大な証言や資料によって立体的に構成しているがゆえに、その立体構造の中に自分を置くことができるのである。・・・・・・」
小熊英二著『1968』
の書評が2009年8月2日付毎日新聞にて掲載されました。評者は田中優子氏。
毎日新聞 「今週の本棚」
掲載紙ご担当者様、書評くださいました先生にこころよりお礼申し上げます。
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