2016年12月 9日 (金)

書評 キャサリン・モンゴメリー『ドクターズ・ストーリーズ』@図書新聞 2016年12月3日付

キャサリン・モンゴメリー 著 斎藤清二・岸本寛史 監訳『ドクターズ・ストーリーズ― 医学の知の物語的構造』の書評が、図書新聞 2016年12月3日付に掲載されました。評者は、星野晋氏。書評くださいました先生、掲載誌ご担当者さまにこころからお礼申し上げます。ありがとうございました。

9784788514836

キャサリン・モンゴメリー 著
斎藤清二・岸本寛史 監訳

ドクターズ・ストーリーズ
― 医学の知の物語的構造

四六判384頁上製
定価:本体4200円+税
発売日 16.6.10

ISBN 978-4-7885-1483-6



「医学の実践とは、解釈的活動(interpretive activity)である」という挑戦的一文からはじまる本書は、「文学と医学」を専門とし、医学校において教育、研究を行ってきたキャサリン・モンゴメリーが1991年に上梓した著作の訳本である。著者は、医師が診断を導き出し治療を組み立てていく臨床過程を、エスノグラフィ(民族誌)の手法を用いて丹念に描出する。そして科学としての医学という通常のイメージとは異なる物語的な実践をそこに見出す。すなわち、医学は科学ではなく、「病む人をケアするための、合理的で、科学を利用する、間レベル的な、解釈的な活動:なのである。

厳密科学としての医学は集団に対する統計的・確率論的なアプローチで一般法則化をめざす。この治療法には10パーセントの副作用が認められるといった具合である。しかし厳密科学は、目の前の患者がその10パーセントに入るか否かは教えてくれない。個別の患者に対して、診断を下し最適な治療法を探り当てるためには、「個別性の科学」といってもいい推論のプロセスが求められる。その過程を著者はシャーロック・ホームズの一連の推理になぞらえながら解き明かしていく・・・・・・

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2016年12月 2日 (金)

紹介 上野冨紗子&まちにて冒険隊 著『認知症ガーデン』@神奈川新聞

上野冨紗子&まちにて冒険隊 著『認知症ガーデン』の紹介が、神奈川新聞2016年12月1日付けにて掲載されました。ありがとうございました。

「横須賀 デイサービス経営・上野さんが著書」
 横須賀市安浦町の民家でデイサービスを経営している上野冨紗子さん(69)が、認知症の利用者とスタッフの日常生活や、介護への思いをつづった「認知症ガーデン」(新曜社)を出版した。「世間には、『認知症は怖い』というイメージがあるけれど、誰もが通る『老い』の延長にあるもの。一般的な話題として、多くの人に広く考えてほしい」と話している。
……
 他の利用者に迷惑ばかり掛けていた男性の自宅を訪れると、「一家の主」として来客対応してくれた。3年間、何も話さなかった女性がデイサービス内で自分の居場所を見付け、自宅で布団を掛けてくれた夫に「ありがとう」とつぶやいた―。
 出版した本には、そんなエピソードとともに、「社会性とは何か」「老いとは何か」といった上野さんの視点や問いかけがつづられる。
……
 巻末には、こんな言葉が添えられる。<認知症の人は多くは語らないが、人間に生きるということの不思議について、「普通」の人たちより、はるかに多くの体験をしている>

9784788515048

上野冨紗子&まちにて冒険隊 著

認知症ガーデン

A5判並製136頁
定価:本体1600円+税
発売日 16.11.20

ISBN 978-4-7885-1504-8

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2016年11月24日 (木)

書評 田中研之輔 著『都市に刻む軌跡』@図書新聞

田中研之輔 著都市に刻む軌跡 
の書評が、図書新聞2016年11月26日号にて掲載されました。評者は山口晋氏。ありがとうございました。

私は大学院生時代から今に至るまで、田中さんの論文をよく読み、大いに刺激を受けてきた。私自身、都市のストリートで活動するアーティストとそれに対する取り締まりの研究をしており、かれの仕事は、私のそれに近いと常々(勝手に)考えていた。新たな論文が発表されると図書館でコピーしたり、取り寄せの依頼をしたりした。このたび、学会誌や書籍に掲載・収載されてるそれぞれの論考が、1冊の書籍になって手にとることができるのは本当にうれしいことである。
 さて、本書で田中さんらしいエスノグラフィックな書きぶりが直に伝わってくるのが、第3章~第6章だろう。第3章の冒頭で、「知り合いはひとりもいない。自ら行ってみるしか方法はない。2001年5月28日の夕方、土浦市のスケボーショップへと向かった。その店舗で16800円のスケートボードを購入し、その日から土浦駅西口広場に通うことにした」(90頁)とあるが、かれが逡巡しつつも、土浦駅西口広場でのフィールドワークを始めようとする状況が伝わってくる。実は、この状況をより詳しく描いたものが、渡辺潤・伊藤明己編『〈実践〉ポピュラー文化を学ぶ人のために』(世界思想社)の154~157頁にある。そこに書かれている「こわばる身体には、ときには、勢いが必要だ」(157頁)は、まさにその通りだし、私もよく経験したことで、とても納得できる。フィールドワークのよい教科書として、学生さんにぜひ読んでほしいと思う……

9784788514690

田中研之輔 著

都市に刻む軌跡
―スケートボーダーのエスノグラフィー

四六判上製274頁
定価:本体3200円+税
発売日 16.3.25
ISBN 978-4-7885-1469-0

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2016年11月21日 (月)

書評 日本記号学会編『ハイブリッド・リーディング――新しい読書と文字学』

日本記号学会編『ハイブリッド・リーディング――新しい読書と文字学』の書評が「週刊読書人」2016年11月18日号に掲載されました。評者は山本貴光氏。評者の先生、掲載紙ご担当者のかたに深くお礼申し上げます。ありがとうございました。

<「どんなものであれ、文字とはなによりもまずモノである。例えば、粘土板や石に刻まれた文字はもちろんのこと、紙に書かれたり印刷された文字、液晶ディスプレイに表示された文字など、文字はなんらかの物質で象られ。私たちはそれを読む。
では、同じ文章であれば、どんな物質で読んでも、そこから得られる経験や効果は同じだろうか。それともなにか違いがあるのだろうか――各種コンピュータを使った読字環境が普及してきた昨今、こうした古くて新しい問題が改めて耳目を引いている。本書『ハイブリッド・リーディング――新しい読書と文字学』の各部に通底するのもまさにその問題である。「ハイブリッド・リーディング」とは、従来の紙の本と、電子の読字手段とが混在する環境でもの読むことを指している……

9784788514867

日本記号学会 編

叢書セミオトポス11
ハイブリッド・リーディング
新しい読書と文字学

A5判並製280頁
定価:本体2900円+税
発売日 16.8.31

ISBN 978-4-7885-1486-7

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2016年11月18日 (金)

新刊 上野冨紗子&まちにて冒険隊『認知症ガーデン』

9784788515048

上野冨紗子&まちにて冒険隊 著

認知症ガーデン
――

A5判並製136頁
定価:本体1600円+税
発売日 16.11.20

ISBN 978-4-7885-1504-8

見本出来ました。
11月28日ごろ書店に並びます。

おわりに そして はじまりに(一部抜粋)

  やがて、認知症と呼ばれている早すぎた老いも、「普通の老いのように」、社会の中で慣習化され、社会的なポジションが与えられる日がくる ・・・、という夢。これは、甘すぎる夢ではないのか、という疑念がチラッと脳裏をかすめる。

 「普通の老いのように」と言っているが、「普通の老い」には、社会的なポジションがあるというのは、確かか? そう思い込んでいるだけではないのか? 本当に、それは、あるのか? という疑念である。

 こう考え直したのは、秋山さんが見せてくれた社会性のことを思い出していたときだった。

 秋山さんの家を訪れたとき、秋山さんは、こちらの呼びかけに表情で答え、いつもの仕事を一時中断して、客間で私たちに対応し、帰るときには玄関まで送り、来客が帰ったら再び仕事に戻るという、とても自然な、自己統制がとれた社会人的な態度をとっていた。周りの状況はすべてわかったうえで、自分の仕事を

・・・・・・

《もっと読む 認知症ガーデン おわりに そして はじまりに(一部抜粋)》

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2016年11月15日 (火)

近刊 北浜邦夫 著 『夢』

12月上旬発売予定
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『夢』
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北浜邦夫 著
四六判並製180頁・予価2100円+税
ISBN 978-4-7885-1505-5 C1040
分野=脳科学・心理学

寝ている間もはたらく脳の科学とロマン
あなたの夢はカラー?それとも白黒? どこまでも墜落する恐怖に目覚めたことは? 昔、自分の自由にならない夢は、不思議な現象であり、神霊と交信できる神聖な時間でしたが、最近、夢は脳のはたらきであり、脳は寝ている間すっかり休んでいるのではなく、さまざまな意識の状態にあることがわかってきました。外界の様子を察知して、問題が起きると目覚めることができますし、ベッドから落ちたりしません。トイレにも行けます。なかには寝ながら食事をする人もいますが、それは夢遊病。夢を見る脳の科学を詩や小説や絵画からの引用や著者自家製イラストもたくさん入れて楽しく綴った、夢の本です。

著者の著作
『ヒトはなぜ、夢を見るのか』(文春新書)、『脳と睡眠』(朝倉書店)
訳書:ジュヴェ『夢の城』『睡眠と夢』(紀伊國屋書店)
共著:『脳科学と芸術』(工作社)、『睡眠とメンタルヘルス』(ゆまに書房)




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近刊 上野冨紗子&まちにて冒険隊 著 『認知症ガーデン』

11月下旬発売予定
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『認知症ガーデン』
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上野冨紗子&まちにて冒険隊 著
A5判並製136頁・本体1600円+税
ISBN 978-4-7885-1504-8 C1036
分野=福祉
認知症の見方がすっかり変わる本!

心とは、どのようにみなされるべきものなのか。家族が認知症になると、生活が一変してしまいます。温和だった人が突然怒りっぽくなったり、徘徊しだしたり、家の中をめちゃくちゃにしたり。それなりに安定していた家族生活がもはや成り立ちません。そんな家族が、認知症になった親や夫・妻を連れて、イラストレータだった著者が両親の介護をきっかけに始めたデイケアを訪れます。そこで認知症の人たちが示す意外な行動、スタッフとのやりとりは、何が認知症の本当の問題なのかを私たちに語っています。認知症は早すぎる老いとも言え、誰もが老いを迎えます。「老人」の居場所は、今の社会の中に保証されているでしょうか? 老いた人のための場=庭をつくる冒険をいっしょにしてみませんか。



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2016年11月10日 (木)

引用 E・リード 著/菅野盾樹 訳  『経験のための戦い』序章より

今回のアメリカ大統領選によせて、
PEGGY NOONAN 氏の「ウォールストリートジャーナル」
「同胞を見捨てる世界のエリート」http://jp.wsj.com/articles/SB10153442616204504109704582252161311243018
がネットでよくひかれている。
日付をみると2016 年 8 月 15 日の記事だ。
記事を読んで思い出すのは、クリストファー・ラッシュの名著、『エリートの反逆』 だ。
すみません、本書は品切れ......
同じくエリートと大衆の分断は、そもそも「経験」の軽視にあると指摘した、エド・リードの遺著から、関連部分を引用
......クリストファー・ラッシュ〔現代アメリカ社会とその文化についての辛辣な批評で知られるアメリカの歴史学者。一九三二―九四〕が彼の遺著『エリートの反逆』〔邦訳『エリートの反逆現代民主主義の病い』森下伸也訳、新曜社、一九九七年〕で言わんとしたのは、エリート集団が、とりわけ過去半世紀において、大部分の一般大衆から自分たちを切り離したことが最近のさまざまな問題をもたらした心理学的源泉だということである。これら二つの集団の異なった関心、異なった生活パターン、そして社会的資源への異なったアクセスに、この分断が明白に見て取れる。この分断と呼応してラッシュが正しく診断しているように毎日の日常経験に対する尊敬の欠如が、きわめて現代的な社会理論や社会的実際行動における中心的教義となっている。社会理論家たちや政策立案者たちは、人々が経験や行動を自分たちで形づくるために許されている手段の数が減るにまかせ、一般大衆の態度や活動を統制することにますます関わるようになった......

引用 エドワード・リード 著/菅野盾樹 訳
 『経験のための戦い――情報の生態学から情報の社会哲学へ』序章

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2016年11月 9日 (水)

書評 三浦倫平著『「共生」の都市社会学』

三浦倫平著『「共生」の都市社会学―下北沢再開発問題のなかで考える』 の書評が、「図書新聞」2016年11月12日付に掲載されました。評者は植田剛史氏。ご書評くださいました先生、書評紙ご担当者様にこころよりお礼申し上げます。ありがとうございました。

・・・・・・さて、本書の実証編にあたる第三章以降は、著者が「都市への権利」をイシューとした都市社会運動と位置づける、下北沢再開発問題をめぐる運動の記録としても読める。その目配りの広さも魅力ではあるが、最も画期的な点は、来街者を正面から研究の俎上に載せた点にある。多くの地域研究・都市研究はこれまで、都市空間の使用者として、住居の有無や法的地位の如何にかかわらず、そこに住む者を暗黙のうちに前提としてきた。一定の土地に身体を定位させていること、そして、そこに生活の基盤があることを、ある街の権利主体であると主張するときの根拠として、多くの研究者もまた共有してきたといえる。だが、いうまでもなく、下北沢という街も、他の多くの街も、そこに住む者のみで成り立っているわけではない。著者は、来街者の意味世界もまた、そこに住む者の意味世界と等価なものとして研究対象に据える。そして、来街者の意味世界をも含む複数の意味世界から、異なる社会形成への構想が複数立ち上がり、それらがときに対立しつつも同時に存在することを、「共生」という地平に近づく契機として積極的に評価する。こうした「共同性」の捉え方を可能性として示した点は、本書が都市社会学に果たす重要な貢献といえよう・・・・・・

9784788514706

三浦倫平 著

「共生」の都市社会学
―下北沢再開発問題のなかで考える

A5判上製464頁
定価:本体5200円+税
発売日 16.3.31

ISBN 978-4-7885-1470-6

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2016年11月 8日 (火)

新刊 キャスリン・アズベリー & ロバート・プローミン『遺伝子を生かす教育』

9784788515024

キャスリン・アズベリー & ロバート・プローミン 著
土屋廣幸 訳

遺伝子を生かす教育
――

A5判並製192頁
定価:本2300円+税
発売日 16.11.10

ISBN 978-4-7885-1502-4

見本出来ました。
11月11日ごろ書店に並びます。

 日本の読者の皆様へ

 我々の『遺伝子を生かす教育』(原題:G is for Genes)が日本の読者の皆様のために翻訳されたことは光栄である。土屋博士には本書を訳出されたことに加えて、このまえがきを書く機会を与えていただいたことに謝意を表したい。読者の皆様には、遺伝学的研究が教育にもたらす成果に関心を持っていただいていることに感謝したい。

 このまえがきを書いているまさにこの週、科学専門雑誌『ネイチャー』に、個人がどのくらいの期間学校教育を受けるかに関連する74の

・・・・・・

《もっと読む 遺伝子を生かす教育 日本の読者の皆様へ》

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