2016年9月29日 (木)

新刊 川島大輔・近藤 恵『はじめての死生心理学』

9784788514928

川島大輔・近藤 恵 編

はじめての死生心理学

A5判並製312頁
定価:本体2700円+税
発売日 16.10.03

ISBN 978-4-7885-1492-8

見本出来ました。
10月3日ごろ書店に並びます。

終章

 心理学は本来,人が生まれ,生き,死に逝くすべての過程においてさまざまな角度から光を当てる学問である。現在では,心理学の分野は基礎から応用に至るまで幅広く細分化され,人という存在の不思議に迫ろうとしている。その中でも「死生心理学」は,人の存在について,誰もが避けることのできない「死」から考えてきた。人の人生をたどってみれば,この世に生を受け,さまざまな人とかかわり,次世代へと有形・無形なものを継承しつつ,死を迎える。生から死へという順序であるが,死の側から生を見るという側面の強さが,「生」と「死」を逆転させた「死生学」あるいは,「死生心理学」という言葉に表れているように思われる。

 本書では,これまでに行われてきた,死にまつわる心理学研究について概観してきた。本書を読み終わった読者の皆さんはどのような感想をもたれたであろうか。学問の視点からこの本を読んだ人は,諸々の研究結果が実践の場でどのように活用されるのか,あるいは他の学問領域とどのように関連しているのかということに,さらなる興味や疑問をもたれたかもしれない。また,実践の場で常に

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2016年9月27日 (火)

新刊 秋田 巌・小川佳世子『日本の心理療法 自我篇』

9784788514935

秋田 巌・小川佳世子 編

日本の心理療法 自我篇

A5判上製224頁
定価:本体2800円+税
発売日 16.10.01

ISBN 978-4-7885-1493-5

見本出来ました。
10月3日ごろ書店に並びます。

 私は一九八五年に精神科医となり、ユング研究所への留学を挟んで一九九七年より京都文教大学に赴任することとなった。故・河合隼雄先生のお取り計らいによるものである。

 それまで精神科医としての仕事しかしていなかったので、いろいろと面食らった。

 着任後半年も経過した頃であったろうか、スーパーヴァイザーとしてある中学校に派遣された。そこで、K先生と出会った。適応困難な生徒さんたちの面倒をみておられた。K先生は、とにかく凄い人で、臨床にかける凄まじい気迫、バイタリティーの塊、型破り、そしてユーモア。このユーモアについては付言が必要。芯が強すぎるのだ。確信したことであれば、誰に何と言われようが「自説」を変えることはない。そうするとどうしても世間との折り合いがつきにくくなる。折り合いがつかないまま、それでも学校や社会とどうにかやっていこうとする、そのあたりの軋轢や葛藤から(失礼ながら)独特の個性とおかしみが醸し出され、それが巧まざるユーモアとして表現されることがあるのだ。

 繰り返すが、K先生は

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2016年9月26日 (月)

新刊 J.ウィンズレイド & M.ウィリアムズ『いじめ・暴力に向き合う学校づくり』

9784788514911

J.ウィンズレイド & M.ウィリアムズ 著/綾城初穂 訳

いじめ・暴力に向き合う学校づくり
――対立を修復し、学びに変えるナラティヴ・アプローチ

A5判並製272頁
定価:本体2800円+税
発売日 16.9.25

ISBN 978-4-7885-1491-1

見本出来ました。
10月3日ごろ書店に並びます。

はじめに

─本書の目的

 私たち著者は二人とも、学校におけるさまざまな対立をどう解決するか、そのためのアプローチに関心を持っており、これが本書を書くきっかけになった。私たちはこれまで、調停や仲裁(メディエーション)、修復会議、カウンセリング、対立コーチングといった活動に携わってきた。それから、秘密いじめ対策隊というアプローチや、暴力を無くすためのグループカウンセリングなどの活動も行ってきた。こうした活動は、どれも共通の視点を持っている。しかし私たちの知る限り、まだこれらの活動の全体が一つのプログラムとして体系化されたことはない。

 「学校で対立が起きたら、どちらの側にも敬意を持って対応しよう。厳しい罰に頼らないで問題に向き合い、暴力を減らし、傷ついた関係を修復し、排除するのでなく包摂する雰囲気を生み出していこう。」もし学校がこんなふうに宣言したら、そのあり方もきっと変わってくるのではないだろうか。このような方向に歩みを進めるためには、学校コミュニティの人間関係に働きかける必要がある。そのためには、具体的にどういうプロセスが必要なのだろうか。私たちの関心は、そこにあった。

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2016年9月21日 (水)

新刊 松本憲郎『「日本人」の心の深みへ』

9784788514904

松本憲郎 著

「日本人」の心の深みへ
――「縄文的なもの」と「弥生的なもの」を巡る旅

四六判上製240頁
定価:本体2400円+税
発売日 16.9.20

ISBN 978-4-7885-1490-4

見本出来ました。
9月30日ごろ書店に並びます。

はしがき

─「空気」を読みながら生きている君に、そして「世間」の中で生活しているあなたへ

 私は精神科医として、またユング派分析家として、私のもとを訪れた方との対話を日々の仕事にしています。そのほとんどは日本人で、そこで語られる悩みも 様々です。しかし、その語りの背後には、通奏低音のように響いている“旋律”があります。その音は、学校であっても、会社であっても、あるいは家庭であっ ても、およそ人が集まるところには、日本中のどこにでも響いています。その音は、時には「『空気』読めよな」というクラスメートの声として響き、別のおり には、マイクを突きつけられた人が「『世間』の皆さまにご迷惑をかけて申しわけありません」と謝罪するシーンの中にこだましています。

 ある日のこと、私は一人の青年が語る教室での出来事に耳を傾けていました。

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2016年9月13日 (火)

◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第162号■

2016年9月11日発行
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◎新曜社<新刊の御案内>■メール版 第162号■
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◇トピックス
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●金菱 清氏×若松 英輔氏 対談・トークショーのお知らせ
金菱清先生と若松英輔先生の対談を9月25日(日)、東京国際ブックフェア@東京ビッグサイト で行います。
日時:9月25日(日) 12:30~13:30

場所:東京国際ブックフェア@東京ビッグサイト

人文社会科学イベントスペース((一社)出版梓会)(ブースNo.4-26)
会場内見取り図
座席は20人ほど、ほか立ち見となります。
東日本大震災以降、被災者の生きた声、声にならない声に寄り添い、「死者と共に生きること」を考察してきた金菱清氏と批評家・若松英輔氏の、「霊性」をめぐる対談です。

弊社『呼び覚まされる霊性の震災学』
は、東北学院大学・金菱清ゼミの学生たちによる、震災の記録プロジェクトです。それは「石巻のタクシードライバーたちが頻繁に体験している幽霊現象」として大きく取り上げられましたが、東北の被災地を歩き、マスコミにはあまりのらない、人びとの真摯な声に耳をかたむけた学生たちの論文集です。
本書を手に取ってくれた方、また興味を持っていた方に、ぜひ聞いていただきたいトーク
ショーです。
当日のブックフェアには入場券が必要です。入場券(3日間有効)ご希望の方は新曜社の中山までご連絡ください。 メールアドレスはnakayama@shin-yo-sha.co.jp です。@は@に変更お願いします。
●フェアのお知らせ
心理学書販売研究会15周年フェアのお知らせ
いずれも会期中のみの特典として「心理学を学ぼう!2」を会場にて頒布中。
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丸善丸の内本店フェア
「心理学の〈現在〉を学ぼう!─この秋、心理学に出会う」
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心理学書販売研究会は2001年に有志出版社により、心理学専門書の普及を目的に結成されました。このたび15周年を迎えるにあたり、「心理学を学ぼう! 2」を発行いたしました。心理学・各分野の12人の専門家の方々に心理学の具体的なテーマについて書き下ろしていただきました。この12のテーマ、トピックは心理学の現在をあらわすとともに、また日本社会の現在をうつしだすものといえるでしょう。当フェアにてこの〈現在〉を感じていただければさいわいです。

●開催期間 2016年9月2日(金)~11月6日(日)

  場所:丸善丸の内本店 3階 エスカレータ脇 ミュージアムゾーン
〒100-8203
東京都千代田区丸の内1-6-4 丸の内オアゾ1階~4階

電話番号 03-5288-8881

営業時間 9:00~21:00
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ジュンク堂書店池袋本店
心理学書を読もう! 読まずにいられない心理学書200
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ジュンク堂池袋本店さんで心理学書販売研究会15周年のフェア、
いよいよ開催!名著、売行き良好書を厳選し一挙に展示しています。

お近くにお越しの際はぜひお立ち寄り下さい。
●開催期間 2016年9月5日(月)~10月20日(木)

場所:ジュンク堂書店池袋本店 4階フェアコーナー
〒171-0022東京都豊島区南池袋2丁目15-5

営業時間 月~土…10:00~23:00 / 日・祝…10:00~22:00

電話番号 03-5956-6111
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ジュンク堂書店大阪本店
「こころ」と「専門書」をリュックに詰め込んで 3団体合同フェア

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2016年10月1日まで

ジュンク堂書店大阪本店さまにて
アジアの本の会
心理学書販売研究会
専門書販売研究会
3団体合同フェアを開催いたします。

40社1000点の書籍が一堂に会するフェアです。ぜひお越しください。
期間 : 2016年10月1日(土)まで

開催場所 : ジュンク堂書店大阪本店 3階中央催事場
〒530-0003大阪市北区堂島1-6-20 
堂島アバンザ1-3F Tel. 06-4799-1090
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◇近刊情報
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9月下旬発売予定
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『デジタル・ウィズダムの時代へ』
── 若者とデジタルメディア(仮)
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高橋利枝 著
A5判上製348頁・予価4000円+税
ISBN 978-4-7885-1495-9 C3036
分野=メディア論・マスコミ研究・社会学
デジタル・ネイティブ論を超えて
デジタルメディアは、政治、経済、医療、教育、文化のあらゆる領域をグローバル化するとともに日常生活全域に溶け込み、新たな機会とリスクをもたらしています。このデジタル時代に生まれたデジタル・ネイティブたちはいかにメディアに関与し、状況を生かしているのでしょうか。日・米・英の三ヵ国における詳細なインタビューと参与観察から、デジタル革命/グローバル時代を生きぬく人間像を再構築します。15年にわたる著者の「若者とメディア」に関する研究をふまえた集大成です。著者は早稲田大学文学学術院教授。
9月下旬発売予定
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『いじめ・暴力に向き合う学校づくり』
──対立を修復し、学びに変えるナラティヴ・アプローチ
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J.ウィンズレイド &M.ウィリアムズ 著 綾城初穂 訳
A5判並製272頁・予価2800円+税
ISBN978-4-7885-1491-1 C1037
分野=いじめ・教育・カウンセリング
もう一つのストーリーを探せ!
集団があれば、対立がつきものです。学校も例外ではありません。いじめや暴力は許さない、という目標をかかげて規律を厳しくしても、効果は望めません。対立をなくすのではなく、悪くなった関係性を修復する仕方を身につけることが重要です。対立の背景は様々ですから、その方法は1つではありませんが、当事者たちやまわりの人々が対立をどうとらえているか=ストーリーがポイントです。本書で詳しく紹介される関係修復の方法を学校で取り入れ、学べば、その後に出会う対立に対処してゆく一生の財産になるでしょう。
9月下旬発売予定
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『「日本人」の心の深みへ』
── 縄文的なもの」と「弥生的なもの」を巡る旅
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松本憲郎 著
四六判上製240頁・本体2400円+税
ISBN978-4-7885-1490-4 C1011
分野=日本人論・ユング心理学
日本人の心の2つのルーツ
学校や職場で「空気」を読み、和を乱さないように振る舞いながら、そのことに悲鳴をあげている私たちがいます。この葛藤は、どこに由来するのでしょうか。多くの心理学者が昔話の分析から日本人の心の深層に切り込んできましたが、それは比較的新しい、弥生時代以降の昔話を素材としたものでした。しかし、アイヌ民族や南西諸島の昔話にはさらに古態の「縄文的なもの」があり、日本人の心には、この二つが葛藤しながら今も奥底で響いています。自分を縛る「世間」の正体を知り、それとむきあって自分らしく生きたいと思ったユング心理学者が、日本人の心性の二重性の根源を探った旅の記録です。
9月下旬発売予定
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『日本の心理療法 自我篇』
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秋田 巌・小川佳世子 編
A5判上製224頁・本体2800円+税
ISBN 978-4-7885-1493-5 C3011
分野=臨床心理学・心理療法
「日本の心理療法シリーズ」第2回配本
日本人に適した心理療法の在り方を、日本独特の文化的背景から考察した著作群「日本の心理療法シリーズ」第2回配本は「自我篇」です。「自我」とは一言でいえば意識の中心であり、西洋由来の精神医学や心理療法にとっては最重要ともいえる概念です。本篇はこの自我なる概念を、そのまま日本の心理療法場面に持ち込むことへの違和感をもとに企画されました。能楽や和歌、さらには伝統的に受け入れられてきた仏教的な価値観などを交えて、心理学や精神医学が西洋から輸入される以前の「日本人らしさ」への接近を試みます。

シリーズ好評 既刊書
10月上旬発売予定
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『日本の心理療法 身体篇』
──
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秋田 巌 編
A5判上製240頁・予価2800円+税
ISBN 978-4-7885-1494-2 C3011
分野=臨床心理学・心理療法
「日本の心理療法シリーズ」第3回配本
「日本の心理療法シリーズ」第3回配本は「身体篇」と題し、心の癒しに関わる身体接触に焦点を当てました。西洋では挨拶場面での握手やハグなど身体接触は日常的ですが、日本人にはあまり馴染みなく、一般的なカウンセリング場面においてはむしろ禁忌ともいえる扱いです。本篇は、そのような文化的背景を持つ日本において実践され受け入れられている、身体性と深く関わるセラピーを四つ取り上げました。動作法、和太鼓演奏、歩き遍路、気功が登場し、それらが癒しをもたらす仕組みと理由が解説・考察されます。
 
10月上旬発売予定
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『はじめての死生心理学』
──現代社会において,死とともに生きる
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川島大輔・近藤 恵 編著
A5判並製312頁・本体2700円+税
ISBN 978-4-7885-1492-8 C1011
分野=心理学・看護学・福祉
死を考える科学を学ぶ
誰も死を避けられません。これまで哲学,宗教学,医学,歴史学,社会学,看護学,そして心理学など,実に様々な学問分野が死について研究してきましたが、ホスピス運動や教育現場での「いのち教育」等のニーズから,近年死生学が注目されています。死生学は「死と生を扱う学問分野」ですが、その中核に位置するのは、死に臨む人や死別の悲しみに直面している人へのケアです。本書は、そうした、死の心理社会的側面にアプローチする死生心理学を紹介し、学び、今後の展開について考える、日本ではじめての入門書です。
 
10月上旬発売予定
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『子どもとともに行う研究の倫理』 (仮題)
──
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P.オルダーソン & V.モロウ 著 斉藤こずゑ 訳
A5判並製224頁・予価2400円+税
ISBN 978-4-7885-1497-3 C1011
分野=心理学・社会学・医学・看護学
 
特別な配慮とは?
今日、子どもや若者の生活についてさまざまな研究や調査が行われています。国や自治体は、いろいろな支援を計画したり評価するのに子どもが参加することを求めています。「国連子どもの権利条約」は、子どもが自由に意見を表明する権利を有することを明記しています。子どもの権利は、世界中の研究やコンサルテーション活動でますます尊重されるようになっていますが、そこにはさまざまな倫理的問題が起こりえます。本書は、子どもとの研究や活動で起こりがちな問題について具体的に述べ、その倫理的問題を解決する方法について懇切に解説した、研究者、実践家必携の手引きです。
 
10月上旬発売予定
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『質的研究におけるビジュアルデータの使用』
──SAGE質的研究キット5
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M.バンクス 著/石黒広昭 監訳
A5判並製224頁・本体2400円+税
ISBN 978-4-7885-1498-0 C1011
分野=質的研究法・心理学・教育学・社会学・保健・看護
日本語で読める、ビジュアルデータを扱う手引き
質的研究では、写真、映画、絵など、さまざまなビジュアルデータが使用されます。本書は、どのようにしてビジュアルデータを収集し、分析するか、得られた結果をどのように研究の参加者や他の視聴者に提示するか、そして倫理的問題にどう対処するかについて、研究例を引きながら懇切に解説しました。ビジュアルアプローチは、研究対象の人々の見方を知る方法であるだけでなく、彼らの眼を通して世界を見る方法でもあること、すでにある素材をデータとして使うだけでなく、素材を作ること、そして最近のコンピュータによる分析にも、周到な目配りが利いた、待望の日本語で読める手引の刊行です。
10月上旬発売予定
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『新社会学雑誌 創刊号』 (仮題)
──
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好井裕明・三浦耕吉郎・小川博司・樫田美雄・栗田宣義 編
A5判並製180頁・本体1800円+税
ISBN 978-4-7885-1496-6 C3036
分野=社会学、社会問題
社会学の革新にむけて
社会学の知的営為の更なる発展を目指し新たな学術雑誌が誕生しました。代表的な学術雑誌(『社会学評論』等)の編集委員を経験した練熟の社会学者が編者となり、文化、ジェンダー、親密圏、教育、エスニシティ、宗教、法律、政治、経済と現代日本の各所に潜む矛盾と課題を解決する力をもった社会学の知を求めて、毎号を編みあげます。創刊号では特集テーマとして「〈いのち〉の社会学」、公募テーマとして「生きづらさとはいったい何なのか」を設定し、六篇の力作研究と、編者による映画・ファッション・査読・ビデオ調査等の論考を集めました。社会学の新たな〈場〉を目指した挑戦にご期待ください。
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編集後記
『コンビニ人間』村田沙耶香著、文藝春秋
芥川賞をとって、本が出版されたときから、ずっと読んでみたかった本。なにより書名に惹かれる。いったいどんな内容なのだろうか? 私も学生時代、5年ほどコンビニでのバイト経験があるから、とても興味があった。
そうこうしているうちに弊社倉庫裏にあるセブンイレブン専修大通り店で、なんと著者のサイン会を催されると聞く。しかも特大アメリカンドッグがつくとのことだった。ここのセブンイレブンは昼時、学生・会社員がものすごく押し寄せる店舗で、イートインスペースも広い。コンビニでサイン会をやるとしたらここしかないかもしれない。
──本書主人公の古倉恵子36歳は18年間、コンビニのバイトだけをやって暮らしてきた。
 恵子にとって正常なものは、いらっしゃいませという声出しや、商品の陳列、キレイな窓、そして特価の重点商品の売上達成のためのポップ書きといった無数の、様々な作業のオペレーションである。それは売上を上げるために、つまり彼女の大事なこのコンビニという空間が永遠に続くために不可欠なものだ。こうしたオペレーションは声となって彼女の耳に届く。コンビニの声を聞き、その通りに動き売り上げを上げる。それが彼女の稀有な才能なのだ。
 主人公の恵子は間違いなくプロのコンビニ店員である。プロの微細な目配り、所作、行為は、世間では全く理解されない。コンビニという空間にいる者だけにはその才能がわかるが、同志の彼らでさえ性別、年齢、アルバイトという属性で彼女を判断する。
 こうした暮らしを長く続ける恵子を、親、(唯一の理解者と思っていた)妹、そして友人たちはそれを「異常」なこととして、彼らの「正常な」声を彼女に伝える。しかしそれは彼女にとってはノイズでしかない。幼少期からこうしたノイズ=世間知とつきあうすべを編み出してきた彼女、30半ばを過ぎさらに増大するノイズをしのぐために編み出した方策と、その結末は……。
小説をさしさわりなく要約するとこんなところだろうか──
自分がいなくてもやっていける、あらゆる組織とはそういうものだ、と私たちは日々の社会生活のなかで自嘲しつつ語ることもあるだろう。しかしそれは嘘だ。あなたがいなくてもまわるが、あなたがいた時と同じようにはまわらない。恵子、それはあなたがいなくなった後の店を見てみればいい。コンビニという空間のアルバイトのたぐいまれな才能、世間からはまったく理解されない、代替可能とさえ思われる才能を発揮し、自分が自分としていられるのがコンビニだ。恵子、あなたはコンビニから愛されたものなのだ。
 さてサイン会。これは行かねば、2時からやるということだったが、気がついたときには3時。100部限定ということだったから、まだ間に合うかも、と駆けつけたが、甘かった。すでに完売。あー、アメリカンドッグが食べたかった。そう、本書の主人公の古倉恵子だったら、本100冊の完売が目的ではなく、アメリカンドッグを100本売るためにこのサイン会を催すだろうと、私は思った。あなた以上にコンビニを愛している者はいない。あなたの大事な空間を守るためにすべてのコンビニ人間たちに本書を届けろ。       (中山)
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◇奥付
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電話  03(3264)4973(代)
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次回発行は2016年10月上旬を予定しております。

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2016年9月 8日 (木)

ご案内 金菱清氏×若松 英輔氏 トークショー「霊性にふれる――被災地からのメッセージ」

「霊性にふれる――被災地からのメッセージ」
トークショー 金菱 清氏×若松 英輔氏  のお知らせ


金菱清先生と若松英輔先生の対談を9月25日(日)、東京国際ブックフェア@東京ビッグサイト で行います。


日時:9月25日(日) 12:30~13:30
場所:東京国際ブックフェア@東京ビッグサイト
人文社会科学イベントスペース((一社)出版梓会)(ブースNo.4-26)

会場内見取り図

座席は20人ほど、ほか立ち見となります。


東日本大震災以降、被災者の生きた声、声にならない声に寄り添い、「死者と共に生きること」を考察してきた金菱清氏と批評家・若松英輔氏の、「霊性」をめぐる対談です。
弊社『呼び覚まされる霊性の震災学』 は、東北学院大学・金菱清ゼミの学生たちによる、震災の記録プロジェクトです。それは「石巻のタクシードライバーたちが頻繁に体験している幽霊現象」として大きく取り上げられましたが、東北の被災地を歩き、マスコミにはあまりのらない、人びとの真摯な声に耳をかたむけた学生たちの論文集です。

本書を手に取ってくれた方、また興味を持っていた方に、ぜひ聞いていただきたいトークショーです。
 
当日のブックフェアには入場券が必要です。入場券(3日間有効)ご希望の方は新曜社の中山までご連絡ください。 メールアドレスはnakayama@shin-yo-sha.co.jp です。@は@に変更お願いします。


9784788514577

金菱清〔ゼミナール)編
東北学院大学震災の記録プロジェクト

呼び覚まされる霊性の震災学
――3.11 生と死のはざまで

四六判並製200頁
定価:本体2200円+税
発売日 16.1.20
ISBN 978-4-7885-1457-7

 

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2016年9月 1日 (木)

新刊 岡 昌之・生田倫子・妙木浩之『心理療法の交差点2』

9784788514898

岡 昌之・生田倫子・妙木浩之 編著

心理療法の交差点2
短期力動療法・ユング派心理療法
・スキーマ療法・ブリーフセラピー

四六判上製320頁
定価:本体3400円+税
発売日 16.9.10

ISBN 978-4-7885-1489-8

見本出来ました。
9月9日ごろ書店に並びます。

まえがき

同一事例を囲む異流派による見立てと面接のヴィジョン
臨床の異種格闘技戦!
車(心理療法における諸派)が、交差点でクラッシュ予定!

 前著『心理療法の交差点』の続編である、本書『交差点2』の特徴を並べてみました。いわば心理臨床の異種格闘技戦の記録です。心理臨床の表舞台に「戦」と いうキーワードが持ち込まれる試みは、今まで見たことがありません。理由を考えてみると、結局のところ穏やかで上品な、争いを好まない業界であるというこ とに尽きます。そのような雰囲気の中での本書の企画は、編者執筆者もろもろメリットはほぼない(むしろマズイ?)わけですが、どうしてもという問題意識が あるのです。

 心理療法諸派の共通性と差異について、本気でディスカッションするにはどうすればよいだろうか、というのが本書の問題意識です。心理療法の諸学派を代表するようなセラピストたちは、お互いの心理療法について

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《もっと読む 心理療法の交差点2 まえがき》

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2016年8月29日 (月)

新刊 日本記号学会『ハイブリッド・リーディング』

9784788514867

日本記号学会 編

叢書セミオトポス11
ハイブリッド・リーディング
新しい読書と文字学

A5判並製280頁
定価:本体2900円+税
発売日 16.8.31

ISBN 978-4-7885-1486-7

見本出来ました。
9月6日ごろ書店に並びます。

はじめに

阿部卓也

本書の目的は、「よむ」ことと「かく」ことをめぐって、今日の世界で進行している巨大な地殻変動を読み解き、記号、文字、イメージ、観念、モノ、身体と いった世界の基本単位の変容と再配置の行方を展望することである。書物の発明以来、さらにいえば文字の発明以来成立してきた読字・読書活動は、いまデジタ ルテクノロジーによって全面的に書き換えられつつある。そのような文字学の人類史的な転回を、理論と実践を往還する様々な視点から立体的に論じることこ そ、本書の目指すものである。

本誌の特集全体を貫くキーワード、核となる概念は「ハイブリッド・リーディング」と「デジタル・スタディーズ」の二つである。そこで、まず最初にこの二つが何を問題としているのか、理論的な文脈を簡単に整理しておこう。

まず「ハイブリッド・リーディング」だが、これは大まかに「デジタル時代の読字・読書の

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《もっと読む ハイブリッド・リーディング はじめに》

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2016年8月24日 (水)

新刊 福島哲夫『臨床現場で役立つ質的研究法』

9784788514881

福島哲夫 編

臨床現場で役立つ質的研究法
―臨床心理学の卒論・修論から投稿論文まで

A5判並製192頁
定価:本体2200円+税
発売日 16.9.1

ISBN 978-4-7885-1488-1

見本出来ました。
9月1日ごろ書店に並びます。

まえがき

  ―今いる場所を少しでも良い場所に

  従来、臨床心理学における研究と臨床行為そのものの間にはある種の乖離があった。つまり、成果の共有や応用はあったものの、方法論や発想という点で大 きく隔たっていた。たとえば、特定の心理的な問題の背景や要因を探る場合に、ある程度の数のサンプルを統計的に比較する方法がある。あるいはアナログ研究 として一般群の中から特定の心理的傾向の比較的高いサンプルに関して分析する等の場合もある。このような場合、統計的手法に基づいてきちんと分析された結 果が、必ずしも個々の事例を十分に説明したり予測したりするものではない。それは医学における「一般例と例外的な事例」というような関係ではなく、心理臨 床という細密な要素を扱う実践であるからこそ、生じるような乖離である。それゆえに、このような一般化を目指す研究とその発想が、

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2016年8月 4日 (木)

書評 まなざしの誕生 @折々のことば 7月14日付朝日新聞

4788510006

下條信輔 著
『まなざしの誕生』 (新装版)
――赤ちゃん学革命

四六判376頁 定価:本体2200円+税
発売日 06.6.6
ISBN 4-7885-1000-6

の紹介が、朝日新聞2016年7月14日付、「折々のことば」に掲載されました。

「心をもつ者」として扱われることによって、またそのことだけによって、心は発生し成長するのだ。    下條信輔

乳児に、ペットに、「心」はあるか? この問いは間違っていると認知心理学者は言う。私が語りかけ、また私に語りかけてくれる者として相手を扱うことの結果として、「心」は生まれてくる。だから「心」は脳における神経生理的な過程として分析されるよりも先に、交わりという場面で問われねばならないと。

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